「さすがですね」は失礼?上司や目上の人への褒め言葉は難しい!解決法を考える
お読みくださってありがとうございます!日本語教師の高橋亜理香です。
「目上の人や上司を褒めたら、何だか嫌な顔をされた」「いい意味の言葉を使ったはずなのに相手が気分を害した」…とこんな経験ありませんか?よく考えると「褒め言葉」は、目上の人に使えないものが多いのです。
今回はその根本的理由や、使わないほうがいい褒め言葉、またその言い換え方法を紹介します。
そもそも目上の人を「褒める」という行為がNGギリギリ?
「褒める」という行為は「いいこと」だと単純に考えてしまいがちですが、実はとても難しいもの。「優秀である」と判断すること自体が、そもそも相手へのジャッジです。たまたまその結果がよい方向だっただけであって、平たく言えば価値判断を下しているということ。「目上の人を評価している」と考えると、上から目線で失礼に思われてしまうのも納得がいきます。だからこそ、褒めるのは難しいのです。
目上の人には避けるべき褒め言葉
褒め言葉にもさまざまなものがありますが、特に上から目線に感じられて相手を不快にさせてしまう表現には、主にこのようなものが挙げられるでしょう。
◆さすがですね
◆偉いですね
◆たいしたものです
◆賢いですね
◆上手ですね
◆感心します
◆よくご存じですね
◆がんばりましたね
こういった表現は目下や子ども、場合によってはペットに使われたりするもので、それを敬体にしても失礼であることは否めません。相手との関係性にもよりますから、気にされない方もいらっしゃるとは思いますが、失敗しないためには避けたほうがよいでしょう。
「よくご存じですね」などは、一見丁寧に聞こえるので意外に思われるかもしれませんが、尊敬語を使っていてもやはりNG。意訳をすれば「案外、知識があるんだね」と言っているようなものです。ご注意ください。
それでも褒められればうれしい!どう言い換える?
かといって、「すごい!さすが!」と感激した気持ちを伝えたいと思うときもありますし、上司や目上の人も同じ人間ですから、適切な言葉で褒めてもらえたらやはり嬉しいものです。そんなときは、こんな言い換えで褒めてみてはいかがでしょうか。
1.「すごい!上手!」の代わりに、中身に興味を示す
例えば上司の趣味などを褒めたい場合は、「この作品はどうやって作っているのですか?」「この絵はどのぐらいの期間で描き上げられたのですか?」など、その内容について興味を示すほうが、社交辞令的にならずに気持ちがより伝わりやすいはずです。ビジネスの場面でも「そのアイデアは、どのようなきっかけで生まれたのですか?」など、プロセスや中身について言及してみるとよいのではないでしょうか。
2.「見習います」「勉強になります」など、自分ごとに置き換える
「勉強になりました!わたしもその方法を試してみます」「わたしも〇〇さんのようになりたいです」など、自分ごとに置き換えてお手本にしたい、目標としたい、という気持ちを表すのも方法のひとつでしょう。
また「感心しました」などの言葉は、「感銘を受けました」など評価を表す表現ではない類義語に言い換えるなどの工夫をしてみましょう。
3.「よくご存じですね」は、「造詣が深い」や「明るい」に言い換えてみる
「そんなことも知っているんだ!すごい!」という気持ちは、「そのような分野にも造詣が深いのですね」「〇〇についても明るいのですね」などの表現に言い換えてみてください。相手を不快にさせずに褒めたい気持ちを表せます。
相手も自分も気持ちいい「褒め言葉」にしよう
今回は、目上の人への褒め言葉の難しさと解決法を紹介しました。
せっかく感じた素直な「すごい!」という気持ち、失礼にならずに伝えられたらいいですよね。みなさんもいろいろな言い換え、考えてみてください!