寒暖差の激しかった2月後半から暖かい日が多い本格的な春到来の3月へ
令和2年から3年の冬
令和2年から3年(2020年から2021年)の冬は、前年の暖冬から一変し、寒冬となっています。
日本付近のジェット気流が大きく蛇行し、この蛇行にのって北極付近の強い寒気が、周期的に日本付近へ南下しているからで、これまで5回強い寒気が南下しています。
1回目は12月14日頃から、2回目は年末年始頃、3回目は1月7日頃から、4回目は1月16日頃から、5回目は1月29日頃からで、6目は2月17日頃からでのです。
そして、強い寒気が南下するたびに、各地の冬日(最低気温が0度未満)と真冬日(最高気温が0度未満)の観測地点数が増加しました(図1)。
1月下旬からの5回目・6回目の寒気南下は、短い周期で寒い日が繰り返されるもので、時折、暖気が入って春を思わせるものでした。
2月後半からは、変動幅が大きく、冬日は、2月15日には全国の観測地点の約18パーセントだったものが、18日に約90パーセント、22日に31パーセント、25日に71パーセントと、3~4日で大きくかわっています。
2月最後の土曜である27日は、大きな移動性高気圧に覆われ、晴れる所が多かったのですが、上空に流れこんでいた寒気の影響が残っていたため気温がそれほど上がりませんでした。
28日の日曜から週明けの3月1日は、高気圧の中心が日本の東海上に移動し、この高気圧の縁辺をまわるように南から暖気が入ってきます(図2)。
このため、朝は放射冷却によって寒くなりますが、日中は全国的に気温が上昇する見込です。
春はいつ
図3は、福岡・東京・仙台の最高気温の推移です。
3地点とも、2月中頃から短い間隔で気温が高い日と気温が低い日が繰り返されています。
例えば、福岡の2月18日の最高気温は3.9度と、仙台の最高気温3.8度とほぼ同じだったのですが、20日からの3日間は20度を超えています。
そして、26日には9.9度と10度を下回っています。
しかし、3月に入ると、寒暖を繰り返すことは同じですが、これまでより変動幅は小さくなり、平年値より気温が高い日が続くようになります(図3では東京の平年値のみ表示)。
これは、東日本や西日本には、強い寒気が南下しにくくなってきたからで、本格的な春到来といえるでしょう。
日本列島に南下する寒気の目安として、上空約5500mの気温が使われます。
上空約5500mの気温が氷点下30度以下なら強い寒気、氷点下36度以下なら非常に強い寒気で大雪の可能性もあります。
3月2日から3日に南下してくる寒気は、氷点下30度が津軽海峡付近まで、氷点下36度が北海道北部までです(図4)。
3月6日頃や、3月9日頃に南下してくる寒気も同様で、氷点下30度以下の強い寒気は、東北地方以南には南下しない見込みです。
東京の3月前半の予報
週明けは3月です。
気象庁が発表した一か月予報によると、3月は全国的に気温が高くなる予報です。
気象庁の一か月予報は、気温が高くなる確率、平年並みの確率、低くなる確率で発表し、平年通りの気温であれば、この3つの確率は33.3パーセントで等しくなります。
しかし、令和3年(2021年)3月は、東日本と西日本では気温が高くなる確率が70パーセント、北日本と沖縄・奄美でも気温が高くなる確率が60パーセントもあります(図5)。
全国的に気温が高い3月になる可能性は非常に高い予報です。
同時に、3月は関東から西日本の太平洋側にかけては降水量は多くなるという予報もでています。
東京の16日先までの天気予報をみても、3月前半は、気温が高く、傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性が高い曇り)が多くなっています(図6)。
降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEや、二番目に低いDが多い予報で、信頼度は高くないのですが、一か月予報と同じ傾向を示しています。
寒かった冬も終わり、木々は芽をふく準備が終わっていますので、本格的な春到来とともに、目に見える変化があります(タイトル画像参照)。
新型コロナウイルスも終息に向かい、その変化を楽しめる春到来になって欲しいと思います。
タイトル画像の出典:筆者撮影。
図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。
図2、図5の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ資料をもとに筆者作成。
図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。