Yahoo!ニュース

「10代では出せなかった自分の姿を」私立恵比寿中学・中山莉子が6年ぶりの写真集で変わったことは?

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/河野英喜

私立恵比寿中学の中山莉子が23歳の誕生日の前日に、2冊目の写真集を発売する。マレーシアで撮影し、タイトルはそのまま『中山莉子の2nd写真集。』。6年前に1st写真集を出したときから、「次は22歳で」と話していたのが実現した。グループ加入時は最年少の中学生だったが、今や後輩メンバーが5人となり、自身も美麗さが際立つように。この6年で変わったこと、変わらないことを聞いた。

自分がやりたいことを1から伝えて

――6年前、16歳のときに撮影した1st写真集は、最近でも自分で見ることはありますか?

中山 あります。マレーシアにも持っていきました。すっごい幼いですよね(笑)。

――今は大人になりました?

中山 大人になれているかはわかりませんけど、当時はマネージャーさんたちが写真集のお話を進めてくださって、自分はそこまで関われてなくて。2ndは自分でやりたいことを1からお伝えして撮れたのが、1stとの違いかなと思います。

――人としても、6年での成長は大きかったですか?

中山 正直、中身はそんなに変わってない気がします(笑)。でも、エビ中で環境もメンバーもガラリと変わったので、その中で成長できているのは感じています。

人に興味を持つようになりました(笑)

――話が上手になったと聞きますが。

中山 全然ですけど、昔はまったくしゃべれなくて、とんでもなかったので(笑)。お話がうまいメンバーがいて、一緒に取材を受けると頼ってしまう部分は今でもあります。だけど自分しかいないと、しゃべらないとまずいので、頑張っています。

――仕事以外でも、よく話すようになったんですか?

中山 コロナ禍を経て変わりました。自粛期間中は家族としか話せなくて、ただただ寂しかったんです(笑)。それから誰かと会う機会があるとしゃべるようになって、メンバーから「人が変わった」と言われます。人に興味がなかったのが(笑)、関心を持つようになりました。

――遊びに行く場所が変わったりはしましたか?

中山 高校生の頃から、まったく変わりません(笑)。遊園地とか、小さい子が好きそうなところが今も好きです。休みができたら友だちを誘って、冬だとよみうりランドに行ったり。と言っても、遊ぶのは10代の頃からほとんどメンバー(笑)。20代で変わったといえば、おうちでメンバーとお酒を飲む機会が増えたくらいですね。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

小さい頃の夢はクレープ屋さんでした

――さらに遡らせてもらうと、莉子さんは小学5年のとき、原宿でスカウトされたんですよね。自分でも芸能界に興味はありました?

中山 文集には将来の夢は“クレープ屋さん”と書いてましたけど、小さい頃からバレエを習っていて、一緒に練習していた高校生のお姉さんがドラマに出たんですね。「どうやったら、そういう世界に行けるの?」と聞いて、興味を持ち始めました。あと、ファッション雑誌を見て、「かわいいお洋服を着られていいな」と思っていました。

――原宿にはよく行ってたんですか?

中山 お母さんと買い物に行ってました。その前にも声を掛けていただいたことはありましたけど、スターダスト(プロモーション)には、お母さんがビックリしてました。「有名な女優さんがたくさんいる!」って。

――莉子さんも好きな女優さんがいたんですか?

中山 当時はいなかったかな。でも、「ニコ☆プチ」で同じ事務所の永野芽郁ちゃんがモデルをしていた時期で、よく見ていました。

――小学5~6年生の頃の莉子さんは、バトントワリングで全国大会に出るくらい打ち込んでもいたんですよね?

中山 ほぼ毎日、ガッツリ練習していました。でも、ちょうど中学生になる頃で、周りの子たちも区切りを付けることが多くて。私もバトンにバレエに期間限定ユニットのアイドル活動も始まって、どれかに絞らないと無理だなと。アイドルをやりたかったので、バトンはやめることにしました。

撮影/河野英喜
撮影/河野英喜

歌えなくて泣きながら出ていって

――アイドルのことは、もともとどう思っていたんですか?

