NHK「あさイチ」フードシェア特集をご覧になった方へ
2018年7月5日、NHKの朝の情報番組「あさイチ」の「女のニュース」のコーナーで「フードシェア」が特集された。売れ残った料理を出品し、スマートフォン経由で安く買うことができるものや、賞味期限接近の食品を格安でまとめ買いできるサービスが紹介された。
コーナーの最後には「買い過ぎては元も子もないのでくれぐれもご注意」というアナウンスがあった。
番組を見てサイトにアクセスした方は多くいたらしく、「サイトが繋がらない」という書き込みがツイッターに多く見られた。
アプリを入れたところ、「余剰食品が少ない状況が続いています」という画面になった、という人もいた。
「Reuse(リユース:再利用)」だけで日本の食品ロスは減らすことができない
実は、昨日の記事
フードシェアしてもフードロス(食品ロス)は減らないどころかむしろ増えている
は、NHK「あさイチ」でフードシェアが特集されたことを受けてのものだった。テレビ局名や番組名などの固有名詞を書かなかったのだが、記事を読んだ方のコメントを読むと、こちらが伝えたいと思った方に伝えられていないと感じたため、改めて書いている。
今の日本には、Reuse(リユース:再利用)で使いきれないほどの食品ロスが発生している。年間646万トンで、そのうち、Reuse(リユース:再利用)できるものは、事業系由来のロス357万トン。全国80近くのフードバンクが活用できている量が年間6千トン(農林水産省調べ)で、事業系ロス全体の0.16%。福祉の専門の方が、日本国内で食べ物に困っている方に必要な量を試算されたところ、日本で発生している食品ロス100%は必要なかったという。
シェアすればOK、一件落着、ではない。シェアしてもロスがなくならないほど日本には食品ロスが発生しているのだ。まず減らさなければならない。減らす努力をしながら並行してシェアするのが理想的だ。
規格外は積極的に活用されて欲しい
大地を守る会の「もったいナイシリーズ」は、本来、規格外のため、商品として流通しないものを安価に購入することができる。果物などは、大きさが揃わないと一般的にはNGだが、ここでは、いちごの粒の大きさが違うものや、トマトの形や大きさがバラバラのものなど、農産物や魚介類の規格外を購入することができる。本来、自然の作物は、規格通りに育つものではなく、こういうものは、もっと消費者の目に触れて、「それでもOK」という方に積極的に購入されて欲しい。
最優先は「Reduce(減らす)」でその次が「Reuse(再利用)」
環境の原則「3R(すりーあーる)」の優先順位は、まず、「Reduce:リデュース:廃棄物の発生抑制:減らす」。
どうしても減らすことのできないものを、Reuse(リユース:再利用)する。
3番目がリサイクル。
番組サイトには
とあり、視聴者に親しみやすい「フードシェア」をフック(きっかけ)にして、日々の生活で食品ロスを減らす(Reduce)ことができるようになることが番組の意図だったと思う。視聴者の方には伝わっただろうか。
7月16日にはNHK Worldに、7月24日にはNHKのNらじに出演させて頂く予定だ。メディア取材を受けるたびに「Reduce(リデュース)が最優先」と強調してきており、今後もメディアの方には、そのメッセージが視聴者に伝わるような番組構成をお願いしていきたいと思う。