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エンジェルスは44本塁打のFAを欲しがっている!? 金を注ぎ込むなら、投手を手に入れるべきでは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンソニー・サンタンデア Jun 2, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ロサンゼルス・エンジェルスは、スラッガーを手に入れた。トレードにより、アトランタ・ブレーブスからホルヘ・ソレーアを獲得した。

 ソレーアは、直近の2024年こそ21本塁打ながら、2023年のホームランは36本を数えた。さらに遡ると、2019年に48本のホームランを打ち、本塁打王を獲得している。

 エンジェルスは、ソレーアに続き、別のスラッガーもラインナップに加えようとしているのかもしれない。デトロイト・フリー・プレスのエバン・ペットゾルドは、「もしデトロイト・タイガースがトップ・ターゲットのアレックス・ブレグマンを逃したら? アンソニー・サンタンデアは興味深い存在」と題した記事のなかで、「タイガースはライト・フィルダーのアンソニー・サンタンデアに興味を持っている、だが、トロント・ブルージェイズとロサンゼルス・エンジェルスが彼と契約を交わしそうなフロントランナー」と書いている。アレックス・ブレグマンアンソニー・サンタンデアは、FAの三塁手と外野手だ。

 サンタンデアは、ここ3シーズンに105本塁打を記録している。各シーズンの本数は、33本、28本、44本だ。2024年にサンタンデアより多くのホームランを打った選手は、58本のアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)と54本の大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)しかいなかった。

 ブルージェイズがサンタンデアを欲しがる理由は、わかりやすい。これまでサンタンデアが定位置としてきたライトにはジョージ・スプリンガーがいるものの、レフトのレギュラーは確定していない。

 一方、エンジェルスの外野トリオは、現時点のメンバーで開幕を迎えるとすれば、左から、テイラー・ウォードマイク・トラウトジョー・アデルが並びそうだ。

 もっとも、トラウトは33歳。ここ4シーズンの平均出場は、66.5試合にとどまっている。健康を維持するためには、センターよりも守備の負担が少ない、レフトかライトを守るほうがいいような気がする。ニューヨーク・ヤンキースは、来年4月で33歳のジャッジをセンターからライトに移し、センターには、シカゴ・カブスから獲得したコディ・ベリンジャーを据える予定だ。

 サンタンデアがエンジェルスに加われば、ウォードとサンタンデアが両コーナーに位置し、トラウトはセンターのままとなる。サンタンデアが加入した場合、ウォードはトレードで放出される可能性もあるが、そうなっても、センターはトラウトだろう。アデルの守備は、センターが務まるのかどうかに疑問符がつく。ミッキー・モニアックなら、守備は問題なさそうだが、2024年にモニアックが記録した出塁率.266は、400打席以上の207人のなかで3番目に低かった。

 また、今のところ、ローテーションの1番手から4番手には、菊池雄星ホゼ・ソリアーノタイラー・アンダーソンカイル・ヘンドリクスが並ぶと思われる。菊池とヘンドリクスは、それぞれ、3年6367万5000ドルと1年250万ドルの契約で入団した。

 ソリアーノは、来シーズンがメジャーリーグ3年目だ。先発投手としては、113.0イニングで防御率3.42の2024年が1年目だった。アンダーソンとヘンドリクスは、ともに35歳。ここ4シーズンの防御率は、アンダーソンが4.53→2.57→5.43→3.81、ヘンドリクスは4.77→4.80→3.74→5.92と推移している。一方は上下の変動が大きく、もう一方は4シーズン中3シーズンが防御率4.70以上。ポストシーズン進出をめざすには、心許ないローテーションに見える。

 もし、サンタンデアに大枚を投じたとしても、サンタンデアだけでなく先発投手も入手、ということもあり得なくはない。FA市場には、ジャック・フレアティニック・ピベッタといった先発投手が残っている。

 けれども、オーナーのアルトゥーロ・モレノは、投手よりも野手に金を費やす傾向が窺える(「エンジェルスが強くなれない理由は、オーナーの「偏愛」にあり!?」)。ここ10年にFA市場から迎え入れた投手のうち、総額4000万ドル以上の契約を交わしたのは、今オフの菊池だけだ。

 ちなみに、FAとなって球団が決まっていない先発投手のなかには、ビッグネームの大ベテランであるジャスティン・バーランダーマックス・シャーザークレイトン・カーショウや、過去にエンジェルスで投げたことのある、ホゼ・キンターナアンドルー・ヒーニーマイケル・ロレンゼンもいる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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