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あの「悲しみ」発言から6年。ついにレアル・マドリー退団を決意したC・ロナウド。

森田泰史スポーツライター
ユヴェントス戦のC・ロナウド(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

また、いつもの騒ぎかと思っていた。だが今回は、本当に移籍に傾いているようだ。

「いつもの騒ぎ」とは、クリスティアーノ・ロナウドのことである。彼はこれまで幾度となくレアル・マドリーからの退団を示唆してきた。

真っ先に思い起こされるのは、彼の「悲しみ」発言だ。

■試合後に突然

2012-13シーズン、リーガエスパニョーラ第3節のグラナダ戦(3-0)後のことだった。この試合で2得点を挙げたC・ロナウドだが、突如として「悲しみを感じている。クラブはその理由を知っている」と報道陣にぶちまけた。

フロレンティーノ・ペレス会長やジョゼ・モウリーニョ監督との確執、チームメートとの不仲、マドリディスタとの関係性...。当時、C・ロナウドが悲しみを感じている理由について、様々な憶測が流れた。

だが、最も信憑性を帯びていたのは、契約内容への不満だ。2015年までの契約で、年俸1300万ユーロを受け取っていた。その頃、リオネル・メッシはボーナス込みで年俸1600万ユーロを受け取っていたという。メッシへの対抗心が、C・ロナウドを強く刺激していたのだ。

結局、C・ロナウドは2013年9月にマドリーと契約延長に至った。3年の契約延長で、年俸は1700万ユーロに引き上げられた。

■駆け引きの材料に

昨年夏にも、似たような状況があった。C・ロナウドがマドリーからの移籍を希望していると、母国ポルトガルのメディアが書き立てたのだ。

彼はその数日前に、およそ1500万ユーロ(約19億円)の脱税の疑いで起訴されている。それに怒りを覚え、一連の騒動に嫌気が差し、移籍を志願したといわれていた。

だが夏が過ぎれば、何事もなかったかのように、C・ロナウドはマドリーのユニフォームに袖を通してプレーを続けていた。

そして、今季のチャンピオンズリーグで優勝を達成した後、彼は「レアル・マドリーでの日々は美しかった」という言葉を残した。またか...。マドリディスタはそう思っていたはずだ。

しかしながら、今回ばかりは、具体的に話が進んでいる。

■互恵関係

C・ロナウドが望むもの。それは環境の変化であり、自身に敬意を表してくれるクラブだろう。

C・ロナウドとマドリーの現行契約は2021年までだ。契約解除金は10億ユーロ(約1300億円)に設定されている。

だが選手、所属クラブ、獲得を希望するクラブの三者が合意に至れば、契約解除金に関わらず、移籍は成立する。契約解除金が必要になるのは、選手に移籍の意思があり、所属クラブが放出を拒んでいる場合である。ネイマールのケースがこれに当たる。

そのネイマールだが、パリ・サンジェルマンは昨年夏に彼を獲得するため2億2200万ユーロ(約286億円)の契約解除金を支払った。選手の市場価値は年々、膨れ上がるばかり。そういった状況で、所属クラブが契約解除金の10分の1の額で売却を考慮しているとあれば、C・ロナウドの心が動くのも当然かもしれない。

ユヴェントスとしては、年間40得点以上を保証してくれるような選手を獲得する好機だ。ユヴェントスは近年ダニ・アウベスやサミ・ケディラといった実績と経験のある選手を補強してきた。そして、それを確実に成果に結びつけている。マドリーとしても、34歳のC・ロナウドを売却して、1億ユーロ(約125億円)前後の収入を得るのは、悪い話ではない。

C・ロナウドは昨季、チャンピオンズリーグ準々決勝第1戦ユヴェントス戦でオーバーヘッドを決め、ユヴェントス・スタジアムの観衆から拍手喝采を受けた。当然、ユヴェントスのファンは彼の加入を歓迎するだろう。

互恵関係の移籍が、いよいよ実現に近づいている。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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