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ザ・プリンス パークタワー東京で北海道づくしのフェア 鮨と懐石を同時に味わえるコースとは?

東龍グルメジャーナリスト
(C) 東龍

人気のある北海道フェア

ホテルのレストランでは、全国各地のフェアが季節ごとに行われています。中でも人気のエリアは、食材の宝庫である北海道です。

北海道は冷涼な気候に恵まれており、稲作、畑作、酪農など、広大な大地を生かした大規模な農作物の生産活動が行われています。 小麦、大豆、小豆、インゲン豆、ジャガイモ、タマネギ、アスパラガス、百合根、生乳などの生産量は国内1位。全国の農地面積の26%を占め、日本の食料基地とも称されています。自給率100%を超える都道府県は6道県だけですが、北海道の自給率はダントツ1位となる208%です。

北海道の海岸線の長さは全国の12.5%にあたる4,402キロメートル。日本海、太平洋、オホーツク海の3つの海に囲まれていて、海産物も充実しています。漁業生産量は日本全体のおよそ4分の1を占めており、漁業就業者数、漁船数とともに全国第1位。帆立、スケトウダラ、鮭、ホッケ、昆布、毛蟹、烏賊などの水揚げ量が日本一となっています。

ザ・プリンス パークタワー東京の「北海道フェア2024」

ザ・プリンス パークタワー東京 (C) 東龍
ザ・プリンス パークタワー東京 (C) 東龍

この北海道の山海の幸を存分に味わえるのが、ザ・プリンス パークタワー東京で2024年4月27日から6月30日にかけて行われている「北海道フェア2024」です。

広大な北海道の中でも、豊かな自然が多い道東エリアにフォーカスしたメニューが味わえます。フェアの開催にあたっては、料理長たちが現地に赴き、生産者と直接ふれあいながら、旬の食材を厳選してきました。

釧路和商市場「さとむら」の魚介類、幕別町「チーズ工房 NEEDS」の乳製品、幕別町「野坂農場」の百合根、増毛町「国稀酒造株式会社」の日本酒、美唄市「元祖美唄やきとり 福よし」のもつ料理と、道東の名店と協業。

釧路市長の蝦名大也氏からは「水揚げ日本一を誇る釧路市の食材をご堪能いただき“ひがし北海道・釧路”を体感していただければ幸いです」、厚岸町長の若狹靖氏からは「一流シェフと厚岸町の食材のコラボレーションを心ゆくまでご堪能ください」、幕別町長の飯田晴義氏からは「魅力を少しでも身近に感じ、幕別町のファンになっていただければ幸いです」と、自治体の長からもエールが送られています。

フェアのメニュー

ザ・プリンス パークタワー東京の「北海道フェア2024」は、ほぼ全ての料飲施設で開催されているとあって、非常に充実しています。

主なアイテムは次の通りです。

日本料理 芝桜
花籠点心 × ひがし北海道(6,000円)
釧路和商市場発祥 勝手丼をめぐる道東の旅(15,000円)
中国料理 陽明殿
北海道の山海の恵みランチ(6,000円)
北海道の山海の恵み 福コース(16,000円)
北海道 味噌ラーメン(2,200円)
鶏手羽先揚げ(6本 2,200円、12本 4,000円)
厚岸産あさり あさりえもん白湯スープそば(2,800円)
レストラン ブリーズヴェール
Specialty ~Blessing of Hokkaido~(20,000円)
Plaisir ~Blessing of Hokkaido~(9,000円)
焼き鳥 とり芝
とり芝で味わう北海道(8,000円)
寿司 濱芝
北海道を味わう寿司懐石(23,000円)
天ぷら 天芝
北海道 大地と海の恵み天ぷら「桐」コース(16,000円)
THE SHOP at the Park
北海道ボンボンショコラ(3種 各400円)
国稀酒造の酒粕パウンドケーキ(3,000円)
スカイラウンジ ステラガーデン
北海道産チーズ盛り合わせ(3,000円)
北海道産チーズとフルーツトマトのマルゲリータ(3,200円)
厚岸産あさり「あさりえもん」のボンゴレビアンコ(3,000円)
ガラディナー
3料理長一夜限りのコラボレーション 北海道の食材を使用した特別ディナー(2024年6月7日、24,000円、ペアリングワインセット 8,000円)

