セ・リーグの新人王は4月までにどんな活躍を見せているか
プロ野球は、開幕から1か月が経った。セ・リーグでは、中日が白星を積み重ねたことで序盤は興味深い展開となり、ルーキーをはじめとする若手の活躍も目についた。その中でも、開幕から2試合連続で本塁打を放った度会隆輝(横浜DeNA)、10試合連続でホールドをマークした西舘勇陽(巨人)が新人王レースをリードしていきそうな印象だ。では、近年の新人王は開幕からスタートダッシュを決めていたのか見ていきたい。
昨年は3年目の村上頌樹(阪神)が新人王を手にしたが、2022年は1年目の大勢(巨人)が守護神に抜擢され、4月までの13試合に登板して1勝11セーブをマーク。防御率も2.08とイキのよさで台頭し、1勝3敗27セーブ8ホールドで一生に一度の栄誉を手にした。2021年の栗林良吏(広島)は、名城大卒業時もドラフト有力候補。トヨタ自動車の2年間で、さらに上積みした実力を守護神として発揮する。開幕から4月末までに12試合に登板し、被安打2、18奪三振4四球の安定感で8セーブ。一年遅れで開催された東京五輪でも金メダル獲得に貢献し、1敗37セーブ、防御率0.86で新人王に輝いている。
リリーフで起用されている西舘も、阪神との開幕戦の7回に初登板すると3者凡退に切って取り、その後もスピンの利いた150キロ超のストレートを軸に、10試合連続ホールドを挙げる。だが、4月26日の横浜DeNA4回戦で1点リードの8回に登板した時は、犠打を挟む3連打で初黒星。30日の東京ヤクルト4回戦でも1点リードの7回に制球も乱して逆転を許し、2敗目を喫している。セ5球団とホーム&ビジターでの対戦を終え、投球を分析された5月からどんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。
投手はスタートダッシュ、野手はコンスタンシーがポイントか
一方、打者の新人王は2019年の村上宗隆(東京ヤクルト)が現時点の最後で、しかも2年目。1年目で受賞したのは、2017年に中日でデビューした京田陽太(現・横浜DeNA)だ。前年に堂上直倫が最多出場だったショートに抜擢された京田は、開幕からスタメン出場する。4月までは打率.198と壁にぶち当たっていたが、我慢強く起用されると次第に持ち味を発揮。5月に.323、6月も.326と打率を上げ、141試合に出場して打率.264、4本塁打36打点23盗塁、守りではリーグ2位の守備率.980をマークした。
度会は、昨秋のドラフトで横浜DeNA、中日、千葉ロッテが1位入札で競合して注目度を高め、それに応えるように開幕から2試合続けて会心の一発を放つ。その後は思い切りのよさを逆手に取った攻めに苦しんだものの、それでもバットが振れなくなることはなく、八番に下がった4月26日の巨人4回戦ではダメ押しのグランドスラム。4月を終えて打率.217、3本塁打11打点はまずまずで、コンスタントに結果を残すコツをつかめるかがカギを握っている。
このように、新人王レースをトップで駆け抜けるには、出足のインパクトとともに、どれだけ早くプロの水に慣れるかも重要だ。その意味では、一軍出場が少なくても、プロという世界を知る2年目以降の選手たちが一気にブレイクするのも理解できる。実際、パ・リーグでは2018年の田中和基(東北楽天)から昨年の山下舜平大(オリックス)まで、6年続けて2年目以降の選手が新人王に選出されている。
今季のセ・リーグでも、巨人では2年目の萩尾匡也が勝負強さを発揮し、24試合で打率.250、2本塁打8打点。昨年はケガに泣いた中日の田中幹也は、セカンドの定位置をつかむ勢いを見せている。広島では中継ぎ左腕の黒原拓未、左打ちスラッガー・田村俊介が好スタートという印象だ。阪神の“秘密兵器”門別啓人らも含め、2年目以降の選手が新人王をつかみ取る可能性は大いにあるだろう。そして、新戦力の活躍はチームに勢いを生み出し、ペナントの行方も左右するはずだ。
(写真提供/小学館グランドスラム)