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南岸低気圧が千島近海で発達して北日本を中心に寒気南下

饒村曜気象予報士
南岸低気圧の地上天気図と衛星画像(3月18日21時)

南岸低気圧が千島で発達

 令和4年(2022年)3月18日(金)は、南岸低気圧の通過で東北~西日本と南西諸島の広い範囲で雨となり、特に、低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ九州南部や沖縄本島では、集中的な大雨が降りました(タイトル画像参照)。

 沖縄県名護では61.0ミリ、宮崎県延岡市で38.5ミリ、日向市で36.5ミリの1時間雨量を観測し、3月としての記録を更新しました。

 この低気圧は、発達しながら三陸沖を通って千島近海に進み、猛烈的に発達する見込みです(図1)。

図1 予想天気図(左は3月19日9時、右は20日9時の予想)
図1 予想天気図(左は3月19日9時、右は20日9時の予想)

 気象庁は5日先までに警報を発表する可能性について、早期注意情報を発表し、「高」「中」の2段階で示しています。

 これによると、大雪警報については、3月19日(土)は北海道太平洋側と東北太平洋側で「中」、20日は北海道東部で「中」となっています(図2)。

図2 大雪警報と暴風警報・暴風雪警報についての早期注意情報(上段は3月19日、下段は20日)
図2 大雪警報と暴風警報・暴風雪警報についての早期注意情報(上段は3月19日、下段は20日)

 また、暴風警報・暴風雪警報については、3月19日(土)は北海道太平洋側と東北太平洋側で「高」または「中」、20日は北海道東部で「中」となっています。

 北日本では太平洋側を中心に暴風に警戒し、大雪による交通障害にも注意してください。

冬型の気圧配置

 千島近海で低気圧が発達することから、日本列島は一時的に冬型の気圧配置となり、寒気が南下してきます。

 ただ、寒気の南下は北日本どまりで、雪が降るのは北海道東部を中心とした北日本と、北陸の山沿いで、北陸の平野部から西日本は雨としてふります(図3)。

図3 3月20日3時までの24時間予想降雪量(上)と24時間予想降水量(下)
図3 3月20日3時までの24時間予想降雪量(上)と24時間予想降水量(下)

 このため、3月19日(土)の天気予報は、西日本は日本海側を中心に雲の多い天気となり、雨の降る所があるでしょう。

 東日本は、午前中は晴れる所が多くなりますが、午後は日本海側では雨や雪が降りそうです。また、関東も所により雨や雷雨となる見込みです。

 しかし、3月20日(日)になると、大陸からの高気圧が張り出すため、西日本から晴れの領域が広がり、気温が上昇してくる見込みです(図4)。

図4 3月20日の各地の天気予報
図4 3月20日の各地の天気予報

 南岸低気圧が持ち込んだ寒気の影響でさくらの開花は少し足踏みをしましたが、天気が回復した3月19日(土)~20日(日)は、3月17日の福岡、18日の宮崎に続く、さくら開花の便りが届くかもしれません。

タイトル画像、図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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