中山 正直、ちょっとわかっていませんでした。スターダストも女優さんのイメージでしたけど、チーム大王イカというユニットで1年活動していくことになって。私はバトンもチームでやるのが好きだったので、みんなでレッスンをするだけですごく楽しかったんです。グループで活動するのはいいなと、アイドル志望にコロッと変わりました(笑)。

――先輩のももいろクローバーZや自分が入る前の私立恵比寿中学のことは、そこから知った感じですか?

中山 ももクロちゃんは事務所に入る前から、テレビで観たりしていました。エビ中はお父さんが調べて、豊洲のららぽーとの無料イベントに連れていってくれたんです。そのステージを観て好きになって、柏の葉とか毎週末のイベントや誰かの生誕祭に行くようになりました。

――では、自分がアイドルになることにも、戸惑いはありませんでした?

中山 全然なくて、逆に嬉しかったです。ただ、私は家族とカラオケに行っても、そんなに歌わなかったので。歌は「ちょっと待って!」という感じでした。

――レッスンで苦労したり?

中山 全然できてなかったです。チーム大王イカのとき、歌割りを決めるために、事務所の偉い方たちの前で、オーディション形式で1人ずつ歌うことがあって。ももクロちゃんの『ももいろパンチ』を私はまったく歌えず、泣きながら出ていきました(笑)。それが逆にエビ中っぽいと印象に残ったみたいで、入れたという説があります(笑)。

(C)KADOKAWA/写真:細居幸次郎
(C)KADOKAWA/写真:細居幸次郎

なぜ“野生児”と言われるのかわかりません(笑)

――エビ中に入ってから、アイドル活動のやり甲斐はどんなところに感じました?

中山 加入当初は、好きで聴いていたエビ中の曲を自分が歌って踊れることに嬉しさがありました。中学生だったので、やり甲斐とかはまったくわかってなくて、ただ楽しくて。メンバーもいい人たちばかりで、学校よりも何よりも好きな場所になっていました。

――今はポリシー的なものもあったり?

中山 1コ1コのライブに対する考えは、学生の頃とは変わっています。自分が楽しいだけではダメ。エンターテイナーの心構えを忘れず、周りを見るようになりました。

――ステージでの莉子さんは“野生児”と呼ばれています。

中山 それをすごく言われるようになったのは、高校生だった2017年くらいからでした。でも、当時も今も、自分では何のことかわかりません(笑)。

「続けるのは無理」からライブで「やめられない」と

――逆に、アイドルの大変さを感じることもありますか?

中山 大変だと思っても、すぐ忘れちゃうんですよ(笑)。楽しさのほうが全然勝っています。

――今だから言えるようなピンチはありませんでした?

中山 ヤバいなと思ったのは、エビ中の体制がガラッと変わったときです。ずっと最年少メンバーでやってきて、2021年に急に3人が加入したときは、姉メンになって「大丈夫かな」というのがありました。ちょうど体調を崩して休んでいた時期もあって、「私はもうダメかもしれない」と思いました。

――深刻なレベルでグループをやめることも考えたり?

中山 体調が大きかったんですけど、続けるのは無理かなと。でも、ライブをすると、やっぱりやめられない気持ちになって、結果続けています。やっぱり私はライブが好きなんだと感じます。

(C)KADOKAWA/写真:細居幸次郎
(C)KADOKAWA/写真:細居幸次郎

私に教育係は務まりませんでした(笑)

――そのときは、加入したココユノノカこと桜木心菜さん、小久保柚乃さん、風見和香さんの教育係も務めたんでしたっけ?

中山 いちおう、そのはずでした。自分から「教育係になりたい」と言ったんですけど、人に何かを伝えるにはエネルギーがすごく必要ですよね。その大変さをわかっていなくて。一緒に教育係をやった(小林)歌穂ちゃんは妹がいて、年下にいろいろうまく伝えてくれるので、もう任せました。私が伝えたことはほとんどないです(笑)。

――後輩に伝えたいことはあったんですか?

