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これだけは押さえたい「PTAを変えたいけれど、ままならない人」に必要な3つのポイント

大塚玲子ライター
(写真:アフロ)

前回、女性のPTA改革が目立たない理由(できない理由ではないです、できますが目立たないのです)を書いたところ、「性別など関係なく、PTAを変えるのはとても難しいことである」というご意見をいただきました。

そうだと思います、まったく異論ありません。

PTAの改善に取り組んでいるけれど、思うように進まなくて悩んでいる人、取り組んでみたいけれど、難しそうだから迷っている、という人もたくさんいるでしょう。

今回はそんな人たちに向けて、「PTAを変えるために最低限、これは必須では」と筆者が考える3つのポイントをお伝えします。

1・本部役員の任期を2年以上にする

今現在、任期が2年以上であるPTAの方は、ここはどうぞ読み飛ばしてください。

任期が1年というPTAの方にはまず、任期を2年以上に延ばすべく規約改正することをおすすめしたいです。

たまに「本部役員の任期が1年」と決まっているPTAや地域がありますが、改革には不向きと言わざるを得ないでしょう。

たとえば、長野県のあるPTAでは「6年生の保護者が役員をやる」という慣習があるそうですが、卒業の年度ですから、年子のきょうだいがいない限り、2年以上続けて役員をやれる人がいません。

役員になって1年目というのはどうしても、前年度までやってきたことを引き継ぐので手一杯になります。どこを変えたものか、どうすれば変えられるかまでは、なかなかわからないでしょう。

筆者がこれまでに取材した改革経験者も、記憶にある限り、「2年目以降で変えました」という人ばかりです。

任期が1年でも、次の役員と協力して、うまく引継ぎをすれば可能だとは思いますが、難易度が上がることは免れません(トライ中の方は絶賛応援いたします)。

ですから、もし「今年はどうも難しそうだな……」と思うときは、ひとまず「役員の任期を2年以上にする」というところをやって、あとは来年度以降の人に委ねる、というのもひとつの選択肢ではないかと思います。

ただし、任期上限をあまり長くしすぎると、今度はまた別の弊害をよく耳にするので(PTAの私物化が起こる、後任が見つかりにくくなる、等)、ほどほどにしておく(2or3年まででしょうか)のがよいかもしれません。

2・校長が変わるのを待つ

よく言われることなので、言葉を選ばず書いてしまいますが、校長先生のタイプによっては、PTA改革は無理です。

「やり方を変える? そういうの、ないから」という校長もいますので、そういう場合はご異動を待つしかありません。

ときどき、PTAにあまりかかわったことがない人から「PTA会長と校長は、対等の立場ではないのか?(なぜ校長がPTA改革を止めるのか?)」という質問を受けます。

建前はそうでしょうし、なかにはそういう考えの校長先生もおいでだとは思いますが、全員ではない、というか多くはないでしょう。

たいがいの校長先生は、保護者より年代が上ということもあり、自分のほうが会長より発言力が上であることに疑いをもっていないと思います。

また保護者はみんな学校に子どもを預けている立場ですから、たとえ会長でも、よほどの権力者(議員とか)でもない限り、校長の言うことは無視できないでしょう。

もしかすると異動を待つ間に子どもが卒業してしまうかもしれませんが、それはそれで仕方がないことと思います。

逆に、協力的な校長先生のときは、大チャンスです。

最近は、校長のほうからPTAの問題を改善すべく動いてくれるケースも増えているようなので、そういうときに、うまく協力関係を築けたらよいかと思います。

3・まわりの声を(ある程度)聞く

「いや~、まわりと意見が合わないから困っているんだよ……」と思われるかもしれませんが、それでもやはり、ある程度まわりの意見を聞くことは必要でしょう。

周囲の話をよく聞いてみたら、自分では「正しい」と思っていたことが実は思い込みで、別の面から見たら今のやり方のほうが理にかなっていたと気付く場合もあります。

また、もしそれが本当に正しいことであったとしても、周囲の意見を全然聞かないと「自分勝手な人」と思われるため、本来なら味方してくれたであろう人まで敵にまわしかねません

PTAは大勢の保護者の集まりです。

会長くらいの役職につけば、発言力はそこそこ強くなりますが、そうはいっても、まわりの意見をすっかり無視して、自分の好きなようにPTAを変えるということはしづらいですし、あまりおすすめもできません(たぶんたくさんの傷を負います)。

意見が違う場合でも、周囲の声をよく聞くことで、自分の考えも相手に聞いてもらえるようになるでしょう。

またよく話し合ってみれば、なにかしら考えの共通する部分が見つかるかもしれませんから、そこを糸口に、変えられる部分から変えていくということもできるでしょう。

筆者も昨年度、6年学年長という立場で卒対や運営委員会にかかわっていたのですが、一番変えたいと思っていたいくつかのことは、残念ながら力及ばず変えられませんでした。でも、周囲と意見が(ほぼ)合ったいくつかのことに関しては、改善することができました。

あまりまわりの声を聞きすぎても何も変えられなくなりますが、聞かないのも反感を買い、変えられなくなります。バランスの見極めが肝要です。

なお、先ほどの校長の話と同様、周囲が「やり方を変える? そういうの、ないから」というタイプの方ばかりの場合は、改革は後の代に委ねるほうがいいかもしれません。

*無理そうなときは、やれることをやる

変えたいのに、思うように変えられないもどかしさは、筆者もよくわかります。

無力感を抱くこともあるかもしれませんが、ご自分を責めませんよう。PTAを変えるのは、誰にとっても容易なことではありません。

もちろん、なるべくめげずにがんばってはいただきたいのですが、周囲や自分の状況を客観的に見て「いまは、ダメだな」と思ったときは、あまり無理をせずに、やれることをやるのでいいと思います。ちょっとしたことでも、改善できるところはあると思います。

ライター

主なテーマは「保護者と学校の関係(PTA等)」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』ほか。共著は『子どもの人権をまもるために』など。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。ohj@ニフティドットコム

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