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「日本ウエルター級の主役は俺だ!」プロ3戦目のリングに上がる野上昂生

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:筆者

 2023年3月に東京農大を卒業し、プロに転向した野上昂生(こうせい)が、9月10日に3戦目を迎える。対戦相手は12勝(8KO)4敗1分のフィリピン人、アドール・トーレス (29) だ。

 目下、2戦2勝2KOの野上を指導する町田主計(ちから)トレーナーは言う。

 「過去2試合とも差のある選手でしたので、キャリアを積んだというよりも、プロのリングがどういうものかを確認できたのではないでしょうか。このところ、ジャブからの左の繫ぎが、スムーズ、かつ的確になったと見ています。

 今回の相手はアジアランカーなので、過去の対戦者とはレベルが違う筈ですよ。ジャブから凌駕して、左で倒してほしいですね」

Photo 山口裕朗
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 野上の相手は、自身と同じサウスポーだ。ステップアップを狙う野上は言う。

 「日本における重量級にサウスポーはあまりいなくて、対左利きの経験が不足していました。ただ、この試合に向け、平岡アンディさんと、合計25ラウンドくらいのスパーを重ね、かなり自信がつきましたね。苦手意識はもう無いです。

 プロでの2試合は、ガード越しにもパンチをもらっていないので、それほどの経験値を積めてはいません。でも、アンディさんとのスパーで、ディフェンス面、反応速度、集中力を磨けたという実感があります」

Photo 山口裕朗
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 9月3日に、WBAスーパーライト級挑戦者決定戦としてイスマエル・バローゾとのファイトを控えた同6位の平岡も、サウスポーのスパーリングパートナーを探し、野上に白羽の矢を立てた。

Photo 山口裕朗
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 世界ランカーである平岡に、得意の左ストレートをヒットした野上は、自身の成長と手応えを感じている。

 「アンディさんクラスの世界ランカーとは、ラウンドを重ねるに連れて集中力が増すんです。一発の怖さもありましたし、本当に勉強になりました。

 実際のところ、前々回、前回の試合は格下の相手でした。今回は、戦績も体格もそれなりの選手ですが、とにかく圧倒したいです。パワー、スピード、技術、そしてメンタルでも上回っているところを見せますよ。自分の武器である左ストレートで倒すのが理想ですが、腹を効かせて、下を意識させて上で仕留められたらと思っています」

Photo 山口裕朗
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 野上の勝ちっぷりからか、対戦のオファーを出した日本人選手からは色よい返事をもらえなかった。

 「佐々木尽をはじめとした、日本のウエルター級で名のある選手とやりたいですね。もちろん、勝つ自信はありますので」

Photo 山口裕朗
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 9月10日、野上はどんなパフォーマンスを見せるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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