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「Yahoo! JAPAN」と名乗れなくなるリスクも? - Verizonによる米Yahoo!買収

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
米Yahoo!のネット事業のVerizonへの売却が発表されました。(写真:ロイター/アフロ)

米国時間7月25日に、モバイル最大手の通信会社Verizonが、米Yahoo!のネット事業を48億3000万ドルで買収することを認めました。インターネットの草分け的存在として21年間独立企業として存続してきたYahoo!は、同じくVerizonが44億ドルで買収済みのAOLとともに、巨大通信会社のメディア部門へと組み込まれることになります。

Yahoo!自体、これまで様々な企業からの買収話がありましたが、AOLとYahoo!の買収金額に大きな差がなくなっていたことからも、Yahoo!としての企業価値が減少していたことの表れ、と言えるでしょう。広告が主なビジネスモデルですが、いずれも減収に転落していたことから、早めに売却を済ませたほうが良い、ということになったと考えられます。

CNNでは、Yahoo!の「マリッサ・メイヤーCEOの4年間の激務が終わる」という見出しを出しています(関連記事)。まだ、Yahoo!にとどまるのか、Verizon傘下で新たな役割が与えられるのかはわかりません。

日本のネットの巨人が、名乗れなくなるリスクも

さて、メディア事業を売却した後のYahoo!には、アリババや、30%に上るヤフージャパンの株式、今回の買収で手に入る現金、知的財産が残ることになるでしょう。

ここで複雑な関係が出てきます。ヤフージャパンを傘下に従えているのは日本のソフトバンク。ご存知の通り、ソフトバンクは、米国の大手モバイル通信会社Sprintを買収済みです。当然のことながら、Sprintは、Yahoo!を買収したVerizonの競合企業となります。

つまり、今回の買収により、Verizonは、他国ではありますが、競合する企業の親会社に、Yahoo!の暖簾を貸している状態になるわけです。

単純な資本的関係から考えれば、この関係が長続きするとは思えません。つまり、Yahoo! JAPANが「Yahoo!」を名乗れなくなるリスクが浮上してしまった、とみることができます。

ちなみに、Verizon傘下のAOLには、100%子会社のAOLオンライン・ジャパンという日本法人があり、TechCrunch、Engadget Japanese、Autoblog、ザ・ハフィントン・ポストなどのメディアを展開しています。例えば、AOLのポータルが、日本でYahoo!ブランドを使いたいといった場合、問題が表面化することになるでしょう。

インターネットの文化的、歴史的な経緯も鑑みて、Verizonが日本市場に対してわざわざ関与するかどうか、すぐには動きはないでしょう。ただ、ヤフージャパンもソフトバンクも、何らかの備えをしておく必要がありそうです。

例えば、皆さんは、ヤフーじゃなくなるYahoo! JAPANに、なんと名付ければ良いと思いますか?

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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