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気になる男・島太星 「天才」はどこまでもピュアで「天然」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ソニー・ミュージックエンタテインメント

圧巻の歌と天然キャラでテレビを賑わせる島太星とは?

島太星(しま・たいせい)に注目が集まっている。年末にオンエアされた『第7回 全日本歌唱力選手権 歌唱王』(日本テレビ系)で14,350人の応募者から10名が残ることができる決勝戦に進み、「I LOVE YOU」(尾崎豊)を披露。その歌声に司会の西野七瀬、審査員も感動し、ネット上でも称賛の声が飛び交った。賞賛は歌だけでなく、司会の南原清隆とのトークの中で見せた天然ぶりに「バラエティ界に新しいスターが誕生した」と、南原に言わせしめたそのキャラクターにも注目が集まっている。そして1月27日に出演した「ヒルナンデス!!」(日本テレビ系)の3色ショッピングのコーナーでも、司会の山里亮太が収録後「とんでもないニュースターが!島太星くん!!!これは凄い!!!」とツイートするほどのインパクトを与えた。そんなピュアで天才ともいえる島にインタビューすると、やはりピュアで天才、愛されキャラだった。

「『歌唱王』に出演した時は、歌には自信がありましたが、映りが心配で緊張しました」

まずは「歌唱王」出演の感想を聞いてみると「緊張しましたが、あの日の「I LOVE YOU」は過去イチだったと思います。喉の調子がすごくよくて、いつもよりひとつキーを上げて歌いました。でも負けちゃったので、正解だったかどうかわからないんです(笑)。歌には自信がありますが、顔には自信がないので、映りが心配で緊張しました」と、歌よりも自分の映りの方が気になったと早速笑わせてくれたが、彼は大泉洋や安田顕らが所属している北海道のプロダクション「クリエイティブオフィスキュー」と、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が共同で運営する北海道発イケメン揃いの6人組ボーイズグループNORD(ノール)のメンバーとして、圧倒的な人気を誇っている。そして「自信がある」歌では、2018年に米・ニューヨークの音楽の殿堂『アポロシアター』で行われる、スターへの登竜門「アマチュアナイト」に出演2018年に米・ニューヨークの音楽の殿堂『アポロシアター』で行われる、スターへの登竜門「アマチュアナイト」に出演し、現地のお客さんに絶賛された実力の持ち主でもある。島をきっかけにNORDに興味を持ったというファンも少なくないはずだ。

NORD:左から島太星、安保卓城、長崎佑亮、舟木健、花岡領太、瀧原光
NORD:左から島太星、安保卓城、長崎佑亮、舟木健、花岡領太、瀧原光

「NORDは結成4年目になります。今はメンバーそれぞれが色々な方面で仕事をさせていただいていて、一人ひとり力をつけていると思います。色々な経験値をNORDに持ってかえってきて、それがNORDのパワーアップに繋がっていると思う。もし僕を通してNORDのことを知ってくれた人がいるとしたら、ヤバいグループだと思われなければいいなって思います(笑)。心配です。でも是非ライヴを観に来ていただきたいです。絶対楽しいですし、メンバーは僕より100倍カッコいい人ばかりで、面白くて歌もダンスもバッチリなので、期待してください。これからもっと多くの人にNORDのことを認知してもらいたいです」。

「仲間の全国のボーイズグループと対バンしたい」

SMEが、2015年から注力しているのが、全国各地での劇団の育成と、その活動を通じてタレント・俳優の育成だ。その一組がNORDであり、宮城の「ぜんりょくボーイズ」、東京の「劇団番町ボーイズ☆」、そして福岡の「10神ACTOR(テンジンアクター)」が各地区で活躍している。時には競演し、それぞれが切磋琢磨し全国区を目指している。

「今も、僕達の仲間の全国のボーイズグループのライヴに時々お邪魔していて、少しずつ扉が開いていく感じはしているので、その扉をガッと開けて歩き出したいです。個人的な感覚なんですが、全国の強豪チームが競っている部活動のような感じがしていて、僕らはそこで勝ち抜いていきたいという思いがあって。その選抜メンバーでLove Harmony‘s Inc.(LHI)というアカペラボーカルグループを組んでいますが、もっとグループ同士で対バンとかやってみたいですね」

「Love Harmony's Inc.は勉強の場」

LHIは前述の全国のグループから歌唱力に長けている選抜メンバーに、女性2名を加えた11名で構成される男女混声ボーカルグループで、目指すは日本版PENTATONIXだ。これまでにYouTubeに配信した名曲のカバー動画は「浪漫飛行」(米米CLIUB)343万回、「ハナミズキ」(一青窈)176万回、「残酷な天使のテーゼ」(高橋洋子)176万回他、その再生総数は1000万回を超え(2月15日現在)、広がりを見せている。

