次期アメリカ大統領は高齢者決定。いま先進国、欧州と東アジアのリーダーの平均は何歳か。驚きの結果に。
8月24日、アメリカの共和党が、トランプ大統領を正式に党候補に指名した。
これで、一つのことが決定となった。
共和党が勝とうが民主党が勝とうが、次期アメリカ大統領は(また)おじいちゃんであるということだ。
就任するとき、トランプ氏は74歳、バイデン氏にいたっては78歳。4年の任期が終わるときは、78歳に82歳である。
高齢で悪いということはないし、アメリカ人の選択に失礼なことを言いたくないものの、なんだかゲンナリする。
今回の大統領選は活気に乏しいと言われるが、あながち新型コロナウイルスのせいばかりではないかもしれない・・・。
筆者はフランスに住んでいて、42歳のマクロン大統領を見慣れているので、よけいにため息が深い。
これもそれも、強烈な新しさと若さと魅力をもっていたオバマ大統領の反動なのだろうか。
「欧州で若いのは、マクロン大統領だけではない。オバマ政権時代から、欧州ではリーダーが若返る潮流があった。今は一時ほどではないかもしれないが、欧州連合(EU)を見ていると、アメリカや東アジアと違ってリーダーたちは若いはずだ」と思った。
この印象は正しいのだろうか。そこで、他の国々のリーダーは今何歳なのか、調べてみることにした。
欧州のリーダーたちは?
それでは一覧を示していこう。
まずはEU加盟国から。若い順に並べてみた。
(◎は女性)
<西欧と北欧>
オーストリア・クルツ首相 33歳
◎フィンランド・マリン首相 34歳
フランス・マクロン大統領 42歳
◎デンマーク・フレデリクセン首相 42歳
◎ベルギー・ウィルメス首相 45歳
ルクセンブルク・ベッテル首相 47歳
スペイン・サンチェス首相 48歳
ギリシャ・ミツォタキス首相 52歳
オランダ・ルッテ首相 53歳
イタリア・コンテ首相 56歳
ポルトガル・コスタ首相 59歳
アイルランド・マーティン首相 60歳
スウェーデン・ロベーン首相 63歳
◎ドイツ・メルケル首相 66歳
平均年齢 50歳 (14カ国で、合計700歳)
30代(!)が2人。
40代が5人。
50代が4人。
60代が3人。
そして◎女性が4人。
やっぱり、筆者の印象は間違っていなかった。若い。一番多いのが40代。女性が4人もいるのも欧州らしい。
オバマ時代のイタリア首相、レンツィ氏(2014-16)は就任時39歳だった。後に続くように、マクロン大統領も就任時(2017)39歳だった。あの頃から、大いに若返った印象がある。
さて、次に東欧を見てみよう。
<東欧>
マルタ・アベラ首相 42歳
エストニア・ラタス首相 42歳
スロバキア・マトビッチ首相 47歳
クロアチア・プレンコヴィッチ首相 50歳
リトアニア・スクヴェルネリス首相 50歳
ポーランド・モラヴィエツキ首相 52歳
ラトビア・カリンシュ首相 55歳
ハンガリー・オルバン首相 57歳
ルーマニア・オルバン首相 57歳
ブルガリア・ボリソフ首相 61歳
スロヴェニア・ヤンシャ首相 61歳
チェコ・バビシュ首相 65歳
キプロス・アナスタシアディス大統領 73歳
平均年齢 54.76歳(13カ国で、合計712歳)
40代が3人。
50代が6人。
60代が3人。
70代が1人。
◎女性ゼロ
西欧&北欧に比べると、男性しかいないし年齢も上だし、保守的な感じがする。
それでも平均年齢は、50代前半だ。
<EUのリーダー>
欧州理事会・ミシェル議長(大統領)44歳
◎欧州委員会・デア・ライエン委員長 61歳
<EU加盟国以外>
◎スイス・ソマルーガ大統領(連邦主席)60歳
イギリス・ジョンソン首相 56歳
◎ノルウェー・ソルベルグ首相 59歳
<欧州リーダーの平均年齢 52.87歳。>
筆者は日本に帰るたびに、日本の政治家の、お年寄りが多くて男ばかりの雰囲気に、とても閉塞感を覚えていた。今回、数字で証明できて良かった。
ちなみに、今問題になっているベラルーシの独裁者、ルカシェンコ大統領は65歳。一足先に民主化した隣国ウクライナのゼレンスキー大統領は、42歳である。
皇帝のように君臨しているロシアのプーチン大統領は67歳・・・。
ベラルーシ市民のうっくつは、大統領の在籍年数だけではなく、年齢も関係あるのかもしれない。
では、東アジアは・・・
それでは、いよいよお膝元の東アジアである。
日本・安倍首相 65歳
中国・習主席 67歳
韓国・文大統領 67歳
北朝鮮・金委員長 36歳
◎台湾・蔡総統 63歳
(ロシア・プーチン大統領 67歳)
(モンゴル・バトトルガ大統領 57歳)
平均年齢 60.28歳
(金委員長を入れなければ、64.33歳)
一気に、四捨五入で70歳が目立つ世界になった。お年だ。閉塞感は、日本だけではなかった。地域のものだった。
唯一頑張って平均年齢を下げてくれているのが、金正恩氏だ(でも、若ければいいというものではない。日本も同じで、重要ポストが得られるそこそこ若い人は、欧州と違って七光りばかり。これも閉塞感の原因の一つ)。
でも周りがこれでは、さぞかし金委員長もストレスがたまるだろう。時々、突然に隠れたがるのは、そのせいか。
唯一女性の台湾・蔡総統には、ぜひ頑張ってほしい。応援している。
日本人の感覚では「リーダーで60代くらいは普通ではないか」と思うが、それは東アジアのものだった。
もともと保守的だから、年配者と男性が強いのだろうか。それとも、地域全体として民主度が低いから(しかも軍事的緊張もあるから)、年齢が上がるのだろうか。両方か。
世界の先進地域を見ると、「60代で平均的」なんてことは、まったくないのに。
繰り返すが、欧州リーダーの平均年齢は52.87歳、西欧&北欧に限るなら50歳だ。
その他の先進国では、カナダのトルドー首相が48歳、オーストラリアのモリソン首相が52歳、ニュージーランドのアーダーン首相(女性)は40歳である(この3カ国の平均年齢は、46.66歳だ)。
「日本もいいかげん、若返ってくださいよ」と自信をもって主張したいところに、高齢化社会ニッポンの、超メガトン級の強力な味方<アメリカ大統領=在任中、後期高齢者>が登場するのだった・・・。