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結局どうなる日本代表? 2020年大型スコッド予想リスト【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
写真は日本大会のスコットランド代表戦後。(写真:青木紘二/アフロスポーツ)

 昨年のワールドカップ日本大会で初の8強入りを果たしたラグビー日本代表は、6月以降に予定されたテストマッチをおこなえない可能性がある。新型コロナウイルスの感染拡大のため、延期もしくは中止の方向で話が進みそうだ。

 かねて実施へ尽力したいとしていた日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事も「世界の国々と一致しているのは、まずすべての人の健康、安全を第一に考えること」と、ワールドラグビーの判断を尊重するとした。15人制日本代表の強化委員会は、折からの外出自粛ムードにあって準備状況が十分でないことから実施へは慎重な構えだ。

 現実的に、同代表は水面下で今年の活動に参加する大枠のスコッドを編成している公算が高い。本稿ではそのメンバーを下記5項目に沿って予想する。人数は未定だろうが、本稿では計52名にした。

 本ページで以前掲出したネクスト日本代表…ワールドカップメンバー以外で代表選ぶなら誰?【ラグビー雑記帳】が「選ばれそう」と「選ばれたら面白い」のハイブリッド版だとしたら、こちらは「選ばれたら面白い」以上に「選ばれそう」に重きを置いた結果。ポジション別、順不同。

・ワールドカップ日本大会に登録された31名中、現役引退を表明したトンプソン ルーク以外は辞退希望者も含め大半が選出されそう。トンプソン以外にも選出が不透明な選手もいるという見立ては強いが、下記予想スコッドでは可能性のある30名全てをリストアップした。

・それ以外のメンバーもジョセフヘッドコーチがトップリーグの実施された全6節、サンウルブズのスーパーラグビーでの試合のパフォーマンスを見て決めた模様。『ONE TEAM』をスローガンに家族的なチーム作りを目指す指揮官の性格上、ワールドカップのメンバー入り争いに最後まで絡んだ選手も継続してチェックしそう。その点を留意した。

・直近ではジュニア・ジャパンがフィジー・スバでのパシフィック・チャレンジで優勝。チームを率いた水間良武監督は日本代表との連関性強化を強く希望しているため、水間監督が推薦した選手にジョセフヘッドコーチが反応する可能性もリストに加味した。

・国際経験のない大学生選手を抜擢した例は少ないことから、大学ラグビーでの活躍より海外チームとの対戦時、トップリーグでのそれを重視した。

・印は次の通り…〇=ワールドカップ日本大会出場/■=2020年サンウルブズスコッドもしくは練習生/▲=代表資格取得条件のひとつである「2020年までに3年連続で国内居住」の達成が不透明な海外出身選手/★=2020年ジュニア・ジャパン/※=公の場で今年の代表辞退を示唆

左プロップ

 セットプレー以上にフィールドプレーでの存在感が重視される傾向が強い。大学ラグビー界屈指のスクラムの強さを誇る紙森に挑戦権は与えられるか。

稲垣啓太(パナソニック) 〇

中島イシレリ(神戸製鋼) 〇

安昌豪(明大→キヤノン/サンウルブズ) ■

紙森陽太(近大) ★

フッカー

 現在34歳の堀江は「トンプソン ルーク方式で行きます」と、2023年のワールドカップフランス大会に向けては計画的に心身を整えたい旨で発言している。スローイングの精度を理由に日本大会出場を逃した堀越は、2018年は所属先で左プロップに挑戦も今年から本職一本で勝負。躊躇なく身体をぶつけられる気質を長所に日本大会組に迫る。

堀江翔太(パナソニック) 〇※

坂手淳史(パナソニック) 〇

北出卓也(サントリー) 〇

堀越康介(サントリー) 

右プロップ

 左プロップと同様、スクラムの再現性に加え機動力とタフさが求められる。木津はワールドカップで不出場もチーム内での評価が高い。

具 智元(ホンダ) 〇

ヴァル アサエリ愛(パナソニック) 〇

木津悠輔(トヨタ自動車) 〇

ロック

 比較的、堅実にロータックルを打ち込める勤勉な選手が好まれ、サンウルブズで台頭した谷田部、ストーバークがトンプソンの後釜候補となる。箸本はジョセフに近い筋から珍しく名前の挙がった大学生の1人。身長は188センチとあって、選出されればフランカーとして期待を受けそう。

