暑い、よりも、痛いという方がしっくりくるような今年の夏。毎年同じことをぼやいているような気もしますが、それだけ酷暑と呼ばれる日が増加しつつあるような気がするのは私だけでしょうか。

早いところでは梅雨入り前から、和菓子屋さんの軒先に揺れる「氷」の文字が目につくようになります。東京都は中央区の人形町をぶらりと歩いていると、甘味処や和菓子屋さんにも涼をもたらしてくれる和菓子の数々が。

実はぜひ皆さんにご紹介したいと思った宇治金時があるので、今回ふらりと足を伸ばしてみました。今回は人形町の甘酒通りにお店を構える和菓子屋「彦九郎」さんの夏季限定「宇治金時」をご紹介。

彦九郎さんは州浜だんごをはじめ、京都で開業なさった当代のおじい様が昭和２６年に東京へ移り開店なさったということもあり、どことなく上品な和菓子が揃うお店。

夏季限定のかき氷の中でも特に人気が高いのが宇治金時。人形町、の刻印入りの麩の焼きのお煎餅がトレードマーク。そして和菓子好きにはたまらない、たっぷりの自家炊きの粒餡に名物のわらび餅。穏やかな香ばしさが心地よいわらび餅派、もっちりとした弾力はほどほどに、口の中に入れるととろりと溶けてしまう柔らか食感。噛みしめるではなく、溶けていく滑らかさとシンプルな甘さが魅力です。

また、粒餡は皮の食感も残した昔ながらという言葉がしっくりくるような粒餡。さらりとした甘さは、濃厚な抹茶を浴びた氷の旨味やほろ苦さに華を添えてくれます。あんこのお砂糖甘さよりも、抹茶の滋味深さを楽しむようなバランスの宇治金時なので、なかなかの大人味。

その分、氷が溶けてしまっても薄まりすぎず、最後の一滴まで満足度の高いまま飲み干せます。

コンビニでお茶や水を購入した方がお財布にも優しく、カロリーも無いというのは重々承知ではありますが、ここはひとつ旬を味わうということで。

汗と一緒にカロリーも流れていってくれないかな…なーんて、都合の良いことを思うのは私だけではないはず。ですよね？

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