「記録的高温」で地表がむき出しに 南極
このところ南極の高温のニュースが相次いで報告されています。その結果が一目でわかる衛星画像が発表されました。
上の写真は、南極イーグル島の2月4日(左)と13日(右)の衛星画像です。
NASAによると、6日から11日にかけて10.6センチの雪が解けたということです。これはこの時期の積雪量の20%に当たります。また、特に暖かかった6日には、たった一日で3センチもの雪が消滅しました。
南極に現れた池
13日の写真の中央には「Melt Pond」が写っています。
これは氷が解けて池のようになった箇所で、日本語で「溜まり池」などと呼ばれるようです。解けた水は雪よりも色が濃いので、太陽光を反射せず吸収し、地球全体のエネルギー収支のバランスを変化させるといわれています。
専門家は「これほど速いスピードで溜まり池ができたのは見たことがない」と、驚きを隠せない様子です。
2月の高温
南極では、どれほど気温が上がっていたのでしょうか。
上は、南極半島の先端アルゼンチン・エスペランサ観測基地の2月の最高気温の推移です。ほぼ毎日のように平均最高気温を上回る暖かさが続いて、6日には18.3℃を記録しました。これが南極大陸の観測史上最高記録となる可能性が濃厚となっています。
さらに9日には、エスペランサ基地に近いシーモア島で20.75℃の気温が観測されました。こちらは公認されない可能性もあるようですが、南極圏で20℃台が観測されたのは初めてです。
ちなみに南極大陸にある日本の昭和基地では、1月に平均最高気温を大きく上回る気温が連続して観測されました。2月には晴れの日が続いて、氷の融解が問題となったそうです。
どんな生物が生き残るのか
急速な環境変化は、南極の動物たちの生存を脅かしています。たとえば、海氷の裏に付いた藻を食べる「オキアミ」、さらにそれを餌とする「ザトウクジラ」や「皇帝ペンギン」などは、氷の融解により数が激減すると予想されています。
一方で、恩恵を受ける生物もいます。
生態生理学者のサイモン=モーリー博士によると、海氷が減り水中に太陽光がより降り注ぐと、カイアシ類などの生物が繁殖し、それを餌とする「ミナミセミクジラ」や「オウサマペンギン」が勝ち組になる可能性があるそうです。