もうエレベータークラブなんて言わせない! コンサドーレが16年ぶりにJ1残留を達成できた理由
明治安田生命J1リーグ第32節が11月18日に行われ、北海道コンサドーレ札幌はアウェイで清水エスパルスと対戦し、ジェイ・ボスロイドの2ゴールで2-0と快勝した。
この結果、コンサドーレは2試合を残して、今季最大の目標であるJ1残留を果たした。実にJ1残留は2001年以来、16年ぶりの快挙だ。
目標を達成できた理由は複数あるが、その中でも筆者が強調したいのは「夏の補強」だ。
ジェイ、チャナティップ、石川の補強が大当たり
前半戦はDF福森晃斗から繰り出される正確なフィードを、FW都倉賢が叩き込む形が生命線だったが、そのホットラインを封じられると札幌は攻め手を欠く格好となり、5月から6月にかけては泥沼の6連敗を喫した。
そこで札幌の三上大勝GMが動いた。
タイのメッシことMFチャナティップ・ソングラシンが夏に加入するのはシーズンオフの時点で決定していたが、昨季までジュビロ磐田に所属していた元イングランド代表のFWジェイ・ボスロイドと、ベガルタ仙台のDF石川直樹に白羽の矢を立て、夏の移籍市場で一気に3人の補強を断行したのだ。
J1残留を確定させた清水戦は、とりわけこの3人の活躍が光った。前半11分には石川のピンポイントクロスにジェイが高い打点から叩き込み先制点。前半39分にはチャナティップのペナルティエリア内でのドリブル突破が攻撃の起点となり、最後はジェイが押し込んで突き放した。
特にジェイ・ボスロイドは12試合8得点と出色の出来で、10月には札幌のクラブ史上、初選出となるJ1月間MVPに選ばれるほどの活躍ぶりだった。
チャナティップは得点こそないが、スピードのあるドリブルが攻撃のアクセントとなり、石川は後半戦だけでアシストを3つ記録している。まさにドンピシャの補強で、J1残留への大きな原動力となったのは、誰もが認める点だろう。
夏を境に生まれ変わったコンサドーレ
J1の直近10試合(第23節~第32節)の戦績にフォーカスしてみると、札幌は5勝2分け3敗勝ち点17で、優勝争いをしている鹿島、川崎に次いで、単独3位という好調ぶりだ。
補強された3選手がチームにうまくフィットした結果、コンサドーレは夏を境に生まれ変わったと言ってもいいだろう。
来季は強化費を3億円上積み
長年コンサドーレは、J1とJ2を行ったり来たりするチームという意味で「エレベータークラブ」と揶揄されてきた。
開幕前のスカパー!特番のJ1順位予想でも、札幌をJ2降格圏(16~18位)に予想する解説者が多かったが、そういった低評価を覆し、J1残留を果たした今季は、コンサドーレのクラブ史の中でもひとつのターニングポイントとなるのではないか。
エレベータークラブからの脱却、すなわち「J1定着」を目指すフロントは既に来季に向けて動き出しており、チーム強化費を今季の11億円から14億円に上積みし、万全の態勢を整えようとしている。サポーターとしてはクラブの未来に期待が膨らむばかりだ。
まずは今季残り2試合(11月26日13時G大阪戦@吹田スタジアム、12月2日14時鳥栖戦@札幌ドーム)、来季に繋がる戦いを見せてほしい。筆者は2試合ともスタジアムに足を運ぶ予定だ。