Yahoo!ニュース

日本キラーのネイマール、ついにペレ超えなるか。各種データで振り返るブラジル代表の今

下薗昌記記者/通訳者/ブラジルサッカー専門家
韓国代表に5対1で圧勝。2得点のネイマールはペレの最多得点記録にまた一歩近づいた(写真:ロイター/アフロ)

 6月6日に日本代表と対戦するブラジル代表。2日に行われた韓国戦はネイマールの2得点を含めて5対1で快勝しているが、この試合は2014年の「ミネイロンの惨劇」以降、ちょうど100試合目の節目に当たる試合だった。8年の時を経て、セレソン(ブラジル代表)はいかなる変化を遂げてきたのかを各種データともに振り返るが、変わらないのはエース、ネイマールの存在だ。

 韓国戦の2得点で怪物ロナウドの公式戦ゴール数に並んだネイマール

 カタール大会に向けた南米予選を圧倒的な成績で首位通過(もっとも予選で好調なブラジルは本大会で足をすくわれる傾向にあるのだが)。ブラジル国民が待ち望むエクサ(ポルトガル語で6回目)に向けて、順調なチーム作りを進めているブラジルは韓国を5対1のゴールラッシュで下した。

 右足の負傷で出場が懸念されたネイマールも先発し、PKではあるものの2得点をゲット。セレソンでの通算得点数を73に伸ばし、歴代最多である「王様」ペレの77点がいよいよ視界に入ってきた。

 もし日本戦で4得点すれば最多タイ、5得点以上で「キング超え」という歴史的な快挙達成となるが、ネイマールにとって日本は格好のお得意さまであることは今更振り返るまでもないだろう。

 歴代のブラジル代表得点ランク

 1位 ペレ 77点(92試合)

 2位 ネイマール 73点(118試合)

3位 ロナウド 62点(99試合)

4位 ロマーリオ 55点(70試合)

5位 ジーコ 48点(71試合)

 ちなみにネイマールの73得点の内訳は下記の通りである。

  8点  日本

  6点 ペルー

5点 アメリカ

  4点 コロンビア、エクアドル

 これまで30の代表チームからゴールを奪っているカナリアイエローの10番だが日本戦での強さはやはり、際立っている。

 日本戦でペレの記録を塗り替えるのは、やや現実味がないが最多タイに並ぶ可能性は全くゼロではない(足の状態を考えるとフル出場は考えにくいが)。実際、2014年10月にシンガポールで行われた日本戦ではネイマールは全4得点を叩き出しているのだ。

 そして韓国戦の2得点でネイマールは元祖怪物、ロナウドの公式戦ゴール数に肩を並べている。

 ブラジルメディアの調べでは韓国戦はネイマールにとって通算414試合の公式戦で、414得点目。ロナウドは616試合で414得点という数字を残しているが、純然たる点取り屋だったロナウドに引けを取らないアドバンテージを残していることからも、その決定力の高さが見て取れる。

ドイツ戦の勝利を信じていたブラジル人サポーター。負傷で不在だったネイマールのお面が無料配布されたが、まさかの惨劇が待っていた(筆者撮影)
ドイツ戦の勝利を信じていたブラジル人サポーター。負傷で不在だったネイマールのお面が無料配布されたが、まさかの惨劇が待っていた(筆者撮影)

 「ミネイロンの惨劇」から100試合目の韓国戦。その足取りをデータで振り返る

 2度目の自国開催で優勝を義務付けられていたはずのブラジルだったがブラジル大会の準決勝ではドイツに7対1で完敗。ブラジル代表史上、最大の屈辱を味わったこの一戦は「ミネイロンの惨劇」で知られるが、筆者も歴史的な現場に居合わせた。

 あれから8年の年月が過ぎたブラジルだが韓国戦は「ミネイロンの惨劇」から100試合目の節目に当たる試合だった。

 2018年のロシア大会もチッチ監督と共に戦っているブラジルだがこの100試合の足取りは72勝19分け9敗という戦歴だ。

 今回の来日メンバーでブラジル大会を知るのはネイマールとチアゴ・シウヴァ、ダニ・アウヴェスの3人のみ。ブラジルメディアによると、100試合のうち、最も出場しているのは67試合のマルキーニョスとフィリペ・コウチーニョでネイマールは64試合、カゼミロが56試合、チアゴ・シウヴァが55試合、アリソンが54試合などとなっている。

 かつてブラジルが抱えていた「ネイマール・デペンデンシア(ネイマール依存症)」への処方箋を見出し、決してパリサンジェルマンの10番頼みのチーム作りを進めていないチッチ監督ではあるが100試合の得点の内訳は下記の通り。

1位 ネイマール 38点

2位 フィリペ・コウチーニョ 21点

3位 ガブリエウ・ジェズス 19点

4位 フィルミーノ 17点

5位 リシャルリソン 14点

 この間の100試合で計208ゴールを奪い、1試合平均2点は決めてきたブラジルだが数少ない欠点を挙げるとするならば直接FKの得点がわずか2点ということか。2014年9月のコロンビア戦でネイマールが、2019年11月の韓国戦でフィリペ・コウチーニョがそれぞれFKからゴールを奪っているが、2年半以上直接FKからのゴールは生まれていない。

 過去、ブラジルに対しては2分け10敗と圧倒的に分が悪い日本。日本の奮闘はもちろんだが、過去日本戦では4試合全てで得点しているネイマールを筆頭にワールドクラスのタレントを揃えるブラジルのパフォーマンスにも期待が高まる。

記者/通訳者/ブラジルサッカー専門家

1971年、大阪市生まれ。大阪外国語大学(現大阪大学外国語学部)でポルトガル語を学ぶ。朝日新聞記者を経て、2002年にブラジルに移住し、永住権を取得。南米各国でワールドカップやコパ・リベルタドーレスなど700試合以上を取材。2005年からはガンバ大阪を追いつつ、ブラジルにも足を運ぶ。著書に「ジャポネス・ガランチードー日系ブラジル人、王国での闘い」(サッカー小僧新書)などがあり、「ラストピース』(KADAKAWA)は2015年のサッカー本大賞で大賞と読者賞。近著は「反骨心――ガンバ大阪の育成哲学――」(三栄書房)。日本テレビではコパ・リベルタドーレスの解説やクラブW杯の取材コーディネートも担当。

下薗昌記の最近の記事