地下鉄サリン事件から18年:オウム真理教とマインドコントロールの心理学
2013.3.20は、地下鉄サリン事件発生から18年。でも、事件の本質的問題はまだ解決されていないと思います。この事件では、多くの被害者(死亡13人、負傷者6300人)が出たことに加え、多くの本来は有能で善良な青年達が、オウム真理教に取り入れられ、加害者となりました。
破壊的カルトとは
奇妙なことを信じる少数派が、カルトです。ただ、私たちには信教の自由があり、布教の自由があります。しかし、どんな方法を使っても良いわけではありません。信者をだまし、マインドコントロールなどの手法を使い、人生を奪い、社会を混乱させるのが、破壊的カルトです。
オウム真理教が、宗教団体ではなかったら、もっと早く警察が介入できたでしょう。宗教思想はそれがどんなにカルト的でも(奇妙で少数派でも)、守られるべきでしょう。しかし、破壊的カルトは、社会問題として考えていかなくてはなりません。
洗脳とは
暴力、薬物、監禁、眠らせないなどの方法で、相手の心身のバランスを崩し、特定の思想を注入する思想改造法です。
マインドコントロールとは
洗脳のような暴力的な方法を使わずに、もっとスマートに人を操る方法が、マインドコントロールです。洗脳のような一見して分かる違法な方法を使わない、洗練された手法です。心理学の研究によると、マインドコントロールは4つのコントロールを使っています。
- 行動のコントロール(細かな行動まで指示を出します)。
- 思想のコントロール(徹底した教え込み)。
- 感情のコントロール(恐怖と不安で人を操ります)。
- 情報のコントロール(特定の情報にしか触れさせません)。
オウム真理教では、洗脳とマインドコントロールの両方が使われました。
破壊的カルトのワナにはまりやすい人
すべての人に危険性がありますが、善良で、有能で、もっと良い社会を作りたい、もっと良い家族にしたいと思っている人ほど、カルトにとってはカモにしやすい人々です。
マインドコントロールと司法判断
たとえば、オウム裁判での横山被告に対する死刑判決理由を読むと、裁判所は、教祖に逆らえなかったことは認めても、善悪判断はできた、荒唐無稽のオウムの教えは見抜けたはずだと述べられています。
たしかに、マインドコントロールを受けていても、それが違法であることは分かるでしょう。しかし、巧みなマインドコントロールを受ければ、奇妙な教えを信じ込み、違法なことでも正しいことだと思い込むのです。
これから
危険破壊的カルトには、断固とした態度が必要だと思います。同時に、もと信者だからと言って、社会から追い出してはいけません。また、宗教弾圧になってもいけません。
破壊的カルト教団から家族や親友を守る方法としても、相手を責めるのではなく、人間関係の修復が必要です。
自由と民主主義は、手間のかかることですけれど、個人の自由な思想宗教を守り、同時に、破壊的カルトによる悲劇を繰り返さないように、考えていきたいと思います。
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オセロの中島知子さんのケースから考えるマインドコントロールの解き方:Yahooニュース碓井「心理学でお散歩」