虹色のゴミって、どういうこと=ニジゴミムシダマシの虹色の秘密#構造色
ニジゴミムシダマシの仲間は、光の当たり方によっては虹色に輝いて見える。しかし、真っ黒に見える時もある。
これは構造色によるものだと言われるが、モルフォチョウ、ナミハンミョウ、アオカナブンなどの構造色とは少し違いそうだ。
モルフォチョウの色は、横から見た時の黒が、上から見た時の青に変わるだけ。ナミハンミョウの鮮やかな色彩も、体の部位によって青や赤にほぼ決まっている。
それに対して、ニジゴミムシダマシの仲間の場合は、シャボン玉や路上の油膜のように、七色に輝く部分が光の当たり方によって様々に変わる。
ニジゴミムシダマシの体表には、油膜に近い構造があるのかもしれない。シャボン玉や油膜の輝きは、光の多重反射とその干渉現象、光の七色の成分それぞれの波長による屈折率の違いなどによるものだと言われる。
プリズムを通った光が屈折率の違いで七色に分かれるのに近いかもしれない。しかし、これ以上に詳しい説明を浅学の昆虫記者に求めても無駄であり、誤った知識を与えられるだけだ。
あのゴミのような虫を、どうやって虹色に撮影するか。昆虫記者の関心事はそんなことだけである。
ニジゴミムシダマシの仲間は、倒木の樹皮の隙間などで越冬することもあるので、冬に見つけることも多い。越冬中の虫は動きが鈍いので、虹色の輝きをくっきりと撮影するのにうってつけだ。
科学的探究心にあふれた人なら、多重反射とか、干渉現象とか、屈折率とか色々と考えながら、虹色のゴミをじっくり撮影するのもいいかもしれない。もちろん、面倒なことは何も考えず、ただただ「虫をきれいに撮ってあげたい」という一心で虹色の撮影に挑むのも「あり」である。
(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)