この他にも北海道幕別町にある「チーズ工房 NEEDS」の商品が販売されたり、「余市」や「竹鶴」といったウイスキー、「国稀」の日本酒、こんぶ焼酎といったお酒が提供されたりしています。

「寿司 濱芝」の「北海道を味わう寿司懐石」

ザ・プリンス パークタワー東京「寿司 濱芝」 (C) 東龍
ザ・プリンス パークタワー東京「寿司 濱芝」 (C) 東龍

どれも素晴らしいメニューばかりですが、特に注目したいのが、「寿司 濱芝」で味わえる「北海道を味わう寿司懐石」です。

コース内容は以下となります。

小鉢三種
北海道郷土料理三升漬け、北海道産じゃがいもの冷製スープ、北海道産アスパラガスのお浸し
お造り盛り合わせ
本鮪、北海マダコ、北海帆立、白身
北海道大助の西京焼き
厚岸産あさり「あさりえもん」の酒蒸し
ズワイ蟹と魚介の酢の物
にぎり寿司
大トロ炙り、中トロ、漬け鮪、利尻産昆布を使用した鯛の昆布〆、北海道産北寄貝、北海道産雲丹、北海道産イクラ、北海道産時鮭(トキシラズ)、北海しまえび、穴子
御椀
デザート

道東の魚介類と野菜を味わえるコースになっていて、懐石と鮨がどちらとも体験できるのが嬉しいところ。小鉢にはじまり、お造り、鮭の西京焼き、浅利の酒蒸し、酢の物といった珠玉の料理を味わった後に、鮨を握ってもらえます。

小鉢三種

小鉢三種 (C) 東龍
小鉢三種 (C) 東龍

「北海道郷土料理三升漬け」は、青唐辛子、麹、醤油の三つの原料をそれぞれ、一升ずつの分量で漬け込んだことから名前が付いた北海道・東北地方の郷土料理。塩気が効いていて、ビールや日本酒と相性抜群です。初夏にぴったりなのが「北海道産じゃがいもの冷製スープ」。冷たくて適度な甘味のビシソワーズで、帆立貝も入れられています。「北海道産アスパラガスのお浸し」は、お浸しで滋味が強調されたアスパラガスの上に香ばしい鰹節。

お造り盛り合わせ

お造り盛り合わせ (C) 東龍
お造り盛り合わせ (C) 東龍

お造りは本鮪、北海真蛸、北海帆立、白身。鮪は、北海道の向かいにある、青森県津軽半島の小泊で漁れた生の本鮪で、濃厚な赤身。白身は鰈の王様ともいわれる食味に優れた北海道の松川鰈です。弾力のある北海真蛸と、とろっとした帆立貝も北海道産。添えられたコンディメントは岩塩、山葵や山わさび=ホースラディッシュで、花穂紫蘇は好みで。

北海道大助の西京焼き

北海道大助の西京焼き (C) 東龍
北海道大助の西京焼き (C) 東龍

北海道でよく食べられている、脂がのったキングサーモン「大助」を、味噌焼きではなく、西京焼きにアレンジ。しっかりとした脂の味わいに慎ましやかな上味の西京味噌がよく合います。

厚岸産あさり「あさりえもん」の酒蒸し

厚岸産あさり「あさりえもん」の酒蒸し (C) 東龍
厚岸産あさり「あさりえもん」の酒蒸し (C) 東龍

蛤かと思うほど大きな北海道・厚岸のアサリ「あさりえもん」を、香ばしく酒蒸しにしました。スープは浅利、昆布、日本酒、僅かな醤油だけでつくられていて、浅利のポテンシャルが十二分に引き出された口福の逸品。

