インフルエンザの治癒証明書は不要です!
インフルエンザが全国的に流行シーズンに突入しています。
先日、同僚がインフルエンザで病欠をしていたのですが、お子さんもインフルエンザに罹って大変だったようです。
その同僚が、インフルエンザが治った証明のためにお子さんと一緒に小児科を受診しないといけないと愚痴っていました。
なんでも保育園に登園許可書を提出しないと保育園に通園再開ができないそうです。
なんと!この令和の時代にまだ登園許可書だの治癒証明書だのを必要としている保育園があるとはッ!!
・・・と一瞬驚いたフリをしたものの、忽那リサーチによると、保育園だけでなく幼稚園や小学校、中学校、高校も未だにこの制度が続いている施設がまだまだ多いようです。
私はこの治癒証明書やら登校許可書を必要とする現状に警鐘を鳴らすものであります。
前回の「インフルエンザになったらしっかりと休める職場環境づくりを」で述べましたように、学校保健法でインフルエンザに罹った場合、
の間、休むことになっています。社会人もこれに準じるのが一般的です。図にすると以下のようになります。
これを見てお分かりの通り、
・発症日がいつなのか
・解熱した日がいつなのか
が分かれば、いつから登校すれば良いかは自ずと分かります。体温は家で測れますので、必ずしも病院を受診して医師が判断をする必要はありません。
そもそも学校保健法では医師の登園許可書や治癒証明書の発行を義務付けてはいません。
厚生労働省も、
とあり、社会人が業務に復帰する場合に関しては、治癒証明書の提出を求めることは望ましくないと明記されています。
一方、学校と保育園とではややスタンスに違いがあるようで、
となっています。
つまり学校では治癒証明書を一律に求める必要はない、とされる一方で保育園は地域で協議して決めることとされています。
筆者は保育園でも治癒証明書は不要と考えます。
保育園や学校、会社側が治癒証明書や登園許可書を求める理由としては、自施設内でのインフルエンザの蔓延を防ぐためです。
これは園児や児童、社員を守る姿勢としては当然正しい考え方ではあるのですが、先ほど述べた通り「発症日と解熱日」が分かればいつから復帰できるかは医師でなくても判断できます。
また「インフルエンザが良くなった」ということと「感染性がゼロになった」とは必ずしも一致しません。
この図からも分かる通り、1週間経って症状が良くなってもわずかながらにウイルスの排出が続いていることがあります。
しかし、これは医師が診察をしたからといって判断できるものではありません。
ですのでインフルエンザから良くなって登校・出勤する場合も呼吸器症状が残っている場合はしばらくはマスクを付けておくことが望ましいと考えます。手洗いの励行は、復帰した人だけでなく、インフルエンザシーズンでは全ての人に求められます。
一方で施設が治癒証明書を求めることによるデメリットもあります。
罹患した本人や保護者は、すでによくなってピンピンしているのにもう一度病院を受診しなければなりません。場合によっては待たされることもあるでしょう。
病院は具合の悪い方が多くいる場所ですので、待ち合いでまた別の感染症をもらってしまう、なんていうこともあり得るかもしれません。
証明書を書く病院側の負担も決してばかになりません。特に冬のシーズンは病院は混み合っていますから。
このような考えから、治癒証明書・登校許可書は不要とする動きはすでに自治体から出てきています。
例えば、沖縄県は2018年2月に「インフルエンザ罹患に伴う治癒証明書を求めることについて」という通知の中で、教育機関において治癒証明書を求めることを控えるよう求めています。
沖縄県の様式では、発症日と診断日、発熱の経過を記載する欄があり、これを提出すれば復帰ができるというものです。
シンプルですし、とてもわかりやすい書式だと思います。
岐阜市教育委員会も同様の通達を出しており、浜松市・静岡市も今後はそのようにする方針のようです。
このような動きが全国的に広がることを期待します。