平和賞演説中、意図的に拍手をしなかったノルウェー首相に賛否両論
ノーベル平和賞の受賞者ICANの演説中に、故意に拍手をしなかったシーンがあったノルウェーのアーナ・ソールバルグ首相(中道右派・保守党党首)。
翌日11日には記者会見が開催された。国内・国際メディアからは質問は1個ずつとのこと。ノルウェーメディアを代表してノルウェー国営放送局NRKが選んだ、どうしても聞きたかったことは、その拍手だった。
ノルウェーはNATOに加盟している。目標は共有するが、ICANの一部の戦略には同意できない。核兵器国を巻き込めていない禁止条約は難しいと、首相は微笑みながらはっきりと答えた。
「だから首相は拍手をしなかった」、「首相は自分の態度を自己弁護した」という見出しが、現地の新聞やテレビですぐさま報道される。
ノルウェーの左派系新聞ダーグスアヴィーセン紙は12日の社説で、ノルウェー首相の態度を「大人げない」と批判した。
「子どものほうが、社交の場でもっとちゃんとした振る舞いができる。微笑みながら、手を膝の上に置いていた首相の姿は、恥ずかしいものだった。我が国の首相には、国際的な場では最低限のマナーは身につけていることを望む。このようなジェスチャーで抗議するとは、首相らしいものとはいえない」(Dagsavisen)。
NRKの記事が掲載されたFacebookのコメント欄では、ノルウェー語でこのようなコメントがあった。
- 「ストルテンベルグNATO事務総長(ノルウェー元首相、中道左派の労働党元党首)も、この場にいたら拍手をしなかったろうね」
- 「あまりにも失礼だ、恥ずかしい」
- 「出席しないで、家にいたらよかったのに」
- 「ノルウェー政治を弱体化させるような人たちのために、首相が拍手をする必要はない!ノーベル委員会とノルウェー国会の独立性を強調するためにも、いいことだ!」
- 「理解するのは難しいかもしれないけれど、首相はバランスをとる必要があったんだよ」
Photo&Text: Asaki Abumi