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トルコの庇護を受ける国民解放戦線がシリア軍ヘリを撃墜、シリアのアル=カーイダはトルコの介入を容認

青山弘之東京外国語大学 教授
(写真:ロイター/アフロ)

シリア軍がアターリブ市に迫る

アレッポ県では、国営のシリア・アラブ通信(SANA)によると、シリア軍が14日、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構やトルコの庇護を受ける国民解放戦線(国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室との戦闘の末、アウラム・スグラー村を制圧した。

英国を拠点とする反体制系NGOのシリア人権監視団によると、シリア軍はまたアウラム・クブラー町を制圧した。

これにより、シリア軍はイドリブ県との県境に位置する要衝アターリブ市の南東3キロの地点にまで到達した。

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国民解放戦線がシリア軍ヘリを撃墜

これに対して、トルコ軍はアターリブ市に装甲車や兵員輸送車数十両を新たに派遣、同地一帯に部隊を展開させた。

また、シリア人権監視団によると、アレッポ市西のカブターン・ジャバル村一帯に展開するトルコ軍が「樽爆弾」による爆撃のために同地上空に飛来したシリア軍ヘリコプターを撃墜し、乗組員2人が死亡した。

反体制系サイトのドゥラル・シャーミーヤが複数の現地情報筋の話として伝えたところによると、死者は2人ではなく、ターリク・リヤード・アリー大尉、バッシャール・イーサー大尉、ミーラード・スライマーン軍曹の3人。

これに関して、ロシアのスプートニク・ニュースは、アターリブ市一帯に展開するシャーム解放機構が地対空ミサイルを発射し、ヘリコプターを撃墜したと伝えた。

また、RTは複数の地元筋の話として、ヘリコプターがダーラ・イッザ市近郊のトルコ軍監視所から発射された携帯式の地対空ミサイルによって撃墜されたと伝えた。

だが、その後、国民解放戦線が声明を出し、ヘリコプターを撃墜したと発表した。

ヘリコプターと戦闘機が我らが民間人に対して行う虐殺への報復として、そしてまた彼らが爆発性の高い「樽爆弾」で女性、子ども、そして民間人が多くいる町や村を無差別に狙い、何百万という無垢の人々を死に至らしめているがゆえ、国民解放戦線の防空大隊は犯罪者体制軍のヘリコプター1機をアレッポ市西部郊外上空で狙い、これを撃墜した。

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トルコ軍によるヘリコプター撃墜を受けて、シリア軍は戦闘機・ヘリコプターによる爆撃を中止した。

また、ドゥラル・シャーミーヤによると、「決戦」作戦司令室団は、アレッポ市西部郊外のフルサーン協会、クルトバ丘を奪還した。

ロシアの爆撃続く

一方、ロシア軍はこの間、アウラム・クブラー町、第46中隊基地一帯、マアッラータ村、アターリブ市、カブターン・ジャバル村、ラドワーン協会などを爆撃し、マアッラータ村では子ども2人と女性1人を含む5人が死亡した。

イドリブ県でシリア・ロシア軍の攻撃拒否、トルコ軍支援を訴えるデモ

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のアアザーズ市で金曜日の集団礼拝後に抗議デモが行われ、参加者はシリア・ロシア軍の攻撃反対を訴えた。

また、ドゥラル・シャーミーヤによると、イドリブ県のダーナー市、サルマダー市、カフル・ヤフムール村でも、抗議デモが行われ、参加者はトルコ国旗を掲げ、トルコ軍の軍事作戦支持を訴えた。

シャーム解放機構のジャウラーニー指導者はイドリブ県での戦闘へのトルコ軍の介入を容認

シャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者は、地元のメディア関係者との懇談のなかで、イドリブ県での戦闘へのトルコ軍の介入を容認した。

https://ebaa.news/
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ジャウラーニー指導者は13日にイドリブ県某所で行われた懇談のなかで、「戦いのなかで何かに賭けたり、依存するかどうかは、我々の内面的な力次第であるとともに、革命における公の利益に資するそれ以外のあらゆる機会に対して投資は行われる」と述べ、トルコ軍の介入を暗に容認した。

また「解放区にあるエネルギーはこの攻撃を撃退するに十分だ。最近の革命諸派の連携は、これまでになくうまくいっていると明言したい。だが、同時に、我々はさらなる軍事組織を必要としている」と付言した。

シャーム解放機構に近いイバー・ネットが伝えた。

(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)

東京外国語大学 教授

1968年東京生まれ。東京外国語大学教授。東京外国語大学卒。一橋大学大学院にて博士号取得。シリアの友ネットワーク@Japan(シリとも、旧サダーカ・イニシアチブ https://sites.google.com/view/sadaqainitiative70)代表。シリアのダマスカス・フランス・アラブ研究所共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員を経て現職。専門は現代東アラブ地域の政治、思想、歴史。著書に『混迷するシリア』、『シリア情勢』、『膠着するシリア』、『ロシアとシリア』など。ウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営。

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