キュンとフルーティー苺餡?それとも王道粒あん?吉岡製菓さんの「いちころか」は二種類のあんこで大満足
うっすら狐色、はたまた白磁の澄んだ白…定番和菓子のひとつ、最中の皮(最中種)の色や形は実に様々!最中種とあんこ、という一見単純な組み合わせだけに、その可能性は無限大。
出雲大社をはじめ、数々の風光明媚な海浜公園といった観光名所に富んだ島根県出雲市。そこにお店を構える1953年創業の和菓子屋「吉岡製菓」さんでは、最中の可能性のエンタメ性を新しいベクトルで引き出したキュートなお菓子を展開中。
今回は「いちころか」の苺コンフィチュール餡と粒餡をご紹介。
真っ赤に熟れた苺がそのまま大きくなったような紅色の最中。よーく見ると最中種にはあらかじめ苺の種の模様が刻まれているのですが、あえてひとつずつ緑色のヘタと黒い種を描いていくという手間暇をかけた最中。こういった発想がついつい視線を奪われる秘訣のひとつなのかもしれません。
好奇心からパカッと中最中種を開いて中を覗いて見ると、つやつやの赤い苺餡。しかし、ただの苺餡にあらず。果実の酸味を大切にしていらっしゃるのか、香りを飛ばさないようスピーディーに炊き上げた苺コンフィチュール餡。まさにコンフィチュールのような甘味と酸味を兼ね備えています。スンと駆け抜けていく可憐な清涼感は、なかなか最中では味わうことのできなかった出会いかと。
対して、薄紅色の最中の中には粒餡がたっぷり。こっくりとしたまろやかな甘味の粒餡は、非常に口当たりが優しくほっと心穏やかになるような素朴さを備えた王道派。見た目こそふわふわとした愛らしさが漂いますが、それだけではなくほくほくとした小豆そのものの食感も大切にしたあんこなので、ある意味見た目とのギャップに「いちころ」かも。
苺コンフィチュール餡も粒あんも、それぞれの魅力に絶妙な塩梅でスポットライトを当てて輝かせてくれるのは、盛り上げ上手な(特に若女将の友加里さん)ご夫妻だからこそかもしれません。
実は今回、春らしく苺コンフィチュール餡をふたつにしようかと思っていた私。なのですが、これはふたつセットであんこの違いを楽しめる最中だと、一種類ずつに変更した自分へ内心ガッツポーズを送りました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<吉岡製菓>
公式サイト(外部リンク)
島根県出雲市斐川町荘原3940
0853-72-4566
9時~18時
定休日 火曜