鬼滅の刃 アニメ映画「上弦集結~」を鑑賞して気になった三つのポイント
人気作「鬼滅の刃」のアニメ映画「上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」が3日から公開されました。テレビで放送した「遊郭編」の第10・11話に加え、4月から放送予定の「刀鍛冶の里編」の第1話を先行して見せるという内容。鑑賞して気になった三つのポイントに触れてみます。
「鬼滅の刃」は、週刊少年ジャンプ(集英社)で2016~2020年に連載された吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんのマンガが原作です。人を食う鬼を倒す「鬼殺隊」になった竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、鬼になった妹を元に戻そうと奮闘します。
映画の特徴の一つは、客層、作品に対する反応がリアルに見えることです。そして気になった一つ目のポイントは、ファミリー層の多さでした。鑑賞中も、小学生らしき男の子が「〇〇って何?」と質問し、親が小声ですばやく答えていました。和風ダークファンタジーの内容からファミリー層向けの映画か?というと、違う意見もあるでしょう。ですが、一緒に仲良く楽しめるのであれば、それはそれで良いのではないかと思うのです。
以前に「鬼滅の刃」をネットで検索する層をビッグデータで調べたのですが、やや女性が多く、老若男女を問わず広い層を捕まえていました。「鬼滅の刃」の知名度の高さを今回のアニメ映画でも感じますね。コンテンツは想定した年齢よりも、次第に低くなっていく傾向があるのですが、「鬼滅の刃」もそういうところがあるのかもしれません。
二つ目は、キャラクターのセクシーなシーンも、原作に沿ってキチンと描いたこと。近年は描写について周囲への配慮が要求されるだけに、変更・修正の可能性も念頭にあったのですが、不要な心配でした。他作品のフレーズで恐縮ですが「退かぬ!媚(こ)びぬ!省みぬ!」という作品への愛、こだわり、覚悟を感じました。
そういえば、同アニメを手掛ける企業の一つ、アニプレックスは、東京都の青少年健全育成条例改正をめぐって、表現の自由について戦った過去があります。そのことを思い出しました。
「刀鍛冶の里編」は4月からテレビで放送されるだけに、外部からの指摘、批判を受ける可能性もありますが、ぜひ頑張ってほしいと思う次第です。
最後は、本質をえぐるような描写も変わらずあること。原作マンガも見て、アニメ「遊郭編」も視聴済みのため、ネタは割れているにもかかわらず、見る者の感情を揺さぶるパワーがありました。「無限列車編」のクライマックスで煉獄さんの姿を見て感動した人もいたでしょうから当然なのですが、そのすごさを再認識しました。
今回のアニメ映画を見なくても、4月から放送される「刀鍛冶の里編」を見れば、話は問題なくつながるものの、生の観客の反応は、ぜひ感じてほしいところ。コメディーのシーンでは、観客から笑いが漏れていましたし、強敵「上弦」のそろい踏みと、理不尽?なやり取りは、ニヤニヤした人も多そうです。
映画を見終えたときは「あれ?もう終わり?」という感想でした。それだけ熱中したのですね。
今回のアニメは、世界各地でワールドツアーがあり、ロサンゼルスの舞台あいさつは生中継される予定ですね。海外での反応も楽しみです。
そして、俗な話をすれば、アニメ映画の興行収入も気になります。今回の取り組みが成功すれば、プロモーション、コンテンツの効率的な利用という意味でも、見本にされる可能性がありそうですね。