ズワイ蟹と魚介の酢の物

ズワイ蟹と魚介の酢の物 (C) 東龍
ズワイ蟹と魚介の酢の物 (C) 東龍

佳味のあるズワイガニと洗練された味わいの小肌を、さっぱりとした酢の物にしました。握りの前に味わえる贅沢な変化です。ワカメとキュウリが取り合わされています。

にぎり寿司

にぎり寿司。左上から時計回りの順番で、本文に対応 (C) 東龍
にぎり寿司。左上から時計回りの順番で、本文に対応 (C) 東龍

握りは全部で10貫で、鮪と穴子以外は北海道産というこだわりよう。シャリは白シャリで、酸味は軽やかです。

最初に中トロと、インパクトのあるネタを提供。赤身と脂のバランスがとれた俊味で、感嘆する味わいです。利尻産昆布を使用した鯛の昆布〆は、昆布の旨味が鯛の上味に奥行きを与えています。北海道産時鮭はちょうどいい脂とやわらかなテクスチャーです。北海しまえびは独特の甘味と引き締まった身で、車海老とはまた違った食体験。北海道産雲丹は、バフン雲丹の濃厚かつ妙妙たる味わいに、海苔のふくいくたる幽香がマッチしています。

北海道のお酒

上段から下段、左から右の順番で、本文に対応 (C) 東龍
上段から下段、左から右の順番で、本文に対応 (C) 東龍

「北海道フェア2024」では、北海道のお酒も充実しています。

「サッポロ クラシック」(1,350円)は北海道限定の副原料を一切使用しない麦芽100%生ビール。まろやかな味わいとスッキリした飲みやすさがあり、ゴクゴクと飲めます。

国稀酒造の北海道限定商品が「北海道限定 純米大吟醸」(1合 2,800円)です。北海道産酒造好適米「きたしずく」を100%使用した日本酒で、華やかな香りの中にコクと旨味が凝縮されています。

「三石こんぶ焼酎」(グラス 1,300円)は、三石こんぶの香りが口の中に心地よく広がります。その香りを最大限に楽しむためにも、ロックがおすすめ。マドラーの代わりに昆布が添えられるのも面白い趣向です。

「HATSUYUKI 2022」(グラス 1,200円)は、北海道余市にあるNIKI Hillsヴィレッジのフラッグシップワイン。青りんごや柑橘類のアロマと、北海道らしい透明感のある酸が味わえる白ワインです。北海道産の魚と相性がよいことは言及するまでもありません。

赤ワインでは、同じく北海道余市にあるグランポレールの「グランポレール 余市 ピノ・ノワール 2019」(グラス 2,500円)がイチオシ。イチゴのような華やかな香りがあり、やわらかなタンニンが特徴。鮪などの赤身にぴったりです。

2回目となる北海道フェア

ザ・プリンス パークタワー東京「寿司 濱芝」の個室 (C) 東龍
ザ・プリンス パークタワー東京「寿司 濱芝」の個室 (C) 東龍

北海道フェアは、今回で2回目の開催となりますが、どのようにして企画されたのでしょうか。

これまで国際フェアを何度も開催してきましたが、イタリア、スペイン、ブリティッシュ、ハワイなどがテーマだったので、洋食レストランでしか開催できませんでした。

そのため、食材の宝庫である北海道にフォーカスして、和洋中すべてのレストランが参画できるようにし、プリンスホテルのチェーンメリットを活かせるようにしました。

和洋中に拡大

ここまで力の入った北海道フェアということもあって、企画が持ち上がったのは1年も前でした。

今回は自治体の後援と企業の協力のもと、現地との関わりを強化。和洋中の料理長3名と、レストランサービスマネージャー1名、マーケティング1名の合計5名が、5日間北海道に滞在しました。道東を中心に網走、知床、屈斜路、野付半島、中標津、厚岸、白糠、釧路、札幌、帯広、幕別と、多くの地域を訪問し、生産者の想いや現地での食し方を体感しました。

料理長たちは現地の味を届けたいと厳選した食材でメニューを創作し、プリンスホテル シェフソムリエの市村義章氏もイベントで北海道ワインのペアリングを考案。前回よりもさらに内容を充実させ、2024年2月にはメニュー内容が全て決まりました。

様々なジャンルで北海道メニュー

ザ・プリンス パークタワー東京 (C) 東龍
ザ・プリンス パークタワー東京 (C) 東龍

北海道フェアは、最もよく開催されているといってもいい地域フェアです。ただ、ザ・プリンス パークタワー東京の「北海道フェア2024」のように、これだけ多くの店舗で多種多様なメニューが取り揃えられていることは、なかなかありません。

和洋中、デザートにドリンクと、様々なジャンルで工夫された北海道メニューが味わえるので、是非とも体験してみてください。

※価格は全て税込・サ別

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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