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33歳ベテラン・妙義龍は優勝争いに食い込めるか? 好調の秘密は「食生活にあり」

飯塚さきスポーツライター
(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

中盤戦に入った大相撲七月場所。今場所の幕内力士で勢いのある一人が、境川部屋の妙義龍だ。6日目を終えて5勝1敗。連日見せている相撲はどれも素晴らしい。自粛期間もしっかりと調整ができたのだろう、体の張りもよいように見える。今回は、そんな絶好調の妙義龍について紹介しよう。

角界のプロテインマスター!

筆者が境川部屋へお邪魔し、妙義龍関の単独取材をさせてもらったのは、もう4年半も前にさかのぼる。稽古見学をし、大関・豪栄道関(当時)と妙義龍関に挟まれてちゃんこをいただいた後(この日は湯豆腐。絶品だった)、じっくりとお話を聞かせていただいた。

当時勤めていたベースボール・マガジン社『トレーニングマガジン』の取材で、このときはプロテインをはじめとしたサプリメントの摂取方法と食生活について伺った。

食事について気をつけているのは、「肉はなるべく赤身を選ぶこと。食べた脂肪分が体内で固まらないように、食事中は冷たいものを飲まないこと。そして一番は、バランスよく食べることです」。特に野菜は、ボウルいっぱいになるほど食べるため、かなりヘルシーな食生活をしているという。

驚いて思わず笑ってしまったのは、基礎代謝が3000キロカロリーもあるということ。それに加えて、毎日激しい稽古やトレーニングを積んでいるのだから、力士がいかにたくさん食べなくてはならないかが理解できるだろう。

また、妙義龍はグリコのプロテインを長きにわたり愛用しており、同社のアドバイザーに就任。化粧まわしも贈呈されている。

「筋量を落とさないようにするため、日々の疲労を回復するためにプロテインをとっています。稽古とトレーニングの前・中・後には必ず飲んでいて、稽古のときには回復系のサプリメントも飲みます」

一般人より体が大きいので、サプリメントも推奨量の2倍はとらなければならない。プロテインをはじめ、個々のサプリメントの効果を引き出すため、細やかにその摂取量やタイミングを考えながら駆使している彼には、角界の“プロテインマスター”の称号を贈りたい。

低く安定した相撲が魅力

一流のアスリートは、大げさでなく、24時間365日、自らの体と向き合っている。妙義龍も、もちろんその一人。角界でも特に、食事やサプリメントに気を使っている力士だといえる。今年で34歳。そろそろベテランと呼ばれる域に入ってくる彼は、いままで以上に体のメンテナンスに気を使っていることだろう。その日々の努力が、今場所の結果につながっている。

持ち味は、低くどっしりとした鋭い立ち合い。ほかの力士が彼の立ち合いを研究して真似するほど、大きな威力をもつ。特に相撲内容が光ったのは5日目、勢いのある若手・琴ノ若戦。立ち合いから踏み込み、途中土俵際で危ない場面があったものの、すぐに立て直して、相手が引いてきた一瞬の隙を見逃さずに押し出した。

昨日、36歳のベテラン・玉鷲と対戦した6日目に惜しくも土がついてしまったが、それでもまだ1敗。気持ちを切り替えて、ここから先も妙義龍らしい相撲で土俵を沸かせてほしい。

スポーツライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライターとして『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(アプリスタイル)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』が発売中。

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