韓国新型ウイルス患者急増の温床、新興宗教「新天地」とは:カルト化思考がパンデミックを生む
<自分の組織だけを守ろう。そんなカルト化した考えが、感染爆発(パンデミック)の危険性を高めていく。>
■韓国で新型コロナウイルスの患者増大:大邱市の新興宗教教会?
韓国でも新型コロナウイルスによる肺炎患者が急増しています。特に、一つの団体が注目されています。
報道によると大邱市の新興宗教教会とあります。「教会」ではありますが、普通の教会ではないようです。
■新天地イエス教会とは
ウィキペディアには、こう記述されています。
「新天地イエス教証しの幕屋聖殿」略称: 新天地、~韓国のキリスト教の土壌から発生した新宗教団体~教祖であるイ・マンヒ(李萬煕)を再誕のキリストであるとし~伝統的なキリスト教系教団からは統一教会や摂理(キリスト教福音宣教会)と同様の異端であるとされている。」
韓国は、キリスト教人口30パーセントのアジア一のキリスト教国ですが、同時に数多くの異端も発生しています。
「異端」とは、社会的に正統とされる信仰や思想などから、はずれているものです。キリスト教系の異端とは、正統的な(一般的な)キリスト教とは異なるということです。
カトリックとプロテスタントは、いろいろ違いますが、お互いに相手をキリスト教と認めています。でも、たとえば教祖が自分をキリストだと言ったりすれば、普通のキリスト教はそれを否定し、異端とされます。
まあ、しかし、そんなことはキリスト教以外の人からすれば、大した問題ではありません。キリスト教内部の問題になります。
新興宗教でも、異端でも、社会的には何の問題もありません。すべての人には何を信じても良い信教の自由があるからです。ただ、一部の新興宗教や異端と呼ばれる団体が社会的問題を起こすことはあります。
人をだましてインチキの壺を高額で売ったり、信者に適正な医療を受けさせなかったり、偽りで信者を脅し多額の寄付をさせたり。オウム真理教(仏教系異端、カルト団体)は、殺人事件まで起こしました。
単なる異端ではなく、悪質なマインドコントロールを使い、社会的な問題を起こすと、その団体はカルト(破壊的カルト)と呼ばれることもあります。こうなると、キリスト教や仏教の内部の問題ではなく、社会的問題です。
<異端・カルト・破壊的カルト・カルト化とは:神社油まき事件から考える宗教問題:宗教が危険になるとき>
さらに今回の場合、新型コロナウイルスの感染に関わることがあれば、大きな問題です。
■新天地の社会的問題
新興宗教「新天地」。一般のマスコミにはほとんど出ない話題ですが、キリスト教関係のメディアは以前から注目していました。
たとえば、「クリスチャン新聞」は2010年に次のような記事を掲載しています。
「キリスト新聞」も、同様に10年ほど前から警鐘を鳴らしてきました。
<「新天地」元幹部が証言 日韓のキリスト教異端相談所が警鐘(キリスト新聞2011年4月16日)>
さらに
問題は続いています。
■新型コロナウイルスと新天地
キリスト新聞にも紹介されている「異端カルト110番」は、今回韓国内の報道等を紹介する形で、新天地と新型コロナウイルスの問題を扱っています。
さらにこの記事によると、感染者の発生を隠蔽したり、感染源を隠蔽するために、感染の疑いがある場合、外部に対しては「あの日は礼拝には行かなかった」「私は他の場所にいた」と回答するよう指示していたことが判明したとされています。
また韓国内では、「新天地は国家が感染症拡散防止に努めるなかでも、自分たちを守ることだけを考える集団にすぎない」。「新天地の信者は自分が一市民である自覚もなく、国民としての責任を果たす概念すらない。~新天地は保身ばかり考えている。」との声も上がっているということです。
■カルトと私たちと新型ウイルス:新型ウイルス感染防止に必要なこととは
破壊的カルトは、一般に自分たちの集団のことだけを考えます。しばしば、国家や一般社会を否定し、悪く言います。自分たちだけが正しく、この組織内にいることだけが救いだと教えるのです。
国も、国連も、学校も、病院も、警察も、みんな悪です。むしろ、自分たちの団体の教えを信じない人々はいずれ滅びて、自分たちの世界になるのだと信じたりもします。
世の中には、様々な宗教団体、思想団体、多様な組織があります。中にはユニークな活動をしている団体もありますが、法律は守ります。自分たちの教えを大切にしますが、そうではない人々の人権も尊重します。一市民、一国民として、周囲とも協力しようと思います。
そう思っていないとすれば、その団体、組織は、カルト化が始まっていると言えるでしょう。
そんなカルト団体の人々なら、新型コロナウイルス感染防止に協力しないこともありそうです。
今回は一つの新興宗教の問題でしたが、気を付けなければ、カルト宗教団体に限らず、組織防衛を考えて隠蔽する(カルト的)団体も出かねません。
パンデミック(感染爆発)を防ぐためには、自分の家族だけ、自分の団体だけのことではなく、社会全体のことを考えなくてはなりません。
また、どこかの店や会社や学校で複数の患者が出ても、彼らを責め、偏見と差別の目を向けるようなことがあってはいけないと思います。そんな雰囲気は、国全体の感染防止にかえってマイナスです。
ウイルス以上に早く広がる不安と恐怖に、私たちは負けたくありません。
自分だけが助かろうとする思いがパニックを生み、みんなで一緒に助かろうとすることが、正しい行動につながるのです。