「毎回とにかく曲が難しいんです。『TECHNOPOLIS~RYDEEN』(YMO)のレコーディングは、苦戦しました。いつも鍵盤で音だけはめてある音源が送られてきて、僕は楽譜が読めないのでその鍵盤の音を聴きまくって耳コピします。もう鼻血が出そうになって、LHIは今持っている力を全部出しても、毎回挫折します。メンバーはみんなうまいですし、すごく勉強になります。そんな中で特に印象に残っているというか、手応えがあったのは「浪漫飛行」とドリカムさんの「うれしい!たのしい!大好き!」です。「浪漫~」は声質に合っていたというか、地声でしっかり歌えた感覚はあります。「うれしい!~」は原曲のキーで、最初は高くてびっくりしたのですが、レコーディングをしていくうちに、『こんな高い声が出るんだ』って自分でもビックリして、いつもと歌い方も違ったし、ミックスボイスのようなスキルを使えた歌です。めちゃくちゃいい声だなって自分で思っちゃいました(笑)。今まで体験したことがない経験ができたので、歌い心地はこの曲が自分の中で一番よかったと思います。是非違う声質を聴き比べて欲しいです」。

昨年舞台役者デビューしその魅力の虜に。「最近は将来何になりたい?って聞かれたら、歌が得意なんですけど、俳優さんになりたいって答えてます(笑)」

天才は歌だけではなく、演技でもその才能を発揮している。昨年日本民間放送連盟賞テレビ部門でグランプリを受賞した、HTB開局50周年ドラマ『チャンネルはそのまま!』では主要キャストの一人を演じ、また、8月から9月にかけて東京、札幌、大阪で上演された鈴井貴之作・演出の舞台『OOPARTS Vol.5「リ・リ・リストラ〜仁義ある戦い・ハンバーガー代理戦争』では、舞台役者デビューも果たした。

「(鈴井)会長から毎日何か言っていただいていたんですけど、それがダメ出しなのかどうかわからくて、何か言われても『はい』って笑顔で返していたら、会長も『よし頑張れ』と言ってくださって。なので、怒られているというより、ありがとうございますという感じでした。ひとつすごく覚えているのは、稽古の初日に、会長から『空間を理解してない』と言われたことです。『空間って何?』って思って、もう本当にてんやわんやでした。でも一か月くらい「空間」を理解するために鍛錬をしまして、今NORDでライヴをやると、空間というものが、少し理解できてきて、周りを見られるようになりました。全公演終わった時に会長から『演技の部分はまだまだだけど歌は成長した』と言っていただいて、OOPARTSでは歌も歌わせていただいて、舞台の前と後では歌の感情、ニュアンスの伝えかたも全然変わって、それも演技のひとつだったと思うので、嬉しかったです」。

舞台を経験し、表現方法のひとつとしての演技の楽しさに目覚めたようだ。

「演技が大好きになっちゃいまして。だからもう最近は将来何になりたい?って聞かれた時に、僕は歌が得意なんですけど、俳優さんになりたいなって(笑)。でもこんなブサイクでなれるのかなって思いますけど。歌と演技は似ているところがあって、感情の乗せ方とか伝えるという部分では近くて、それを歌よりもダイレクトに伝えられる演技は楽しかったです。僕が演技って言葉を使っていいのわかりませんが、これからもっと役者さんとして、演じられるような人になりたいです」。

6月にNORD4周年記念ライヴ。「一人ひとりが大きくなって、それをNORDに還元できていると思うので、去年とは違う姿を見せたい」

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その希望が叶い、舞台All Sapporo Professional Actors Selection vol.1『虹と雪、慟哭のカッコウ ~SAPPORO’72』(2月20日~札幌・クリエイティブスタジオ)への出演が決定している。歌と演技。「似ているけど区切っています。でも気付かないうちに歌にも反映されているのを実感しています」という島、そしてNORDの大きな目標は、6月6日に行う4周年記念ライヴ『NORD 4th Anniversary LIVE 2020~集まれ1,500☆ゴー!ゴー!カナモト』(カナモトホール(札幌市民ホール))だ。昨年6月、念願だった札幌教育文化会館大ホールで3周年記念ライヴを行い、あれから一年、メンバー一人ひとりが様々な経験をし、NORDとしてどれくらい成長したのかを、ファンに見せる。

「一人ひとりが大きくなって、それをNORDに還元できていると思っていますので、また去年とは違う僕達を見せたいです。個人的にはデビューした当時は、ただうまく歌おうという感じでしたが、今は自分も楽しんで、皆さんと心を通じ合わせて、届けたいという意識になりました。僕達は、歌もダンスももちろん大事ですが、お客さんとのコミュニケーションをすごく大切にしています。だからMCの練習を頑張っています(笑)」。

NORD、LHI、そして舞台。表現者としての自分を磨く“場所”を恵まれすぎるくらい与えられている島。いや、自分でチャンスを引き寄せたといった方がいい。もちろん全てにおいてのポテンシャルの高さ、素養はあるが、そのピュアさで全てを吸収し、力に変える能力とセンスこそが天才たるゆえんだろう。そして天才は「天然」でもある。

NORD オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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