夏野菜は栄養価が低いは誤解 旬の夏野菜の特徴と料理家イチオシ簡単レシピ
一部の地域では梅雨明けが訪れ始め、いよいよ本格的な夏がやってきます。この季節に楽しみたいのが、まさに今が旬の夏野菜たちです。夏野菜には水分が多いものが多く、あまり栄養価がないのではという印象もあるかもしれませんが、カリウムやカルシウム、鉄や亜鉛といったミネラルや、β-カロテンや葉酸などのビタミン、食物繊維、ポリフェノールなど大事な栄養がふんだんに含まれています。ただ、健康に良さそうな成分が含まれているとわかっていながら、ついつい匂いや苦味のせいで敬遠してしまうというご家庭も多いのではないでしょうか。そこで今回は、夏野菜の中で特におすすめ7種について、その特徴と美味しい食べ方をご案内したいと思います。
きゅうり
夏が旬の野菜の代表と言えば、やはりみずみずしいきゅうりですよね。ただ、皮や香りが苦手だからと、つい敬遠してしまう人も多いかもしれません。
ちなみにきゅうりの独特の香りは、スミレ葉アルデヒドとキュウリアルコールと呼ばれる成分によるものです。きゅうりの香り成分は組織が破壊されることで生じるため、破壊前に加熱すれば香りを抑えることができます。
そこで一手間加えるだけで、誰でも美味しく食べられる簡単レシピをご紹介します。
■皮が苦手な人向け、きゅうりと竹輪の翡翠炒め(2人分)
きゅうり2本、竹輪1本、ごま油、しょうが1片、ガーリックパウダー(適量)、塩1g
1 きゅうりは皮をむいて、1センチ幅の斜め切りにする。竹輪も斜め切りにする。しょうがはみじん切りにする。
2 フライパンにごま油を熱し、きゅうりを加えて炒め、表面に火が通ったら、竹輪、しょうがを加えてさっと炒め合わせ、ガーリックパウダーと塩を加えて混ぜる。
■加熱で苦手な香りを取り除く、きゅうりのマヨネーズ味噌(2人分)
きゅうり1本、マヨネーズ大さじ1、味噌大さじ1
1 マヨネーズと味噌、一味とうがらし(好みで)を混ぜておく。
2 鍋に湯を沸かし、きゅうりを入れて10秒ほど茹で、冷水にとる。
3 きゅうりの水気をとって、スティック状に切り、1を添える
■きゅうりとみょうがの甘酢あえ(2人分)
きゅうり1本、みょうが1個、大葉2枚、塩こんぶ小さじ1、酢大さじ1、砂糖小さじ2、白ごま適量
1 きゅうり、みょうが、大葉は千切りにする。
2 ボウルに酢と砂糖を入れてよく混ぜ、1と塩こんぶをよく混ぜ、白ごまをふる。
なす
なすには、紫色、緑色、白色などがありますが、紫色の皮には、約4種類のアントシアニンが含まれています。そのうちの約90%がナスニンです。ナスニンは、紫の色素成分で抗酸化作用があるポリフェノールの一種であり、なすのあの濃い紫色は鉄分や高温で調理することで維持できます。
美味しく食べるには、素揚げや炒め物などの油をつかった料理がおなじみですが、焼くことで果肉がトロトロになって美味しくいただける焼きナス用の品種もあります。
色よく加熱するためにおすすめなのは、電子レンジ。普通の大きさのなす(1個約60~80g)であれば、ヘタを取り除き、ラップを巻いて600wの電子レンジで1分40秒ほど加熱するときれいな紫色になります。
■レンジなす(2人分)
なす2個、ごまだれ(適量)
1 なすはへたを切り落として縦半分に切り、1センチ厚さの斜め切りにする。
2 1をラップで包み、電子レンジ(600w)で3分ほど加熱する。
3 ボウルに2を入れ、ごまだれ適量を加えて混ぜる。
なお、油の量が気になるという方は、先に切った後で電子レンジで加熱したなすを料理に使うと、油を抑えられます。
トマト
夏野菜のイメージが強いトマトには、酸味、甘味、うま味が含まれ、特にうま味成分である遊離グルタミン酸が豊富に含まれています。また、トマトの赤い色は、リコピンが主な成分です。リコピンには強い抗酸化作用がありますから、ぜひ、たっぷり食べていただきたい野菜です。
■輪切りで皮を感じにくいトマトの玉ねぎサラダ(2人分)
トマト(大)1個、玉ねぎ1/5個、塩1g、酢小さじ2、オリーブオイル小さじ2、フレンチマスタード小さじ1/2
1 トマトは、7ミリ程度の厚さの輪切りにする。玉ねぎはすりおろす
2 ボウルに玉ねぎ、塩、酢、オリーブオイル、フレンチマスタードを加えてよくまぜる。
3 トマトを器に盛り付け、2をのせる。あれば乾燥パセリなどをふる。
■牛肉とトマトのさっぱり煮(2人分)
牛肉薄切り180g、長ネギ1/2本、トマト(大)1個、酒100ml、みりん大さじ1、しょうゆ大さじ1
1 長ネギは、斜めに切る。牛肉は食べやすい大きさ、トマトはくし形に切る。
2 フライパンは油をひかずに熱し、牛肉、長ネギを加えて表面を焼く。
3 トマトを加え、酒、みりん、しょうゆを加えて、煮汁が沸騰して少し煮詰まったら火をとめる。