中山 自分が昔、注意されたことを、先に伝えたりはしました。些細なことですけど、レッスンが6時間あると、お水が1本では足りなくて。途中で買いに行く時間もないから、マネージャーさんに頼んでしまってましたけど、それは基本ダメなんです。「自分で飲む分は自分で買ってこようね」と教えました。

――エビ中メンバーとしての心掛けとかではなくて。

中山 そういうのはお姉さんたちが言ってくれていたと思います。私には務まりませんでした(笑)。

落ち込んでも好きなものを食べて寝れば大丈夫

――今のエビ中は良い状態ですか?

中山 10人体制になって、最初は姉メンと妹メン5人で分かれてしまうときもありましたけど、今は10人で世間話もするようになりました(笑)。さいたまスーパーアリーナでライブをするという目標を掲げて、みんなで頑張っています。

――莉子さんは妹メンとどんな接し方をするように?

中山 変わらないです。近寄りすぎないのが自分ですから。話したいときには話しますけど、年下だからかわいがるとか、そういうタイプではなくて。良い距離感を保っていると思います。

――莉子さんは自由気ままなキャラですが、落ち込むことはないですか?

中山 ないですね。小学生の6年間、バトンがすごく厳しくて、メンタルが強くなったんだと思います。そこまで沈むことはありません。

――立ち直るために何かをしたりもせず?

中山 誰かに話すようになりました。あとは、何も気にせず好きなものを食べます。私はチョコも辛いものもしょっぱいものも大好きなんです(笑)。イカの塩辛とかキュウリの浅漬けとか。中本の蒙古タンメンも好きで、カップラーメンを買ったり。そういうものをたくさん食べて寝れば、スッキリして大丈夫です(笑)。

(C)KADOKAWA/写真:細居幸次郎
(C)KADOKAWA/写真:細居幸次郎

マレーシアで撮ったのはお母さんの提案です

――2nd写真集は自分のやりたいことを伝えたとのお話でしたが、どんなことが反映されました?

中山 まずマレーシアで撮ることを決めさせていただきました。私というより、お母さんの提案ですけど(笑)。2nd写真集を出すと決まって、撮影場所はどこがいいか、一緒に一生懸命調べてくれたんです。「マレーシアはこういうスポットがあるよ」と、ネットからプリントアウトしたものを資料にまとめてくれて、それを私がマネージャーさんに提出しました。

――莉子さん的にも、マレーシアは良さそうだと?

中山 本当にいろいろなところを調べたんですけど、自分の中ではマレーシアという考えはなかったです。私は最初、北欧がいいと言っていました。雪が降る涼しげなところで、はかない感じで撮りたくて。でも、撮影が5月で、北欧でもそれは難しかったので。マレーシアでは都会のクアラルンプール、世界遺産のマラッカ、それにケタム島と、素敵な場所がいっぱいあって。自分のいろいろな姿を撮りたいと思っていたので、ちょうどいいなと思いました。

――実際に提案した場所で撮ったんですか?

中山 はい。ピンクモスクに行きたいとか、KLタワーで大人っぽいドレスを着たいとか、お伝えしたことが採用されました。

(C)KADOKAWA/写真:細居幸次郎
(C)KADOKAWA/写真:細居幸次郎

衣装が水に浸かって肌が透けるようにしたいと

――資料には「いまだかつて見せたことのないほどドキッとするカットも収めている」とあります。服を着たままバスタブに浸かっている写真のことですか?

中山 それだったり、プールでのカットだったり。衣装的にも肌を結構見せています。1stはロシアで撮って季節的にも寒かったので、長袖とかが多かったんですけど、今回は20代にもなりましたから。

――「ドキッとさせてやろう」とも思っていたんですか?

中山 お風呂カットは、「10代のときには出せなかった姿を見せたい」とお伝えしてました。女優さんの写真集をいっぱい参考に見ていた中で、山本美月さんがああいうカットを撮られていて、すごくいいなと感じたんです。衣装が水に浸かって肌が透けるようにしたい、と言いました。

――表情もお姉さんっぽく演じている感じで?

