ベッキーさんに環境NGOが感謝!チョコレートやシャンプー等が含む、あるものが森林破壊~啓蒙動画に協力
チョコレートやスナック菓子、インスタント麺、シャンプーや洗剤―普段、私達が食べたり、使っているものに含まれるパーム油。このパーム油のために、東南アジアの熱帯林が破壊され、そこに住む野生生物達は絶滅の危機に追いやられている。環境や人権に配慮したパーム油を求める環境NGOのキャンペーンに、人気タレントのベッキーさんが参加。パーム油の問題を伝える短編アニメ動画のナレーションに協力した。
○ベッキーさんが感銘した動画
ベッキーさんが日本語ナレーションを担当したアニメ動画『ランタンの物語』は、元は、グリーンピースUKが制作したもの。女の子の部屋に迷い込んできた、オランウータンの子ども“ランタン”とのやり取りを通じて、パーム油と森林破壊の関係について訴えるという内容だ。この動画を観て、心打たれたベッキーさんは、当初字幕付きで公開されていた動画への日本語ナレーションを引き受けたのだという。
【動画】ランタンの物語
○パーム油による森林破壊、温暖化の促進
パーム油による森林破壊の実態はどのようなものか。またどうしたら森林破壊を防げるのか。筆者は東京都・新宿区にあるグリーンピース・ジャパンの事務所を訪れ、担当者に話を聞いた。
「パーム油は、アブラヤシという植物の実から絞った油です。東南アジアでは、森林を切り開いてアブラヤシのプランテーション(農園)をつくっており、そうやって生産されたパーム油が日本はじめ世界各国へと輸出されているのです」と、グリーンピース・ジャパンの林恵美さん(サポーター・ジャーニー戦略企画)が解説する。「インドネシア政府によれば、同国では、1990年から2015年にかけて、2400万ヘクタールもの森林が失われたといわれています」(林さん)。
つまり、日本の森林の総面積に近い規模で森林が失われたとのことだ。インドネシアでの森林破壊の原因には、木材利用や紙パルプのためのプランテーションも含まれているとは言え、いかにパーム油が同国の環境にとっての脅威か、思い知らされる。
「2015年以降も森林破壊は続き、シンガポールの国土の約2倍の面積の森林が失われました」(同)。
インドネシアの森林は生物多様性の宝庫だ。その森林が破壊されることにより、多くの野生生物が絶滅の危機に瀕している。「カリマンタン島(ボルネオ)でのオランウータンの生息数は半減してしまいました。ベッキーさんがナレーションで協力してくれた動画でも触れている通り、1日あたり25頭のオランウータンが森林破壊にからみ、命を落としています」(林さん)。
このままでは、オランウータンが絶滅してしまうのも時間の問題だ。また、スマトラ虎やスマトラ象など、絶滅が危惧される動物が生息するテッソニロ国立公園(スマトラ島)の森林も「その4分の3以上が違法パーム油のプランテーションに転換されています」(林さん)というのだ。
問題は、生物多様性への悪影響にとどまらない。「気候変動(地球温暖化)への悪影響も大きい」と語る。「プランテーションの拡大に伴い、大量の炭素が蓄えられている泥炭地が開発されることにより、膨大な量の温室効果ガスが排出されてしまっています」(林さん)。泥炭地の開発や森林伐採とそれに伴う大規模山火事など、パーム油に関係する温室効果ガスの大量排出は深刻だ。「インドネシアは中国、米国に次ぐ、世界第三位の温室効果ガス排出国になってしまっています」(同)。
○世界130万人が署名、パーム油最大手を動かす
パーム油の生産に伴う環境破壊を止めよう-世界の人々が声を上げた結果、昨年末、世界のパーム油の40%を供給する業界最大手「ウィルマー社」(本社シンガポール)が動いたのだ。
「グリーンピースの各国支部は、ウィルマー社やその主要顧客企業に対する集中的な国際化キャンペーンを張り、世界130万人もの人々がパーム油のための環境破壊を止めるよう署名しました。そして昨年12月に、ウィルマー社はそれまで徹底されていなかったNDPE、つまり『森林破壊ゼロ、泥炭地ゼロ、搾取ゼロ』のポリシーを遵守する新方針を公表しました。それによれば、2019年末までにサプライヤーの全土地を特定し、人工衛星を使った森林破壊の監視を行い、違反したサプライヤーとの取引を停止するというものです。私達グリーンピースは、ウィルマー社が新方針通りに対応するか、監視していきたいと思います」(林さん)。
国際署名は現在も継続中で、グリーンピース・ジャパンのサイトから署名することができる。https://act.greenpeace.org/page/28716/petition/
○ベッキーさんに感謝!
日本企業も主に食品会社や外食産業、洗剤関連企業が大量のパーム油を使っている他、みずほ、三菱UFJ、三井住友といったメガバンクがウィルマー社など現地パーム油関連企業へ多額の融資を行ってきたという経緯がある。
林さんは「業界最大手のウィルマー社がNDPEポリシーを徹底するなら、状況は好転するでしょう」と語る。「日本でもより多くの人々が、パーム油がどのように生産されるのか、関心を持っていただければと思います。ベッキーさんには、そうした機会をつくっていただいて、本当に感謝しています」(同)。
経済のグローバル化と共に、日本の私達の生活と世界の環境問題は無関係ではなくなっている。その様な時代に生きる者として、意識を高め、具体的な行動をしていくことが必要なのだろう。
(了)
追記:ちょうどこの記事を配信しようとしたところ、ベッキーさんのご結婚のニュースが入ってきました。ベッキーさん、おめでとうございます!