とうもろこし
茹でたてのとうもろこしの美味しさは格別ですね。収穫直後が甘味が強く美味しいので、できるだけ早く加熱するようにしましょう。たくさんの品種がありますが、野菜として食べられているのは、スイート種の未成熟なものです。茹でる以外にも、缶詰や、生食に利用されることもあります。ホップ(爆裂)種は、ポップコーンの材料として使います。
■茹でとうもろこし
とうもろこしを茹でる時は、一番身(粒)に近い薄皮を残した方が風味が強くなり、美味しくなります。皮がすべてむかれているもの以外は、薄皮を残した状態で加熱してみましょう。茹でたては熱いので、荒熱がとれてから、薄皮をはぐようにしてください。
(フライパンでの茹で方)
1 フライパンに、2~3センチほどの高さまで水を加え、中火にかけて沸騰させる。
2 湯が沸騰したら、とうもろこしを加えて蓋をし、軽く沸騰するくらいの火加減にして3分茹で、上下を返し、さらに3分ほど茹でる。荒熱がととれてから薄皮をむき、好みで塩をふる。
※塩味をしっかりつけたい場合は、茹であがったところで500mlの水に塩大さじ1を加えた塩水に漬け、粗熱がとれるまでおきます。
(電子レンジでの茹で方)
1 とうもろこしをラップで包み、電子レンジ(500w)で5分加熱します。
2 粗熱がとれてから、ラップを外します。
■とうもろこし味噌汁
茹でるのが面倒な時は、包丁で身の部分だけを切り落とし、お味噌汁の具にしても美味しいですよ。
■とうもろこしごはん
米2合、とうもろこし1本
1.生のとうもろこしの甘味を活かしたごはんです。米を炊き始める時に、包丁で身の部分だけを切り落としたとうもろこしと芯を加え、いつもの水分量で炊きましょう。
炊きあがったら、芯を取り除いてさっくり混ぜます。
2.塩味をつけたい時は、炊く時に小さじ1の塩を加えます。
ズッキーニ
ズッキーニは、カリウム、β-カロテン、葉酸、ビタミンCが多い野菜です。癖がなく食べやすいので、いろいろな料理に合わせて使うことができます。定番の夏野菜の煮物ラタトゥイユやソテー、チーズ焼きなどにしても美味しくいただけますよ。
■ラタトゥイユ(3~4人分)
ズッキーニ1本、トマト1個、玉ねぎ1/2個、パプリカ1個、ピーマン1個、ベーコン2枚、にんにく1片、オリーブオイル適量、塩小さじ1/2、コショウ適量
1 ズッキーニは輪切り、トマトはざく切り、玉ねぎは細切り、パプリカとピーマン、ベーコンは、1センチ幅に切る。
2 鍋にオリーブオイルとつぶしたニンニクを入れて弱火にかけ、香りが出てきたら、すべての野菜とベーコンを加えて炒める。
3 全体に油が回ったら、蓋をして弱火で野菜が柔らかくなるまで加熱し、塩、コショウを加える。
■チーズ焼き(2人分)
ズッキーニ1本、ピザ用チーズ60g
1 ズッキーニは1センチの厚さの輪切りにする。
2 耐熱容器にズッキーニを並べ、その上にチーズをのせ、電子レンジ(600w)で1分加熱し、オーブントースター又は魚焼きグリルで焼き色がつくまで焼く。
オクラ
オクラのネバネバ成分は、ペクチン、アラバン、ガラクタンといった食物繊維の一種で、整腸作用などがあるとされています。暑さで胃腸が弱りがちな時にさっぱりといただきたいネバネバそうめんはいかがでしょうか。
■オクラともずくのネバネバそうめん(1人分)
そうめん2束、オクラ4本、もずく(適量)、小葱、卵黄、つゆ(適量)
1 オクラはガクをとり、うぶげが気になる場合は、塩でこすりとり、水で洗い流す。
2 鍋に湯を沸騰させ、そうめんとオクラを入れてゆでる。
3 湯を切って冷水にとり、オクラは輪切りにし、そうめんは水気をしっかり切る。
4 器にそうめん、オクラ、もずく、卵黄をのせ、つゆをかけて小葱をちらす。
ゴーヤ
ゴーヤには、β-カロテンやビタミンCが含まれます。特有の苦味成分(モモルディシン)には、消化を助けたり、夏バテを予防したりする効果が含まれると言われています。とはいえ、そのままの苦さでは食べづらいと感じてしまう人が多いのも事実です。しっかり苦味をとりつつ、和えるだけで完成という簡単レシピを紹介します。
■ゴーヤのチリソース和え
ゴーヤ1本、ツナ缶1缶、スイートチリソース
1 ゴーヤは、縦半分の切り、中の種とワタを取り除き、薄切りにする。
ボウルに入れて塩を加えて混ぜ、しばらくおく。
2 ゴーヤがしんなりしたら、水気を切り、沸騰した湯でさっと茹で、冷水にとって水気をしっかり絞る。
3 ボウルに2と、ツナ缶を入れ、スイートチリソースで和える。
新鮮な夏野菜をたっぷりとって、夏バテしらずですごしたいですね。
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】