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カレーチップスを食べた高校生14人が緊急搬送 激辛が得意な人は危険なワケ #専門家のまとめ

東龍グルメジャーナリスト
(写真:イメージマート)

2024年7月16日、激辛チップスを食した東京都大田区の高校生33人のうち、14人が体調不良となり、病院に搬送されたというニュースがありました。当該商品は茨城県にある会社が製造した「18禁カレーチップス」で、ギネス世界記録に「世界一辛い」として登録されたこともある「ブットジョロキア」という極めて激辛な唐辛子が用いられています。手軽に食べられるポテトチップという身近な嗜好品であったこと、被害に遭ったのが高校生であったこと、そして、“激辛フード”が思った以上に健康を害することから、衆目を集めました。

ココがポイント

▼激辛チップスを食べた高校生33人のうち、体調不良を訴えた女子13人と男子1人が病院に搬送

“激辛チップス”食べ高校生14人救急搬送「みぞおちを殴られたくらい」食べた生徒が語る“痛み” 専門家「タバスコの200倍」(FNNプライムオンライン)

▼辛味は味覚ではなく、痛覚。激辛料理が得意で自慢している人は「単に痛みに鈍感になっている」だけ

え!?辛味って味覚じゃないの!?(医療法人社団徳治会 吉永歯科医院)

▼トウガラシ、ワサビ、コショウなどの辛い香辛料は味覚を破壊する一因となる

ミール通信(9月号)(松山大学生活協同組合)

▼激辛トルティーヤチップスを食べるSNS企画「ワンチップチャレンジ」でアメリカの少年が数時間後に死亡

激辛チップス食べ少年死亡 SNSの挑戦企画に参加―米(時事ドットコム)

▼黒沢年雄氏が「世の中には食事さえ満足に出来ない人達が多数いる」と大食いや激辛番組を糾弾

黒沢年雄、大食い・激辛食い番組の“存在意義”を問う「個人的には嫌いだし、必要ないと思います」(スポニチ Sponichi Annex)

エキスパートの補足・見解

人が感じる味は、基本五味と呼ばれています。甘味、塩味、酸味、苦味、そして日本発の味覚である旨味。これらに加えて、味覚の要素として挙げられるのが、辛味です。辛味は食欲をかき立てたり、身体を温めたりして、喫食のアクセントになります。

ただ、辛味は味覚ではなくあくまでも痛みです。他の痛みと同じように痛覚や温覚で感じ、危険から身を守るためのもの。激辛料理が得意な人は、「痛みに鈍感になっている」だけなので、非常に危険です。

過度な辛味は味覚を破壊します。辛味を摂取しすぎると、舌にある味覚器である味蕾が必要以上に刺激されてしまい、味覚障害が起こりやすくなるのです。日本料理はただでさえ、出汁の文化、繊細な味わいといわれているだけに、日本人の舌や日本料理の文化には、もともと激辛が合わないのではないでしょうか。

アメリカでは激辛チャレンジで死亡した例があり、日本でも大食いや早食いで死亡する事故が起きています。それだけに、日本でも食品衛生法などで、辛味の程度を規制する必要があるのではないでしょうか。激辛、大食い、早食いのどれもが危険であると、改めて周知されるべきであると考えています。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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