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父親がインフルエンザに 感染予防・リスク管理…家族の対処法

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
父親のインフルエンザがうつったら一家総倒れの心配もあった(ペイレスイメージズ/アフロ)

年末に夫が出張に行き、ワンオペ育児と大きな締め切りの疲れも取れていない年明け。夫がさっそく、インフルエンザにかかりました。ちょうど筆者の落とせない面接があり、娘も発熱で保健室から呼び出され、緊張の毎日でした。対処のポイントを紹介します。

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●看病で避けられない母娘感染

昨年は、母娘でインフルエンザにかかりました。最初に娘が発熱して保育園から呼ばれ、あちこちに連絡しまくってクリニックを受診。インフルを告知され、看病や仕事のリスケジュールをこなし、病児保育室を利用して乗り切れたと思っていたのですが、続きがありました。

毎年、インフルにかからないように気を付けています。予防接種は一家でしますし、乾燥する季節は怪しいと思われようとマスク姿で外出します。娘のインフル発覚後は、具合が悪くてべったりしてくるので、筆者はお風呂に入る時や寝る時もマスクをして、加湿器に風邪予防にいいというアロマオイルも入れました。

でも看病で神経をとがらせて寝不足になりますし、リスケジュールによって予定を詰め、出歩いたので体力が落ちていたと思います。仕事関係の用事で「子どもがインフルで…」というのも気が引けて必要ない場合は黙っていたのですが、「なんで〇〇に出席しないの?」「やってないじゃないですか」などと言われました。

●重症化せずに療養できた

娘の出席停止期間が終わった数日後、保育園最後の保護者会があった日のことです。のどが痛いためクリニックに行きました。熱はなかったけれど検査になり、インフルが出てしまいました。初日に吸い込む薬を服用。それから2日ほど高熱が出たものの、自宅から出られない期間は仕事や家事ができるぐらいで、噂に聞いていた重症化はしませんでした。

振り返ると産後5年で、初めて休める機会でもありました。自分が胃腸炎でも発熱しても、娘の送り迎えや世話は投げ出せなかったからです。誰かに頼むにも、丁重にお願いしたり予約したり労力がいります。このインフル時は、夫が忙しい時期でなかったため「インフルで外出禁止」という切り札で、保育園の送り迎えや週末の外出は頼めました。予約していてキャンセルしようと思った親子パン教室に父娘で行くなど、予想外の思い出になったようです。

●発症の夫にやさしくなれない理由

今年も、いつ学校で流行るかと構えてはいました。年末、夫が3週間ほど出張してワンオペ育児中に娘が発熱して2回、保健室から呼ばれ、インフルを疑われました。結果は違ったので、命拾いしました。娘が出席停止の病気になったら親も出歩けなくて困りますし、共倒れになれば頼める身内がなく恐怖でした。

年明けは、学童保育の新年度申し込みでトラブルがあり、ストレスが最大になっていました。そんなタイミングの金曜日、夫から「インフルになった。来週水曜日まで出勤停止」とラインが。即座にやさしい気持ちになれないのが、更年期の働く母です。

子どもが保育園や学校でうつるのは仕方ないけどね、職場の新年会で不摂生していたね、母はマスクして子どもと早く寝て気を付けているけどね、総倒れになれば子どもがかわいそう、と思いが心に渦巻きます。

●産後のトラウマがよみがえる

さらに、具合が悪いと強調されると筆者のトラウマがよみがえりました。産後に夫が単身赴任中、胃腸炎で吐きながら赤ちゃん抱っこで救急外来に行った、娘の病気がうつって熱があってもお腹を下していても着の身着のまま迎えに行った、などなど。産後の恨みは一生と言われますが、本当です。

今だって、母親が疲れていても父親がインフルになっても、洗濯・食事の用意、学校や学童保育の支度は休めません。土日のパパ担当だった用事の送り迎えをこなし、たまった洗濯をして夜ご飯を作り、不測の事態にヘトヘトになってしまいました。

●落とせない面接、対応問い合わせ

筆者はその翌週に落とせない面接があり、さっそく関係者にインフル時の対応を問い合わせました。最初は「これまで、そんな場面に遭遇したことがない。いつわかるのか」といぶかられたのですが、「家族がかかると、うつる確率が高い。いつ発症するかわからず、面接を落とすということは避けたい」と強調し、週明けに確認してもらえることに。

寒気とのどの痛みが気になり、日曜にあいているクリニックで検査するもインフルは出ませんでした。大人はマスクをしていられますが娘は外してしまうので、夫にはなるべく自室にいてもらい、手拭きタオルを分けました。食事は別テーブルで。「気にしすぎ」「ひどい」と言われても、娘にうつったらかわいそうなので仕方ありません。父親が家庭にインフルを持ってくるケースが多い、という調査結果もありますね。仕事や飲食で出歩いたり、予防・衛生の意識に違いがあったりするからかと思います。

月曜日、面接については「インフルにかかった場合、面接を再設定できる期間がある」と連絡が。「先方のリスケもあるのですぐに知らせて」と念を押されました。こうした前もっての対応がわかれば、いきなり発症して「インフルだと隠して出席しちゃおう」「救済がないし、あきらめるしかない」という事態にならず冷静に行動できます。夫は数日でよくなり、自宅で仕事をして木曜には出勤。筆者はうつっていないかドキドキしながら過ごし、何とか面接を終えました。

●小学生でも病児保育は利用可

夫の発症から10日ほどたった日、娘が発熱して小学校の保健室から呼び出されました。筆者が電車移動中で電話に出られなかった間、保健の先生が学童などあちこち連絡し、機転をきかせてくれました。これはついに、と覚悟してクリニックへ。

「父がインフルだったんです」と伝えて検査するも娘からインフルは出ず。「時間がたたないと確定できないとはいうけれど、これは違うね」。最近も含め、娘の経過を見ているベテランドクターの診断で、学校と学童を1日休んだら治りました。

この発熱で「学校の流行でかかったらどうしよう」と心配になり、保育園時代にお世話になった病児保育室に電話してみました。聞くと、小学生でも空いていれば利用可能とのこと。「小学校に行けば病児保育もなくなるし、これも小1の壁だ」と思い込んでいましたが、とりあえず安心の材料が増えました。

●学校連絡・学級閉鎖…未知の世界も

保健室呼び出しの翌朝、学校を休むと決めて電話し「インフルではない」と伝えました。でも夕方、担任の先生に宿題について聞くと「ところで急に熱が上がったみたいでしたが、インフルじゃなかったんですか?」と聞かれました。大事な情報なのだけど、伝わっていないのね…。保育園では毎日、「インフルエンザ〇〇人」「アデノウイルス〇〇人」などと掲示しており、保護者もこまめに連絡していました。

学校では「電話が殺到すると困るので、連絡帳での連絡にしてください」と言われていました。以前、病欠の朝に連絡帳を届けたのですが、担任に放課後まで連絡帳が届かなかったのです。そんな経緯があり電話したのだけれど、「どうすればいいんだい」と心の中で突っ込みました。

娘の発熱があった週、筆者は大きな論文の提出があり、これまたドキドキしました。他のエリアで学級閉鎖になったという話や、仲良しの一家全員がインフルエンザにかかったという話も聞きます。

働く親は子どものインフル時、どうしている? 学級閉鎖時には留守番させる? 学童保育の対応は? 未知の世界は、まだまだあるのでした。

ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

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