クリスマスはイエスキリストの「誕生日」ではありません:クリスマスの起源から
■クリスマスは何の日?
小さな子どもに質問すると、「ケーキの日!」「プレゼントの日!」そして「サンタクロースの誕生日!」なんて答えも返ってきます。大人に質問すれば、「イエス・キリストの誕生日」でしょうか。
でも、ブ、ブー。残念ながら不正解です。
何しろ2千年前に生まれた人です。日本なら弥生時代です。こんな昔に生まれた人の誕生日なんて、わかりません。12月25日クリスマスは、イエス・キリストの誕生日ではありません。
古代のキリスト教徒たちは、イエス・キリストの誕生日がいつなのかということに、それほど関心を持ってきませんでした。
また聖書によれば、イエスが生まれた日、「羊飼いたちが夜、野宿をしていると」と書いてあります。冬は野宿などしないそうなので、少なくとも冬ではないようです。
■クリスマスとは
12月25日は、イエス・キリストの誕生日でもなく、誕生日のお祝いの日でもありません。
クリスマス(Christmas)は、クライスト(Christ)・マス(mas)。キリスト祭という意味で、日本語でかたく言えば、「キリスト降誕祭」などと言われます。誕生日ではなく、神の子イエス・キリストが地上に「降誕」したことを祝う祭りという意味です。
■クリスマスはなぜ冬にある?:クリスマスの起源
冬じゃないと、サンタのソリが走れないからという理由ももしかしたらあるかもしれませんが、ソリに乗ったサンタクロースのイメージが出来上がるはるか以前から、キリストの降誕を祝う祭りは冬に行われてきました。
初代のキリスト教徒は、イエス・キリストの実際の誕生日を特定することにはあまり努力しませんでした。最初は、みんなで一緒にお祝いすることもしませんでした。しかし2世紀には、1月はじめ、特に1月6日に、みんなでキリストのお祝い(顕現祭)をすることが始まったようです。
いつどこで12月25日のお祝い始まったのか、正確にはわかりません。おそらく4世紀中ごろのローマと考えられています。
そのころ、12月25日は冬至のお祭りとして、太陽を崇拝する祭りが開かれていました。この祭りに対して、キリスト教徒たちが、太陽は神ではないと反対し、キリストこそが私たちの太陽、世の光だと主張して、この日にキリスト降誕祭を始めたと考えられています。
クリスマスは、日にちが大事なのではなく、心が大事なのでしょう。
■12月25日クリスマスの心理的意味
昔から長く続く習慣には、理にかなったものが多いような気がします。お日様が遅く出て、早く沈むと、何だか私たちも元気がなくなってきます。冬に気持ちが沈む「季節性うつ」なんて病気もあるほどです(「クリスマスうつの人は、季節性うつによる脳の疲れと、心理的孤独感と、年末の心身の疲れが絡まって生じるのかもしれません。」:冬のうつうつ吹き飛ばせ!:季節性うつ(季節性感情障害・冬季うつ)対処法:Yahoo!ニュース個人有料)。
そんな冬至のころに、みんなで集まって火を灯し、神の希望と恵みについて静かに思いをめぐらすのは、精神衛生上も良いことでしょう。心が沈みそうになるからこそ、ご馳走を食べ、心のこもったプレゼントを交換するのも、心の元気のために効果的でしょう。
「クリぼっち」でも良いですが、せっかくのクリスマスですから、みんなが温かな気持ちになれると、いいですね。