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ピンチに立つ遠藤航。選手の個性と監督の個性。優位に立つのは。サッカー代表監督の任期8年が長すぎる理由

杉山茂樹スポーツライター
アルネ・スロット監督とマクアリスター(リバプール)(写真:ロイター/アフロ)

 サッカーは監督で決まる。サッカーの特殊性を語る時、外せないのは監督だ。もちろん他の競技にもあてはまることだが、影響力はサッカーが図抜けている。選手の善し悪しを示す客観的なデータがなにより少ない。基準は監督の目だ。布陣も選択肢が何通りもある。この布陣にあって、あの布陣にはないポジションもある。定番がないために選手の出場機会は監督の思惑、相性の善し悪しに委ねられる。

「趣味の問題」だとはイビチャ・オシムの言葉だ。「キミたちは人の趣味にケチを付けることはできるが、だからと言ってそれに私が従う必要はない」と。

 監督と、趣味あるいは価値観が合わなければ、実力があっても試合に出られない。選手は監督の半ば独裁者然としたオリジナリティに翻弄される。選手の移籍が他の競技に比べて多い理由はそこにある。

 一方で、監督交代も多い。それで結果が残せなければ監督はあっさりクビになる。そのスピードは他の競技より速い。

 監督交代は価値観の変化を意味する。それに伴い、選手の序列にも変化が起きる。チーム内で燻っていた選手が表舞台に立つこともあれば、スタメンだった選手がベンチに追いやられることもある。特に代表チームは監督交代を機にメンバーが大きく変わる。若返り、世代交代のタイミングでもあるが、同時に、価値観が変化する瞬間でもある。

 日本代表史で変化が最も激しかったのはジーコからオシムへの監督交代時だ。それまで候補にも挙がらなかった選手が多数登用された。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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