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「iBookstore」オープンの意味するもの!?

田代真人編集執筆者
(C)Apple

3月6日未明、待ちに待った人が多いのかどうかわからないが、とにかく「iBookstore」日本語版がオープンした。昨年10月、アマゾンがキンドル書籍の販売を始めたことで、一気に盛り上がってきた電子書籍市場ではあるが、これでほぼほぼ国内外の電子書籍書店が出そろったことになる。

「iBookstore」がほかの電子書店と異なっているのは、それが紙の電子化書籍だけを販売するサイトではない、ということだ。

ここでは動画や音楽が入った真の電子書籍、いやもう電子書籍という呼び方は似合わないかもしれないが、とにかく、リッチコンテンツが詰まったパッケージ・コンテンツを販売することができる。Appleが昨年からMac App Storeで無料提供している「iBooks Author」という電子書籍制作アプリケーションで制作したリッチな"電子書籍"を販売できるのである 

米国ではすでにいくつもの「Made with iBooks Author」パッケージが販売されている。シンプルなモノからプログラムを組んで、本当に楽しめるリッチなものまでそろっている。

いままで「iBooks Author」で制作したものは日本では無料で配布するしか方法がなかった。しかも、自分のサイトでダウンロードさせるという原始的な方法だ。せっかく機能として「公開」というものを持っていたにもかかわらず、いままで使用することができなかった。

それが、今回の日本語版の登場でだれもが簡単にリッチコンテンツ・パッケージを配布することができるようになった。もちろん販売することもできる。私は昨年から大学で「iBooks Author」を使って作品を制作する授業をおこなってきた。

制作してみてわかるのが、ここでは新たな考え方、発想が必要だ。いままでの紙の編集者が2次元で企画を考えていたのが、ここでは3次元で考えなければならない。制作途中、何度も私は学生たちに「これは電子でやる意味があるの? 紙でいいんじゃない?」と問いかけた。これが彼女たちにとっては最大のハードルだった。

しかし、逆に考えれば、絵、音楽、小説、映画などに加えて、あらたな表現方法が出現し、加えてそれらを簡単にPublishできる時代になったのだ。新たな思考、想像力で、リッチ・コンテンツを制作して発表していく。これを歓迎しないわけにはいかない。今後多くの人々が、iBooksで作品を発表することだろう。それがいまから楽しみで仕方ない。

編集執筆者

1963年福岡県出身。86年九州大学工学部卒業後、朝日新聞社入社。その後、学習研究社にてファッション女性誌編集者、ダイヤモンド社にて初代Webマスター、雑誌編集長、書籍編集などを経て、2007年メディア・ナレッジ設立。代表に就任。出版&電子出版、Webプロデューサー、PRコンサルタントとして活動。現在は、駒沢女子大学教授、桜美林大学非常勤講師を務める。専門は「コミュニケーション」「編集論」。

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