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きっぷを買って函館本線(山線)を応援して欲しい! 銀山駅では今も現役!「常備軟券」購入で特典も

鉄道乗蔵鉄道ライター
銀山駅待合室と常備軟券による小樽までの乗車券(筆者撮影)

 北海道新幹線の札幌延伸開業にともなってJR北海道から経営分離が確定している函館本線のいわゆる山線と呼ばれる長万部―小樽間140.2km。この区間については北海道庁が主導する密室の並行在来線対策協議会において、地域のバス会社を協議の場に呼ぶことなく強引に廃止の方針が決められてしまったが、その後、バスドライバー不足が深刻化していることが表面化。沿線でバス路線を運行する北海道中央バス、ニセコバス、道南バスの3社は鉄道代替バスの引き受けに難色を示し、2023年5月以降1年3カ月に渡って協議が中断する異常事態が続いていたが、2023年8月に開催された協議会では始めて地元のバス会社3社が協議の場に呼ばれ、北海道庁が提案するバス転換案について実現は一様に困難であるという姿勢を示した。

 こうした状況の中で余市町の住民有志では「余市駅を存続する会」を結成、さらに蘭越町でも「山線存続蘭越住民の会」が結成され、蘭越では2024年7月に5年ぶりに総会が開かれるなど、各地で鉄道存続に対する住民運動が再燃している。このほか、2024年9月の週末を中心に札幌―函館間を山線経由で運行された秋の定番臨時列車「特急ニセコ号」では、連日、全国各地からの観光客で混雑を見せ、各停車駅で開かれたおもてなしイベントや物販は活況を呈しており、山線自体が活用次第によっては十分な経済効果を生む後志地方を代表する観光資源となることが明らかとなっている。

木村商店さん入り口には「銀山駅きっぷうりば」とあり、往年の「特急北海号」や「ニセコエクスプレス」の写真が飾られていた(店主に許可を得て筆者撮影)
木村商店さん入り口には「銀山駅きっぷうりば」とあり、往年の「特急北海号」や「ニセコエクスプレス」の写真が飾られていた(店主に許可を得て筆者撮影)

 さて、こうした状況下の函館本線の山線であるが、長万部―小樽間ではきっぷの売っている駅がいくつか存在する。まず、直営駅の倶知安駅、余市駅ではマルス端末が設置されており、全国のJR券のほか新幹線や特急列車の指定席が購入できるが、このほかに簡易委託駅の蘭越駅、ニセコ駅、銀山駅では、昔懐かしい「常備軟券」による乗車券が手売りで販売されている。蘭越駅とニセコ駅については駅窓口で乗車券類の販売が行われているが、銀山駅では駅近くの木村商店で乗車券の販売が行われている。

 筆者は、このほど銀山駅の木村商店さんを訪問する機会があり、銀山―小樽間の乗車券を購入し、実際に列車に乗車してきた。木村商店さんで取り扱っている乗車券は、「銀山→桑園・札幌・苗穂1,680円」「銀山→小樽860円」「銀山→倶知安540円」「銀山→余市440円」「銀山→然別・仁木340円」の5種類で、現在は乗車券を購入した方を対象に銀山駅のある仁木町公式イメージキャラクター「ニキボー」をデザインにあしらった便箋をプレゼントしてくれるという。並行在来線の協議が泥沼化している今こそ、読者の皆様には銀山駅近くの木村商店で乗車券を購入して山線を応援して欲しい。そして、改めて山線存続に向けての機運が盛り上がることを心より願っている。

使用済みの乗車券と特典でいただいた「ニキボー」の便箋(筆者撮影)
使用済みの乗車券と特典でいただいた「ニキボー」の便箋(筆者撮影)

 なお、銀山駅を降りて木村商店さんに向かう場合、駅からはやや分かりにくい場所にあるので、事前に場所を調べてからの訪問をお勧めしたい。銀山駅を背にして坂を下り、最初の十字路を右に曲がり坂をしばらく降りたところに木村商店さんがある。

(画像:GoogleMaps)
(画像:GoogleMaps)

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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