ネクスト日本代表…ワールドカップメンバー以外で代表選ぶなら誰?【ラグビー雑記帳】
昨秋のワールドカップ日本大会で初の8強入りを果たしたラグビー日本代表は当初、今年6月下旬以降にウェールズ代表やイングランド代表とテストマッチを実施予定も先行きは不透明。新型コロナウイルス感染拡大の影響で予定通りの開催は難しく、延期が最善手と見られる。
関係者によると、日本代表は本来なら春のうちに50名超のスコッドを編成し、段階的にミニ合宿を実施するなどしてテストマッチのメンバーを選ぶ予定だった。現状では、スコッドこそ水面下で決まっているものの活動予定は定まっていない。
当該のスコッドは日本大会組が中心となりながら、開催中だった国内トップリーグやスーパーラグビーで活躍するブレイク組もリストアップされている。
本サイトではこれらの現状を踏まえ、次なる日本代表への展望記事を展開する。今回はワールドカップ日本大会に出ていない選手だけで試合登録メンバー23名を編成。各選手の見どころなども伝える。
まずは参照として日本大会のスコットランド代表戦の登録メンバー、およびベンチ外の選手の顔触れを確認する。当時の選出の経緯や今後の展望を踏まえ、次世代組のラインナップを提示。末尾に解説をまとめた。
ワールドカップ日本大会 日本代表対スコットランド代表登録メンバーおよびベンチ外選手
1 稲垣啓太(パナソニック)
2 堀江翔太(パナソニック)
3 具智元(ホンダ)
4 トンプソンルーク(前近鉄)
5 ジェームス・ムーア(宗像サニックス)
6 リーチマイケル(東芝)
7 ピーター・ラブスカフニ(クボタ)
8 姫野和樹(トヨタ自動車)
9 流大(サントリー)
10 田村優(キヤノン)
11 福岡堅樹(パナソニック)
12 中村亮土(サントリー)
13 ラファエレティモシー(神戸製鋼)
14 松島幸太朗(サントリー→ASMクレルモン)
15 ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ)
16 坂手淳史(パナソニック)
17 中島イシレリ(神戸製鋼)
18 ヴァルアサエリ愛(パナソニック)
19 ヘルウヴェ(ヤマハ)
20 ツイヘンドリック(サントリー)
21 田中史朗(キヤノン)
22 松田力也(パナソニック)
23 山中亮平(神戸製鋼)
※その他の日本大会組…北出卓也(サントリー)、木津悠輔(トヨタ自動車)、ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモ)、徳永祥尭(東芝)、アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコム)、茂野海人(トヨタ自動車)、ロマノ レメキ ラヴァ(元ホンダ)、アタアタ・モエアキオラ(神戸製鋼)
日本大会に挑んだジェイミージャパンでは、トニー・ブラウンアタックコーチがスペースへ素早くパス、キックを散らすスタイルをち密に練り上げてきた。攻撃布陣における各人の役割が明確化していたのも特徴だ。
そのためスクラムが主戦場となるプロップ、フッカーの選手にも一定のハンドリングスキルや運動量、戦術理解度が問われ、ロックとフランカーにはタックル、スクラムハーフにはゲームコントロール、バックスリー団の1人(多くの場合はフルバック)にはサイズ感が特に求められた。
技術面以外で必須とされたのは、試合の規模感などに関わらず一定のパフォーマンスを示せる一貫性だった(藤井雄一郎強化委員長は、この状態を「タフ」と表現)。
以下、上記の要素に直近のパフォーマンスからくる期待感を交え、日本大会組以外で23名のラインアップを編成した。「※」は日本代表資格取得前の選手を指す。その他、「★」の囲みで将来性のあるメンバーを挙げた。
(4月30日補足:下記は現時点で試合をする場合のスコッドを想定。しばらく代表資格取得に時間のかかるのが確定的な選手は選外とした)
1 森川由記乙(サントリー)
