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180分勝負の意味を理解できているか。ACLの行間を読めない日本サッカー

杉山茂樹スポーツライター

アジアチャンピオンズリーグ。今年もラウンド16で、FC東京と浦和が敗れ、すでにグループリーグで敗退した広島、G大阪と併せ、出場4チームすべてが姿を消すことになった。日本サッカーの弱体化を如実に示すものと言える。

とはいえ、弱体化の原因を握るのは、選手や監督など現場関係者に限らない。ホーム&アウェイ方式で行われるこの第1戦後の報道に、進歩を妨げる別の原因が端的に現れていた。

浦和対FCソウルの、浦和ホームで行われた第1戦の結果は1−0。例えば、スポーツニュースは、これを「勝った」と伝えた。勝った=喜ばしい出来事=悪い話はしない=反省ほぼゼロ。勝ったは単なる勝ったに終わらないわけだが、ここに大きな間違いがある。

初戦ホームの1−0は、相手と力関係が同じだとすればほぼイーブンだ。50対50の関係が、第2戦を前にせいぜい53対47に変化したに過ぎない。もう少し厳しい見方をしたくなるほどだが、喜んだ。喜ぼうとした。180分の試合の90分が経過しただけだというのに、だ。残る90分をアウェイで戦わなければならないというのに、だ。

FC東京対上海上港の、FC東京ホームで行われた第1戦は2−1。浦和の1−0より、アウェイゴールを許している分、厳しい結果と言えた。勝利したとはいえ関係は50対50。あるいはそれ以下か。勝った気にとてもなれない結果。残りの90分間が思いっきり心配になる終わり方だったにもかかわらず、その辺りに言及することなく、これまた喜んでしまった。2ゴールをマークした水沼宏太選手を、ヒーロー扱いすることも忘れなかった。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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