ニューヨークの2球団でノーヒット記録。メッツは投手陣、ヤンキースはジーター
2014年5月3日、ニューヨーク・メッツの投手陣が開幕からの連続ノーヒット記録を塗り替えた――マウンドではなく打席で。
3回表にヘンリー・メヒーヤが二塁ゴロに倒れ、開幕からの無安打は46打数に到達。1914年にセントルイス・ブラウンズ(現ボルティモア・オリオールズ)の投手陣が記録した45打数無安打を抜き去り、1900年以降の最長記録を打ち立てた。
翌日の試合でもディロン・ジーが3打数無安打に終わり、ストリークを51打数まで伸ばした。全体の約30%はメヒーヤによるもので、開幕から6先発して15打数無安打に終わっている。松坂大輔は記録が作られるまで打席に立つ機会がなかったが、3日の試合で5回途中からメヒーヤに代わって登板すると、7回表1死一塁の場面でバントを決められずに三振し、記録の延長に一役買った。
とはいえ、メッツの投手陣は6四球を選んでいて、これは両リーグ2位のチームの2倍に当たる。6度の送りバント成功も3打点もリーグ平均だ。ヒットこそ出ていないものの、無価値な打席ばかりというわけではない。
メッツの投手陣が新記録を樹立した前日には、同じくニューヨークに本拠地を置くニューヨーク・ヤンキースのキャプテン、デレク・ジーターが7打数無安打を記録した。こちらはメジャーリーグ記録ではないが、ジーターにとってはキャリア初めてのことだった。
今シーズンがメジャーリーグ20年目――そして最後となるジーターは、1試合7打数以上を16度経験している。だが、過去15度のなかに無安打の試合はなかった。
1914年以降にメジャーデビューし、3000本以上のヒットを放った選手はジーターを含めて22人いるが、1試合7打数以上が10度以上あり、そこに無安打の試合が皆無なのはロベルト・クレメンテだけだ(1913年以前に関しては、試合ごとの打数と安打が不明)。クレメンテは14度の1試合7打数以上すべてにおいて、少なくとも1安打を打っている。
ジーターがあと少しでクレメンテに続く2人目になり損ねたことを惜しむこともできるが、7打数無安打がなければ、2人目になったとしても、そのことが知られることはなかっただろう。この試合の12回裏にエラーで出塁したジーターは、カルロス・ベルトランの二塁ゴロによって4-3-6の併殺となるところを、二塁からジャコビー・エルズベリーが生還するのを助けようと、一・二塁間で粘りに粘った。
なお、この試合の14回表には、タンパベイ・レイズのデビッド・デヘススが、ダグアウトでチョコクランチ・アイスバーを食べながら声援を送っていた。そう言えば、どこの球場だったか忘れたが、同じように長い延長戦となった際に、ホームの球団から記者席に大きなホールのピザが2枚、差し入れられたことがあった。ただ、自分が気づいた時にはピザはすでに姿を消していて、そこには空き箱しか残っていなかった。