2 堀越康介(サントリー)
3 細木康太郎(帝京大)
4 谷田部洸太郎(パナソニック/サンウルブズ)
5 マイケル・ストーバーク(近鉄)※
6 ファウルア・マキシ(クボタ)
7 ベン・ガンター(パナソニック)
8 タウムア・ナエアタ(神戸製鋼)
9 齋藤直人(早大→サントリー/サンウルブズ)
10 サム・グリーン(ヤマハ)※
11 ジョネ・ナイカブラ(東芝)
12 マイケル・リトル(三菱重工相模原)※
13 梶村祐介(サントリー)
14 ディラン・ライリー(パナソニック)
15 野口竜司(パナソニック)
16 島根一磨(パナソニック)
17 安昌豪(明大→キヤノン/サンウルブズ)
18 テビタ・タタフ(サントリー)
19 シオネ・ラベマイ(東芝)
20 箸本龍雅(明大)
21 小山大輝(パナソニック)
22 山沢拓也(パナソニック)
23 シオサイア・フィフィタ(天理大/サンウルブズ)
★その他…フッカー=武井日向(明大→リコー)、左プロップ=三浦昌悟(トヨタ自動車)、ロック=秋山大地(トヨタ自動車)、ロック/フランカー=アシぺリ・モアラ(天理大)、スクラムハーフ=藤井達哉(宗像サニックス)、スタンドオフ=岸岡智樹(早大→クボタ)、アウトサイドセンター=池田悠希(NTTコム)、ウイング=木田晴斗(立命大)、スタンドオフ/フルバック=山沢京平(明大)
ゲーム主将はガンター。勉強中の日本語と英語の両方が話せ、スピードある走りと効果的な防御(接点で相手の球出しが遅れた際、大抵この人が絡んでいるような)が光る。
フロントローは機動力のある顔ぶれを揃えた。なかでもフッカーの堀越は日本大会メンバーの選考レースに最後まで残った。着実にゲインラインを切る突進とタックルを何度も繰り返せる。森川は一時サントリーで控えに回ったが、その器用さと運動量には「ジェイミーが一番好きなタイプ」という声もある。テビタ・タタフは本来ナンバーエイトも、本欄ではフロントローに適正がある可能性を鑑みて18番に入れた。イシレリもワールドカップイヤーに転向とあり、現在別なポジションに入るアイランダーのコンバートも期待される。
ロックにはトンプソンやムーアと同様、絶えずロータックルを打ち込む長身選手を並べた。谷田部は2023年のワールドカップフランス大会時は37歳と大ベテランの域に入るが、本人は初出場に意欲的。身長2メートル超でスピードのあるストーバークは2017年に来日し、2020年はサンウルブズの一員としてスーパーラグビーデビューを果たす。関係者によれば、代表資格取得に必要な居住歴(2020年12月31日までの間に当該国に3年連続居住、もしくは当該国に5年連続居住)をいつクリアできるかが不透明な様子。吉報が待たれる。
バックローには、リーチ、ラブスカフニ、姫野のように攻守で力強さを発揮できる選手がずらり。ナエアタは流経大から神戸製鋼入り後に一気にシェイプアップし、新世代のフィジカルモンスターとして期待が集まる。
司令塔団での注目はスクラムハーフの齋藤直人。さばくスピードとロングパスの精度、献身的なカバーリングはスーパーラグビーでも通用した。スタンドオフでは現状、スキルと経験値でサム・グリーンに一日の長がありそう。走り切れる山沢きょうだいや視野の広い岸岡、目配りが際立ち身体も張れる眞野泰地(東海大→東芝)らがどこまで挑めるか。
両ウイングはスピードが魅力。特にナイカブラは長距離のランニングでもスピードが落ちず、日本ラグビー史有数のフィニッシャーとなりうる。運動量とポジショニングが光る野口は大柄ではないが、ウイングに身長187センチで本来アウトサイドセンターのライリーが立つことでサイズ感を保てる。
センター、フルバックでは、日本大会出場にあと一歩まで迫った梶村、野口と、大柄ではなくともボールを持たない時の動きが際立つ戦士が目立つ。少しでも早くハイレベルな環境で挑んで欲しいのは木田。高校時代は無印も、強靭さとボディバランスはジュニア・ジャパンでも光っている。