「最初の6分で決まってしまった」と指揮官が語ったように、スロースタートが致命傷となったU19日本代表
FIBA U19ワールドカップに向けた準備を進めるため、日本はスペインに遠征し、スペイン、ブラジル、カナダと対戦。身長と腕の長さへの慣れるという意味では、絶好の機会になるはずだった。
しかし、ブラジルとのグループ初戦はスペイン遠征での3試合同様、オフェンスでアグレッシブさを欠いてなかなか得点できず、開始から4分半で2対10とリードを奪われる。ロロ・ルドルフのアシストからジェイコブス晶がフィニッシュする好プレーが出ても単発。ブラジルのアグレッシブにアタックし続けるオフェンスに対し、日本のディフェンスは後手後手になり、リバウンドの確保にも苦労してしまう。
「ブラジルが前の対戦よりもよかったのもあるけど、最初の6分間で決まってしまった」とは、日本を率いるアレハンドロ・マルティネスヘッドコーチ。2Q開始早々に21点差とされた後、川島悠翔がアグレッシブなドライブ、ジェイコブスのファストブレイクレイアップなどを決めて11点差にした時間帯は、今後の試合に向けてのプラス材料と思われた。
ところが、2Q途中でジェイコブスがディフェンス中に偶発的なコンタクトで右ひざを痛めてしまうと、マルティネスコーチは後半で1分も使わない決断を下す。ジェイコブスは試合後、現状について次のように説明してくれた。
「今は痛みがあるんですけど、明日までに治そうと頑張ります。みんなが頑張っているところで、僕があそこで何もできないと言うのは辛いです。でも、みんなが戦っていいところも見せてくれたので、次の試合で戻ってみんなと同じファイトを見せたいと思います」
ジェイコブスを欠いた後半は、川島が何度かブロックショットに見舞われたとしても、アグレッシブにゴールにアタックし続けた。それは32分9秒間で30点を奪い、フリースローの試投数が11本を数えたことでも明らかであり、U19の世界レベルでも存在感を十発揮したと言っていい。
「結構攻めて自分なりにアタックしたんですけど、ミスとか多かったので、もっと効率のいい選手になれるようにこれからはもっと考えてフェイクとかを使って、結構ブロックされたので、初戦で相手の高さとかいろいろわかった。試合を後で見てしっかり修正していきたいです」
試合をこう振り返った川島だったが、トータルで3本とリバウンドでの貢献度は残念ながら低かった。ジェイコブスが不在となった日本に対し、サイズと身体能力の高さ、フィジカルの強さで優位に立つブラジルは、セカンドチャンスやペイント内で着実に得点を重ね、最大で31点のリードを奪っての勝利。日本は湧川颯斗が12本を奪う奮闘を見せたものの、チームトータルで29本の差がついてしまったリバウンドの改善と、スペイン遠征から続いているスロースタートの回避が、エジプト戦に勝つために欠かせない。
「試合にもっとエナジーを持って臨まなければいけない。アップの時からエナジーを出すことができていないかなと思っています」とジェイコブスが語ったように、エジプト戦での日本はティップオフからエンジン全開、攻防両面でアグレッシブなプレーを見せなければならない。2017年の10位を上回ってのベスト8進出という目標を達成するためにも、エジプト戦は今大会の命運を左右すると言っていいだろう。