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「トップ選手に値しないようなフリーなミスが多かった」。全仏テニス1回戦勝利の錦織圭は次戦に課題を残す

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
右手首の不安がありながらローランギャロス1回戦を突破した錦織圭(写真/神 仁司)
右手首の不安がありながらローランギャロス1回戦を突破した錦織圭(写真/神 仁司)

テニス4大メジャーであるグランドスラムの第2戦・ローランギャロス(全仏テニス)の1回戦で、第8シードの錦織圭(ATPランキング9位、5月29日付け、以下同)は、スナンシ・コキナキス(ランキングなし・オーストラリア)を、4-6、6-1、6-4、6-4で破って、2回戦に駒を進めた。

「ほぼ最後まで、やりたいようないいテニスはできなかったので、苦労はしました」と錦織が反省しきりの試合となった。

錦織は、第1セット第3ゲームでコキナキスにサービスブレークを許し、そのままワンブレークでセットを先取された。第1セットには、錦織がブレークポイントを4回握ったもののいずれもチャンスをいかすことができなかった。

21歳のコキナキスは、若手注目株の一人だが、2015年12月に右肩の手術をしたため、昨シーズンはリオデジャネイロオリンピックだけプレーした。今季はダブルスで2大会出場するだけにとどまっており、今回は、手術前のプロテクトランキング(公傷による特別ランキング)を使用しての出場となった。だが、195cmの長身を活かした高速サーブや強力なフォアハンドストロークで、錦織にプレッシャーをかけ た。

第2セットを取り返した錦織だが、第3セット第2ゲームで先にブレークをされて、0-3とリードされた。

「彼(コキナキス)のアグレッシブなプレー、予想以上に打ってきた。サーブの角度、速さに慣れるのに時間がかかりました。第3セットも先にブレークされて、嫌な展開にはなっていた。自分が守りになっていたので、なるべくそれをどうにかしたいと思っていた」

第3セットの中盤から、ようやくストロークのリズムをつかみ始めた錦織は、コキナキスのサーブを3回ブレークすることに成功し、第3、第4セットを連取して、コキナキスに挑戦を振り切った。

「トップ選手に値しないようなフリーなミスが多かった」と錦織らしからぬ弱気な発言もあったが、先週のATPジュネーブ大会からの連戦からの難しい調整だったことを踏まえれば、勝利したことを合格点としなければならないだろう。そして、不安視されていた右手首が、プレーに大きな影響がなかったのもまずはよかったのではないだろうか。

2回戦で錦織は、ジェレミー・シャルディ(73位、フランス)と対戦する。シャルディとの対戦成績は、錦織の5勝2敗だ。

「たくさん対戦していますが、ジェレミーは、いいサーブを打つし、フォアハンドストロークもよくて、アグレッシブで危険な選手です。彼の地元フランスで戦うことは簡単なことではありません」

ジュニア時代からお互いをよく知っている仲の対戦となるが、クレー(土)コートでは、シャルディの2勝1敗だ。

「体力はまだ1試合目なので、全く問題ないですけど、手首(の痛み)が再発しないことを祈りつつ」と語る錦織が、2回戦でどのぐらいプレーを修正できるかどうか注目だ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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