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世界バレー女子大会、間もなく開幕!鍵を握るのは〝数的優位〟

市川忍スポーツライター
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

9月24日に開幕する『2022 世界バレー女子大会』。日本は翌25日にコロンビアとの初戦を迎える。東京オリンピックを1勝4敗の予選敗退という残念な結果で終えた全日本女子は、ロンドンオリンピックで銅メダルを獲得した真鍋政義新監督のもと、どのような戦いを目指すのか。

いかに〝数的優位〟な状況を作れるか

真鍋監督が就任以降、目標に掲げ、取り組んでいるのが中央からのバックアタック(パイプ、bick)の精度アップだ。

「ネーションズリーグで感じたのは、我々の真ん中からのバックアタックが効果的だったことです。少しはやくしたのですが、今後はその精度を高めることが大事だと思います」(真鍋監督)

ただし、はやさを追及はしているものの、高さを生かせるはやさであることを古賀紗理那(NECレッドロケッツ)らアタッカー陣は口を揃えて強調する。

そして前年までのチームでは〝レセプションを素早く低く〟という指導があったようだが、今年度からはその部分も改善されている。

セッターの籾井あき(JTマーヴェラス)は語る。

「今年に関しては1本目を速くということは特に(言われて)ないですね。4人が攻撃に入りやすいと思います。4人攻撃というのはチームも自分自身も常に心がけています」

レセプションを高く返すことで、セッターにもアタッカーにも余裕が生まれる。

「1本目(レセプション)が低いと、相手のブロックを見る時間が少ないのは確かです。そして、アタッカーの助走が視野に入らないときもある。毎回じゃないですけど、その確率が多かった。でも1本目、高さを出して時間を作ってもらうことで、セッターとして相手を見て、アタッカーの助走を視野に入れつつという部分ですごく助かっています」(籾井)

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

故障から復帰したセッターの籾井選手

ツーアタックも〝数的優位〟の重要な鍵

「ツーアタックをするよう口酸っぱく言っている」(真鍋監督)という籾井の武器も、数的優位を作るためには極めて有効な武器となる。

ミドルブロッカーのクイックもそうだが、決まればなおいいが「この攻撃もある」と相手のデータに残し、頭に刷り込むことに大きな意味があるからだ。

真鍋監督は語る。

「世界選手権の目標は3次リーグ進出です。ただし第1次リーグ、第2次リーグともに非常に厳しいゾーンにいる。ベスト尽くしていきたい」

日本が入ったプールDには世界ランキング2位のブラジル、4位の中国など強豪がひしめいている。その中で「3次リーグ進出」という現実的な目標を掲げた真鍋監督。

もちろんオリンピック出場に大きく関わってくる世界ランキングを上げるためには上位に進出することが重要となるが、何より、現時点では順位はもとより、全日本女子が理想とする戦略がどれくらい実現できているのかどうか、まずはその進化に注目したい。

スポーツライター

現在、Number Webにて埼玉西武ライオンズを中心とした野球関連、バレーボールのコラムを執筆中。「Number」「埼玉西武ライオンズ公式ファンブック」などでも取材&執筆を手掛ける。2008年の男子バレーボールチーム16年ぶり五輪出場を追った「復活~全日本男子バレーボールチームの挑戦」(角川書店)がある。Yahoo!公式コメンテーター

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