ジェームズ・ムーア(宗像サニックス) 〇

ヘル ウヴェ(ヤマハ) 〇

ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモ) 〇

シオネ・ラベマイ(東芝)

谷田部洸太郎(パナソニック/サンウルブズ) ■

マイケル・ストーバーク(近鉄/サンウルブズ) ■▲

箸本龍雅(明大) ■

フランカー/ナンバーエイト

 フォワード第3列は海外出身者を中心とした激戦区。攻撃陣形の構造上、タッチライン際に立つ可能性も高いためハンドリングスキルか突破する際のスピードもしくはパワーが重宝されそう。ロックと同様、防御時の勤勉さも選考を左右する。

リーチ マイケル(東芝) 〇

ピーター・ラブスカフニ(クボタ) 〇

姫野和樹(トヨタ自動車) 〇

徳永祥尭(東芝) 〇

アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコム) 〇

布巻峻介(パナソニック/サンウルブズ)

ベン・ガンター(パナソニック) ▲

タウムア・ナエアタ(神戸製鋼)

ファウルア・マキシ(クボタ)

テビタ・タタフ(サントリー)

ラーボニ・ウォーレンボスアヤコ(宗像サニックス) ▲

スクラムハーフ

 現体制は練習中やミーティング、試合での発言やプレー選択を通し、戦術理解度の有無を重視していそう。リーダーシップを評価される流は引き続き主力候補の最右翼で、パスの精度とスタミナに長ける齋藤とは所属先、代表チームで長らくライバル関係を築きそう。

流  大(サントリー)〇

茂野海人(トヨタ自動車) 〇

田中史朗(キヤノン) 〇

齋藤直人(早大→サントリー/サンウルブズ) ■

スタンドオフ

 ランニングスキルの高い山沢は、このチームで重視される戦術理解度や試合中の情報処理能力で再評価されれば地殻変動を起こしうる。正司令塔だった田村は今後の代表招集への思いについて明言を避け、「2023年は外国人が務めている可能性が高いんじゃないですか」と述べる。スキルフルなグリーンは関係者の話では当確に近く、名ゴールキッカーのパーカーはフランス大会の直前までに資格を取って欲しいと期待される。

田村優(キヤノン) 〇

松田力也(パナソニック) 〇

サム・グリーン(ヤマハ) ▲

ヘイデン・パーカー(神戸製鋼) ▲

山沢拓也(パナソニック)

センター

 ロック、フランカーと同様に防御時の判断やタックルの質を重視される。梶村が今季のトップリーグでワークレートの上昇を目指したのは、その傾向と無縁ではなかった。フィジカリティがスーパーラグビーでも通用したフィフィタはどこまで競えるか。

中村亮土(サントリー) 〇

ラファエレ ティモシー(コカ・コーラ) 〇

梶村祐介(神戸製鋼) 

シオサイア・フィフィタ(天理大/サンウルブズ) ■

ウイング

 ジョセフヘッドコーチの言葉を借りれば「Xファクター」が重宝される。抜群に足が速かったり、問答無用の突破力があったりすれば白羽の矢は立ちやすい。木田は身体の幹の強靭さと捕まっても容易にジャッカルされないボディバランスが際立つ。

福岡堅樹(パナソニック) 〇※

レメキ ロマノ ラヴァ(前ホンダ) 〇

アタアタ・モエアキオラ(神戸製鋼) 〇

ジョネ・ナイカブラ(東芝) 

木田晴斗(立命大) ★

フルバック

 日本大会が迫るにつれサイズ感が重視された位置。眼鏡にかなったのが山中とトゥポウだった。日本大会でウイングだった松島はフルバックでのプレーを希望する。2017年には主力争いに絡んだ野口は、守りから攻めに転じた際に素早くライン参加でき現体制のプレースタイルとの親和性が高い。

松島幸太朗(サントリー) 〇

山中亮平(神戸製鋼) 〇

ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ) 〇

野口竜司(パナソニック)

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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