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49歳。離婚3回。「強く出れば言うことを聞く」と女性から思われがちな私です~スナック大宮問答集67~

大宮冬洋フリーライター
東京都杉並区にて。男性参加者の一人と改めて対談。中央が筆者。(参加者提供)

スナック大宮」と称する読者交流宴会を東京、愛知、大阪などの各地を移動しながら毎月開催している。味わいのある飲食店を選び、毎回20人前後を迎えて和やかに飲み食いするだけの会だ。2011年の初秋から始めて開催150回を超えた。のべ3000人ほどと飲み交わしてきたことになる。
 筆者の読者というささやかな共通点がありつつ、日常生活でのしがらみがない一期一会の集まり。参加者は30代から50代の「責任世代」が多い。お互いに人見知りをしながらも美味しい料理とお酒の力を借りて少しずつ打ち解けて、しみじみと語り合えている。そこには現代の市井に生きる人の本音がにじみ出ることがある。
 その会話のすべてを再現することはできない。参加者と日を改めてオンラインで対話をした内容をお届けする。一緒におしゃべりする気持ちで読んでもらえたら幸いだ。

***ヒロマサさん(仮名。独身、49歳)との対話***

最初の離婚はあまりのショックで自暴自棄に。体重が10キロ以上増えました

――スナック大宮に初参加した理由から教えてください。

 私は仕事が趣味のような人間なのですが、その合間にネットニュースを見ていてスナック大宮のことを知りました。自営業の私は日常生活では他人とあまり接点がありません。独身でもあるので、いろんな人と出会えるのはいいきっかけになるとも思いました。

――失礼ですが、独身生活は長いんですか?

 大宮さんにネタを提供するようになってしまいますが(笑)、私は3回離婚しています。最初の結婚は32歳のときで、わずか半年後には別れることになってしまいました。あまりのショックで自暴自棄になり、体重が10キロ以上増えたと記憶しています。

――ということは、ヒロマサさんのほうは未練があったのでしょうか。

 もっと2人で話し合えばよかったという後悔はあります。大阪に住んでいたときに人の紹介で知り合った女性ですが、私は関東地方の地元に帰るつもりだとちゃんと伝えておいたつもりでした。でも、結婚したら、母親も巻き込んで「大阪からは出ない」の一点張り。私は大人しいし怒ったりはしないので、「強く出れば言うことを聞くだろう」と女性から思われがちなのかもしれません。

西荻窪駅から徒歩3分ほどのアジア食堂「ぷあん」がスナック大宮の本拠地。年に2回は開催しています。所沢出身とチェンマイ出身のダブル店長が特別料理を作ってくれました。(筆者撮影)
西荻窪駅から徒歩3分ほどのアジア食堂「ぷあん」がスナック大宮の本拠地。年に2回は開催しています。所沢出身とチェンマイ出身のダブル店長が特別料理を作ってくれました。(筆者撮影)

結婚後に「私は一人で生きていきたい」「あなたが一緒にいることが迷惑」と言われて…

――ということは、次の結婚と離婚も同じようなパターンだったのですか?

 2回目の結婚は同業の女性でした。懇親会で会って親しくなり、彼女が電車に乗れないなどのパニック障害を抱えていることを知ったうえで結婚したのです。それぞれの職場に近いところに住むために、入籍して1カ月後には別居。特に喧嘩はしませんでしたが、2年後には「私は一人で生きていきたい」と言われてしまいました。

――何のために結婚したのかよくわからないですね……。

 はい。私は子どもがすごく好きなので、40代後半になって「最後のチャンスだ」と思って結婚相談所に入り、8歳年下のシングルマザーの方と出会いました。結婚したのは48歳のときです。
 子作りに関しては女性の負担が大きいと思うので不妊治療などは無理にしませんでした。その代わり、小学生と中学生だった娘2人を大いに可愛がり、彼女たちとはまったく問題のない関係だったと思っています。
 でも、前妻はガスの元栓や家の鍵を閉めたかどうかを自分の目で何度も確認しないと外出できないような人でした。診断してもらえば病名もついたと思います。
 私は事業で借金を抱えていますが、黒字経営ですし保険にも入っていますし多少の資産もあるので万一のときも家族に経済的な迷惑はかかりません。前妻にも結婚前にそのことを話しておいたのですが、一度気になると頭から離れなくなってしまうようです。最後には「あなたが一緒にいることが迷惑」とまで言われてしまい、子どもたちに後ろ髪を引かれるような気持ちで別れました。

50歳になる今では孤独や死について考えることが増えました。自分を変えたいです

――ヒロマサさんは精神的に不安定な女性を惹きつけてしまうタイプなのかもしれませんね。

 確かに、自分はちょっと変わっていると自覚しています。自分が興味があるものや手に届く範囲のことは大事にしたいのですが、その他のことに関心を持てません。業界では私は実績を上げているほうなので、勉強会などに出席すると周囲の人から話しかけられそうになります。でも、私はその人の名前を覚えていないし、あまり興味がないので、できるだけ声をかけられないようにしています。気難しい人だと思われているはずです。学生時代の後輩からも「最初は怖い人だと思っていたけれど、しゃべると面白い人なんですね」などと言われていました。

――男性によく見られるタイプですね。家族仲が良ければ問題ありませんが、そうでないと仕事から引退した時点で孤独になりそうです。

 そうですよね……。親も高齢ですし、妹は遠方に嫁いでいます。50歳になる今では孤独や死について考えることが増えました。自分を変えなければなりません。茶道のお稽古にも月2回ペースで出ていますし、スナック大宮にも参加しました。
 お店に着く前は少し緊張しましたが、すぐに大宮さんに声をかけてもらいリラックスして過ごせたと思っています。男性も女性もみなさん大人なので、普通に話せますね。こういう場をきっかけにして自分を変革し、どこかで良きご縁があればいいなとも思っています。

常連さんとご新規さんが入り混じって気楽に会食するだけのスナック大宮。自己紹介タイムすらありません。今月は横浜・青葉台で開催予定(ありがたいことに満席)。来月は福岡・博多で開催します。(参加者提供)
常連さんとご新規さんが入り混じって気楽に会食するだけのスナック大宮。自己紹介タイムすらありません。今月は横浜・青葉台で開催予定(ありがたいことに満席)。来月は福岡・博多で開催します。(参加者提供)

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もの静かで優しそうに見えて実は頑固な人。慣れてきたら自己開示するべし

 以上がヒロマサさんとの対話だ。もの静かで優しそうに見えて、良くも悪くも頑固な人は少なくない。仕事ができる人は思い込みが強いことが多い、とも言える。出身県での生活にこだわるヒロマサさんもその一人だと感じた。子ども好きなのはいいことだけど、より重視するべきはパートナーを直視すること。相手との会話を重ねながら新しい生活を一緒に築いていく姿勢だ。
 誰かとの共同生活は当然ながらヒロマサさんの理想通りにはいかない。むしろ、自分のことはいったん脇に置いて、意外な展開を楽しむ感覚が必要だと思う。
 年齢を重ねるにつれて、自分を変えることは億劫になる。聞く耳も持てなくなったりする。でも、それはあくまで傾向であって、決意と環境次第で人は変われるのだ。
 不慣れな場にも飛び込んでいるヒロマサさんはすでに自己変革を実践しつつある。自分の頑固な部分も徐々に周囲に話せばいい。今後は「強く出れば言うことを聞くだろう」などと侮られることはなくなり、敬意を持ち合える対等な人間関係を築けると思う。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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