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世界バレー開幕!全日本の守護神・山本智大は「チームを引っ張る存在になりたい」

市川忍スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

今夜、初戦のカタール戦を迎える全日本

バレーボール『2022男子世界選手権』が26日、開幕する。日本はプールB(スロベニア)の第2試合でカタール(世界ランキング20位※)と対戦。東京オリンピック7位、先に開催された『バレーボール ネーションズリーグ2022』では史上最高の5位と健闘した全日本男子が、ファイナル進出をかけて予選ラウンドを戦う。

東京オリンピックでの「オレ!オレ!」

石川祐希、西田有志、高橋藍ら注目の選手が多い全日本男子だが、今回、注目してほしいのがリベロの山本智大(堺ブレイザーズ)だ。東京五輪でも守護神として活躍。好レシーブを見せた際に「オレ!オレ!」と大きな声で叫んでいるシーンがテレビカメラにアップで抜かれ話題となった。

「あの試合は何か、ゾーンに入っている感覚で、拾える気しかしなかったんです。確か4本連続で拾ったんですよ。4本目、最後に石川がライトから(スパイクを)決めたとき、僕はカメラではなくてベンチに向けて『オレが拾った!』ってアピールしたつもりだったんですけど、ちょうどカメラに映っていたみたいで……。試合のあと親から連絡が来て『カメラに抜かれてたよ!』と言われました(笑)。普段から『アタッカーだけではなくて、リベロに注目してくれる人が一人でも増えればいいな』と思っていたので、それはそれでよかったと思っています」(山本)

全日本のブロック力の成長を実感

ネーションズリーグを振り返り、ブラン監督はディフェンスについて「一定の成果は出ている」と語った。後ろで守るリベロの山本には全日本のディフェンス力はどのように映っているのだろうか。

「昨年度と比べてブロック得点もワンタッチの数もすべて上がっています。かつ、僕が最もやりやすいなと感じているのは、抜けてほしいと思っているコースを抜けて、スパイクのボールが飛んでくる。ディグがしやすくなっているのは確かですね。判断がしやすく、迷わずその位置に入ることができています」

ネーションズリーグでの戦いで、ディグが上がり、ラリーが続く回数が増えた印象を受けたが、その要因はブロックとディグの関係性にあった。

「データを元に跳ぶ位置を決めるという部分に関しては昨年度までと変わりません。ただ、データ通りにいかないときに、どう対応していくかも大事。そこはミドルブロッカーと話しながら、試合中でも『ここを変えよう』という会話を増やしています」

「ブロックとディグの関係性で世界一になろう」

山本は言う。

「中学からバレーボールやってきましたが、ここまでブロックとディグの関係を指導されるのは初めてでした。日本は守備型のチームなので『ブロックディフェンスやディグとの関係性において世界一になりたい』とブラン監督は常々言っています。もともとレシーブ力の高い日本人にとって、ブラン監督の指導や戦略はハマっていると思いますね」

今年度に関しては、ミドルブロッカーが追いつけず、サイドブロッカーとの間が空く際には無理にボールに手を出さず、あえてそのコースを抜かし、ディグにリベロの山本を含めた2名が入るよう指示を出すシーンもあるという。ボールに触ることでボールの軌道が変わるのであれば、あえて触らせず、後ろを守る選手の能力に託す。

山本のディグ力が信頼されているからこそ、とれる戦略でもある。

「世界選手権に向けても、ディフェンスの練習が多くなっています。僕が1本でも2本でも多く上げて、こちらのチャンスにできれば……」

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

年齢は、いつの間にか上から2番目

全日本には後輩が増え、「いつの間にか上から2番目になっていましたよ」と笑う。

「もっともっと精神的にもチームを引っ張れる存在になりたい」

リベロ冥利に尽きる瞬間は「僕がディグを上げて、体育館に歓声が起こるとき」だと言う山本。ぜひその大歓声を世界選手権ファイナルの舞台で全身に浴びてほしい。

※世界ランキングは世界選手権出場が決まった際のもの

スポーツライター

現在、Number Webにて埼玉西武ライオンズを中心とした野球関連、バレーボールのコラムを執筆中。「Number」「埼玉西武ライオンズ公式ファンブック」などでも取材&執筆を手掛ける。2008年の男子バレーボールチーム16年ぶり五輪出場を追った「復活~全日本男子バレーボールチームの挑戦」(角川書店)がある。Yahoo!公式コメンテーター

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