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台風14号で突風被害 竜巻は9月に多い

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
和歌山県美浜町で突風被害があったときの雨雲の様子(ウェザーマップ作画)

 17日夕方、福岡県福津市に上陸した台風14号では和歌山県美浜町で突風被害が発生した。突風の種類には竜巻、ダウンバースト、ガストフロントの3つがある。台風が最も多く上陸する9月は竜巻の季節でもあった。

和歌山県で突風被害

 きょう(18日)午前0時半頃、和歌山県美浜町で激しい突風が吹き、屋根が飛んだり、建物の窓ガラスが割れたりするなどの被害が発生しました。

 台風14号は午前0時過ぎ、愛媛県松山市付近に再上陸し、突風被害が発生した当時は四国中央市付近を進んでいたとみられます。こちらは午前0時半頃の雨雲の様子です。

高解像度ナウキャスト(2021年9月18日午前0時30分、ウェザーマップ作画)
高解像度ナウキャスト(2021年9月18日午前0時30分、ウェザーマップ作画)

 台風14号は和歌山県に向かって進んでいて、台風の前方にはいくつもの発達した雨雲がありました。突風が吹いたとき、発達した雨雲が美浜町付近を通過していたこともわかります。

突風の種類は3つ

 和歌山地方気象台は18日、突風被害を受けて現地調査を行うと発表しました。これは専門知識を有した職員が現地に赴き、被害の状況から当時、どのくらいの突風が吹いたのか、どのような気象現象が発生したのかなどを明らかにするものです。

 ふつう、局地的な激しい突風は発達した積乱雲によって引き起こされ、その種類は主に竜巻、ダウンバースト、ガストフロントの3つに分けられます。

主な突風の種類を簡単な図にしたもの(著者作成)
主な突風の種類を簡単な図にしたもの(著者作成)

 突風被害というとすぐに竜巻を思い浮かべますが、ほかにも、積乱雲から吹きだす激しい空気の流れ「ダウンバースト」そして、積乱雲から流れ出した冷たく重たい空気が暖かい空気とぶつかることによって発生する「ガストフロント」があります。

原因の特定は被害状況から

 突風はそれこそあっという間の出来事で、竜巻のように目撃情報があれば別ですが、そのほとんどは被害状況から推測するしか方法がありません。

 被害が線状になっているときは竜巻の可能性が、円形や楕円状など面的な広がりがあるときはダウンバーストの可能性が高いなど、それぞれ被害の特徴から原因を突き止めるのです。

竜巻は9月に一番多い

 和歌山県美浜町で起こった突風被害では突風が吹いたのが深夜であったため、目撃情報は少ないと思います。ただ、当時、美浜町付近を発達した積乱雲が通過していたのは間違いありません。

 今回は9月で、そして台風があったことを考えると一番に思い浮かぶのが竜巻です。日本ではこれまでに(1991年~2017年)458個の竜巻が発生し、そのうち最も多かったのが9月です。なぜ、9月が多いのかというと、台風が日本に上陸しやすい月だからです。

【竜巻】月別の発生数:気象庁ホームページより(著者作成)
【竜巻】月別の発生数:気象庁ホームページより(著者作成)

 台風は非常に発達した積乱雲を伴っているため、竜巻も多く発生することが知られています。2013年の台風18号では一つの台風としては最も多い11個の竜巻が発生しました。

【参考資料】

気象庁ホームページ:竜巻などの激しい突風とは

気象庁ホームページ:竜巻等の突風データベース

和歌山地方気象台:気象庁機動調査班による現地調査の実施について~和歌山県美浜町で発生した突風と思われる現象に関する調査~、2021年9月18日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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