トルコ軍ドローンの報復爆撃によりシリア軍兵士45人が死亡、シリア軍も砲撃でトルコ軍兵士6人を殺傷
シリア軍がトルコ軍の拠点を砲撃、トルコ軍兵士6人が新たに死傷
イドリブ県では、英国で活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、シリア軍が28日、タフタナーズ市およびマアーッラト・ナアサーン村の一帯に設置されているトルコ軍の拠点複数カ所を砲撃、トルコ軍兵士2人が死亡、6人が負傷した。
トルコ軍がイドリブ県、アレッポ県を攻撃し、シリア軍兵士45人を殺害
この攻撃に対する報復として、トルコ軍は、アレッポ県東部のズィルバ村、イドリブ県のサラーキブ市、マアッラト・ヌウマーン市近郊などM5高速道路沿線に展開するシリア軍と「イランの民兵」の拠点複数カ所を無人航空機(ドローン)で爆撃した。これにより、シリア軍兵士45人とレバノンのヒズブッラーの司令官4人が死亡した。
トルコ軍はまた、アレッポ市東のサフィーラ市近郊にある科学研究センターを地対地ミサイルで攻撃した。
トルコ国防省はシリア軍に対するピンポイント爆撃の映像を公開
トルコ国防省は、トルコ軍がシリア軍部隊、戦車、拠点などをピンポイント爆撃する映像を公開した。
映像の日付は2月27日となっており、同日にイドリブ県ザーウィヤ山での爆撃でトルコ軍兵士33人が死亡したことへの報復として行われた攻撃の映像だと思われる。
この攻撃で、シリア軍兵士数十人が死傷、戦車・装甲車多数、パーンツィリS1地対空ミサイル1基が破壊されたという。
トルコの支援を受けるアル=カーイダ系組織の反転攻勢も続く
イドリブ県ではまた、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室が、トルコの砲撃支援を受けて、アレッポ県との境に位置するトゥライハ村やダーディーフ村を攻撃、シリア軍と激しく交戦した。
ロシア軍による爆撃も続く
ロシア軍戦闘機も「決戦」作戦司令室が反転攻勢をかけるサラーキブ市および同市一帯、タルナバ村、ザーウィヤ山地方のバイルーン村を爆撃した。しかし、この爆撃で、サラーキブ市で民間人3人、バイルーン村で女性1人と子ども2人を含む4人が死亡した。
ロシア軍戦闘機はこのほかにも、トルコ軍監視所が設置されているイシュタブリク村、サルマーニーヤ村を爆撃し、シリア軍戦闘機もサラーキブ市、サルミーン市、アリーハー市を爆撃した。
シリア軍はイドリブ県西部に向けて進軍を続ける
国営のシリア・アラブ通信によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室との戦闘の末、イドリブ県西部との県境に位置するハマー県のマンスーラ村、ズィヤーラ町、ヒルバト・ナークース村、タッル・ワースィル村、ザイズーン・ジャディーダ村を制圧した。
シリア人権監視団によると、これを受けて、国民解放戦線、中国新疆ウィグル自治区出身者を主体とするトルキスタン・イスラーム党の増援部隊、新興のアル=カーイダ系組織のアンサール・タウヒードが失地回復のために合同増援部隊を派遣した。
トルコ軍はシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアレッポ県、ハサカ県、ラッカ県各所を砲撃
クルド民族主義勢力に近いANHAによると、トルコ軍とその支援を受ける国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市西のシャイフ・ナースィル村、シュワイハ村、タッル・リフアト市、同市近郊のウンム・フーシュ村、トルコ占領下のバーブ市近郊に位置する北・東シリア自治局支配下のジャブラト・ハムラー村、フータ村、タッル・トゥーリーン村、ハサカ県タッル・タムル町近郊のタッル・タウィール村、ラッカ県タッル・アブヤド市近郊のカズアリー村、ビールキータク村を砲撃した。この砲撃で、ジャブラト・ハムラー村の住民1人が死亡した。
(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)