元全日本・大山加奈がエグゼクティブアドバイザー就任。ヴィアティン三重と共に描くスポーツ界の未来とは?
10月3日、三重県をホームタウンとするヴィアティン三重女子バレーボールチームが、今シーズンからのV.LEAGUE参戦と、元日本代表の大山加奈氏のエグゼクティブアドバイザー就任の記者会見を行った。
ヴィアティン三重の常務取締役・椎葉誠氏は語る。
「2020年2月、津シティマラソンで偶然、大山加奈さんとお会いして、ご挨拶をさせていただきました。今回、女子バレーボールチームを立ち上げるにあたって、女子競技をどうやって盛り上げていけばいいか思案していたところ、大山さんには無理を承知でお願いしました。快く承諾してくださり感謝しています」
総合型スポーツクラブの理念に共感
大山氏はちょうどWEリーグ(女子プロサッカーリーグ)の新理事に就任したニュースが伝えられたばかり。「日本女子スポーツ界でこれからも大きな力を発揮する人」と椎葉氏が白羽の矢を立てた。
大山氏は語る。
「これまで選手以外でチームに関わった経験のない私が、しかも子ども二人(2021年に双子を出産)を抱えた自分に何ができるのかと悩みましたが、ヴィアティンは大変魅力のあるチーム。日本では数少ない総合型スポーツクラブであり、地域の活性化や青少年の育成などに力を入れている姿を見て、ぜひお力になりたいと決断しました」
今後は、選手目線はもちろん、女性アスリートとして、出産・育児経験者としてさまざまな視点からアドバイスを送りたいと抱負を語った。
ママさんプレーヤーのために改革を
実際、一カ月前に行われた会議でさっそく手腕を発揮した。
「うちにもママさんプレーヤーが所属しています。大山さんのご意見を聞き、さっそくVリーグの遠征に子どもを帯同できないかと検討中です。それが叶わなくても、預かる場所をどうすればいいのか等、チームや現場でも一緒に考えていくつもりです」(椎葉常務取締役)
大山氏は続ける。
「私自身が出産を経験し、ライフステージが変わる中でいろいろなことを考える機会が増えました。バレーボール界では、出産後に競技復帰する選手がまだ少なく、どちらかを諦めなければいけない状態です。もちろん望む、望まないの自由はありますが、もし結婚や出産を望むのであれば、選手が競技を続けることもできる仕組みを作りたいですね」
「一緒に頑張りましょうと言っていただいた」
キャプテンの草深ことみ選手は「自分がバレーボールを始めたころ、アテネオリンピックで活躍していた大山さんがエグゼクティブアドバイザーに就任してくれて感激しています。〝一緒に頑張りましょう〟と言っていただいてうれしかったです」と目を輝かせた。
抱負を語る草深ことみ主将。写真提供・ヴィアティン三重ファミリークラブ
大山氏は続ける。
「自分は現役のころ、とても恵まれた環境でバレーボールをさせていただいていて、〝バレーボールのファンを増やすにはどうしたらいいか〟とか〝東レ(所属先)の名前を広く知ってもらうにはどうしたらいいか〟ということまで考えが及びませんでした。そういった後悔を選手たちに話しました。ぜひ愛されるチームや選手になってほしいです」
今後は「私の名前を大いに利用してほしい」と、バレーボール教室への参加なども検討しているという。何より、元代表選手が持つ高い技術力や、その経験談を選手に伝えることで、チーム全体の目的意識の向上が期待されている。
V2リーグ、昨年3位の男子に続く
ヴィアティン三重女子バレーボールチームは2020年3月に発足。男子チームはV2(二部)で昨シーズンは3位という好成績を収めており、男子に続いてのトップリーグ参戦となる。
2022年10月に開幕するV2リーグは全11チームが総当たり2回戦を戦い、ファイナルラウンド進出を目指す。「発足からこれまで無観客試合が多かった。お客様の前でプレーするのが楽しみです」と草深キャプテン。ヴィアティン三重の初戦は11月6日、猫田記念体育館での大野石油との一戦となる。
強く、愛されるチームを目指した戦いが始まる。
PROFILE
ヴィアティン三重ファミリークラブ
男女サッカー、男子バスケットボール、男女フットサル、男女バレーボール、男女ビーチサッカー、男女ハンドボール、陸上、各アンダーカテゴリーチームを持つ総合型スポーツクラブ。
女子バレーボールチームの情報は以下より
https://www.veertien.jp/lvc/