中山 それは自然だったと思います。考えると緊張が顔に出て、固まってしまうんです。だから何も考えず、「湯舟が温かいな」くらいの気持ちだった気がします(笑)。

ツアー中は1人だけスーパーで買ったものを食べて

――事前の体作りも頑張ったんですよね?

中山 ジムに通って、家で筋トレもしました。食事も炭水化物を控えて、豆腐とかヘルシーなものにして。エビ中のツアーがあって、地方でメンバーとごはんに行けないのは辛かったです。ライブ後に、たとえば広島で「みんなはおいしい海鮮を食べているかな」と思いながら、私はホテルの近くのスーパーで安いお刺身を買って、1人で食べていました(笑)。

――写真集のタイトルは恒例のパターンで『中山莉子の2nd写真集。』となりました。

中山 1stが『中山莉子の写真集。』で、今回はオシャレな感じにしようかとも思ったんです。でも、「やってきたことを続けていくのがカッコいい」という意見をお兄ちゃんからもらって、『中山莉子の2nd写真集。』にしました。

――最初は「中山莉子のブログ。」からでしたっけ?

中山 そうだったかな。いろいろ考えるのが苦手で、単純なものに統一しておこうと、中学生の私は考えたんでしょうね(笑)。それから「中山莉子の生誕祭。」や『中山莉子の写真集。』と、シリーズになりました。

(C)KADOKAWA/写真:細居幸次郎
(C)KADOKAWA/写真:細居幸次郎

お客さんを爆笑させるコメディをやりたいです

――写真集に限らず個人での仕事は、今後もどんどんやっていきますか?

中山 そうですね。一番はお芝居です。舞台でコメディをやりたいです。

――コメディが好きなんですか?

中山 そんなに観てはいませんけど、やるのが好きなんです。エビ中の舞台はコメディ要素が多くて、私もいきなりチェーンソーを持って現れたり、とんでもない役しかなくて(笑)。それが楽しいんですよね。舞台だと去年、個人で『NIGHT HEAD』に出させていただいて、いい経験になりました。あれはシリアスなお話でしたけど、お客さんが爆笑できるコメディもやりたいと、すごく思っています。

――普段も人を笑わせるタイプですか?

中山 まったくないです(笑)。でも、役だったら、笑わせることができるかなと。

制服はまだいけるので学園ものに出られたら

――ドラマや映画は観ていますか?

中山 観ることは観ますけど、そんなに詳しくはありません。でも、同世代では森七菜さんがすごくかわいくて、目を引かれて気になります。『真夏のシンデレラ』も観てましたし、3月に公開される『四月になれば彼女は』も絶対観に行こうと思っていて。

――自分も森七菜さんみたいな存在になりたいと?

中山 なれないと思うでの、私はコメディで笑かせたいです(笑)。お母さんには「学園ものに出てほしい」とずっと言われています。『チア☆ダン』みたいな、ひとつの目標に向かって頑張る作品を期待しているらしくて。私もバトンをやっていたので、そういうのに出たいです。

――学園ものだと、クラスのどんなポジションの子が合いそうですか?

中山 主役の子の隣りにいつもいるような、親友役をやってみたいですね。

――年齢的には、学園ものはちょっと急がないといけないかも。

中山 そうなんですよね。23歳になるので。でも、制服はまだ全然いけると思っています(笑)。

(C)KADOKAWA/写真:細居幸次郎
(C)KADOKAWA/写真:細居幸次郎

Profile

中山莉子(なかやま・りこ)

2000年10月28日生まれ、東京都出身。

2014年に私立恵比寿中学に加入。個人で映画『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』、舞台『NIGHT HEAD 2041-THE STAGE-』などに出演。『中山莉子の2nd写真集。』を10月27日に発売。

『中山莉子の2nd写真集。』

10月27日発売 3300円(税込)

撮影/細居幸次郎 発売・発行/株式会社KADOKAWA
撮影/細居幸次郎 発売・発行/株式会社KADOKAWA

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

斉藤貴志の最近の記事