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海自もがみ型護衛艦搭載の水上無人艇(USV)運用試験が横須賀で始まる #FFM

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
水上無人艇(USV)の運用試験が始まったもがみ型護衛艦1番艦もがみ(海上自衛隊)

海上自衛隊のもがみ型護衛艦に搭載予定の自律式水上無人艇(USV)の運用試験が海自横須賀基地で始まった。海自関係者が9日、明らかにした。このUSVは、これまでJMUディフェンスシステムズが舞鶴港(京都府舞鶴市)で試験を進めてきたが、このほど横須賀に移送されて同社と海自による運用試験が開始された。

運用試験の模様を撮影した映像によると、もがみ型護衛艦1番艦もがみの艦尾ハッチにUSVを入出庫する試験が8日に実施された。もがみ後部にあるUSV搭載スペースを使用しての試験だ。

もがみ型は海自護衛艦として初の対機雷戦能力を有する。もがみ型搭載のUSVについて、防衛省は「護衛艦(FFM)に対機雷戦機能を付与するため、機雷の敷設された危険な海域に進入することなく、機雷を処理することを可能とする無人機雷排除システム」の1つと位置づける。そして、その取得費用として2022年度に12億円、2023年度に45億円をそれぞれ計上した。

海上幕僚監部広報室はこれまで筆者の取材に対し、このUSVについて「機雷処分用水上無人機であり、遠隔操作により、自走式機雷処分用弾薬(EMD)を投入、管制し、機雷を排除することができる」と説明している。

もがみ型は無人機雷排除システム用としてUSV1艇のほか、無人水中航走体(UUV)も1機装備する。USVとUUVは従来の護衛艦にない新装備となる。

ネット上では「おーついにもがみ型FFMにUSV配備ですか。ここまで長かったな あとはVLS搭載すれば完全体に」といった期待の声が上がっている。VLSとは垂直ミサイル発射装置のことだ。

●USVの「うみかぜ」

ジャパンマリンユナイテッド(JMU)子会社で防衛装備品を手掛けるJMUディフェンスシステムズは、同社が開発したUSV「うみかぜ」の実証実験を京都府舞鶴市で行ってきた。「うみかぜ」はもがみ型護衛艦に搭載する無人機雷排除システムの技術検証用に製作された。同社によると、全長11メートル、幅3.2メートル、満載排水量11トンで、推進器としてウオータージェット2機を搭載する。最大速力は23ノット。

JMUディフェンスシステムズ関係者は昨年1月、「自律式水上無人船(USV)は、洋上での警戒監視、観測活動、物流・人員移送手段など水上における課題を解決する社会インフラ技術のひとつとして注目が高まっている。その社会実装に向け政府機関において法整備も進められており、弊社ではその製品化に向け技術的リスクを事前に検証・解決するために試作艇を社内開発し、まず防衛分野において製品化を実現、さらなる自律機能の向上を目指し様々な関連技術の社内開発を継続している」との論文を発表した。

つまり、このUSVは防衛と民生双方で活用できるいわゆる「デュアルユース(両用)」技術の研究開発となっている。

JMUディフェンスシステムズは舞鶴でUSVの改良試験を進め、試験地では陸上自衛隊員がUSVに同乗しているのが目撃されていた。陸自水陸機動団ではないかとの見方も出ていた。

●もがみ型は12隻で建造終了し、新型FFMが10隻誕生へ

もがみ型は年2隻というハイペースで建造が進められ、当初は計22隻が建造される計画だった。しかし、もがみ型は2023年度計画艦までの計12隻で建造を終了。昨年12月に閣議決定された防衛力整備計画に基づき、2024年度計画艦からはもがみ型に代わる新型FFMの計10隻が建造される予定だ。現在もがみ型を建造している三菱重工業と、JMUの2社が新型FFMの公募に参加している。この2社から防衛省に対する新型FFMの企画提案書の提出締め切り期限は8月31日となっている。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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