シリア:米主導の有志連合所属機と思われるドローンがシャーム解放機構支配下のイドリブ市郊外を爆撃
有志連合所属機と思われるドローンによる爆撃
英国で活動する反体制系NGOのシリア人権監視団やクルド民族主義系無所属サイトのヘベル24によると、米主導の有志連合所属機と思われる武装した無人偵察機(ドローン)が4月15日、シリア北西部のイドリブ県の中心都市であるイドリブ市西郊外に対して爆撃を実施した。
ドローンによる爆撃が行われたのは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)が軍事・治安権限を握り、同組織、トルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)、バラク・オバマ政権時代に米国の支援を受けていたイッザ軍からなる「決戦」作戦司令室が活動する地域。ロシア、トルコ、イランを保証国とする停戦プロセスのアスタナ会議では、緊張緩和地帯第1ゾーンに指定され、トルコが停戦監視にあたることが定められている。
爆撃は、トルコの支援を受ける反体制武装集団の車輌を狙ったもので、物的被害をもたらしたが、死傷者の有無は不明だという。
誰が狙われたか?
「トルコの支援を受ける反体制武装集団」は、一般には欧米メディアでTFSA(Turkish-backed Free Syrian Army)という通称で呼ばれる国民解放軍、ないしは同組織を傘下に置くシリア国民軍を指す。ただ、「トルコの支援を受ける」と断定しているのは、アル=カーイダ系諸派を含む反体制派全般がトルコと連携していることを強調するクルド民族主義系サイトであるため、標的となった武装集団の正体は判然としない。
なお、有志連合は、これまでにもしばしばイドリブ県に対してドローンでの爆撃や特殊作戦を実施している。もっとも有名なのは、2019年10月26日に実施された、イスラーム国のアブー・バクル・バグダーディー指導者暗殺作戦である。だが、攻撃のほとんどは、シャーム解放機構、フッラース・ディーン機構といったアル=カーイダ系組織の外国人司令官を狙っている。