フェイク(嘘)が現実に。超凄惨ホラー『サンクスギビング』ついに公開! 苦手な人へのオススメ作品も
イーライ・ロス監督の最新作『サンクスギビング』が昨日公開されました。
本作はもともと、2007年の映画『グラインドハウス』内に、演出の一部として組み込まれたフェイク予告編「感謝祭(Thanksgiving)」として公開されていました。
グラインドハウス
2007年公開のホラー映画。本編としてロバート・ロドリゲス監督の「プラネット・テラー」とクエンティン・タランティーノ監督の「デス・プルーフ」の2作が同時に公開(北米)された。映画冒頭と2作の合間には、それぞれ別の映画監督が手掛けた実在しない映画のフェイク予告編が4本上映された
完成度が高かったフェイク予告編
「感謝祭(Thanksgiving)」は予告編という設定で作られているので、2分30秒ほどの短い作品でした。しかし、イーライ・ロス監督の実力は遺憾なく発揮されており、短い映像の中にもふんだんに恐怖が散りばめられていました。
フェイク予告編があまりにも面白そうだったので、当時『グラインドハウス』を見た人は「感謝祭(Thanksgiving)」が実在しないのを残念に思ったはずです。
フェイク予告編から16年
2007年と現在では、世界は大きく違っています。今は当たり前となったスマホですが、当時はまだ使われていませんでした。
初代iPhoneがアメリカで発売されたのが2007年で、日本で発売(iPhone 3G)されるのはその翌年です。
これだけ時代が変わった現在、2007年のフェイク予告編を長編映画化するのは難しかったはずです。
ですが、映画『サンクスギビング』は、当時のイメージを活かしつつ、現代に当てはめることに成功しています。フェイク予告編と本物の予告編を見比べても、そのバランスの良さが分かるはずです。
『ホステル』シリーズのように、イーライ・ロス監督の作品には残虐な描写が多く、本作もR-18指定のため未成年はご覧になれません。ですが、スプラッタ・ホラーやスラッシャー映画が好きな大人の方なら満足できる作品です。ご覧になる前には、ぜひ2007年のフェイク予告編も見てみてください。
興味はあるけど痛々しいのは苦手?
スプラッタ・ホラーは苦手だけどイーライ・ロス監督の作品に触れてみたいという方には、2015年の『ノック・ノック』がオススメです。
ノックノック
イーライ・ロス監督作で、1977年の映画『メイク・アップ(Death Game)』のリメイク作品。主演はキアヌ・リーブス。ヌードシーンがあるためR-15指定を受けているが、過度な残虐なシーンはない
ホラー映画は一見すると脈絡なく悪いことが起きるように見えます。ですが、実際には伏線と回収の連続です。レールを登り切ったジェットコースターが落ちる寸前のドキドキ感。それと同じように、観客に悪い予感をさせて不安(期待)を煽らなければならないのです。
『ノック・ノック』にはそんなホラーの手法が取り入れられています。
妻と子どもが留守の夜、主人公エヴァン(演:キアヌ・リーブス)の家に雨に濡れた美女二人が訪ねて来るところから物語は始まります。そして、映画のフライヤー書かれている「訪れたのは快楽と地獄――」という言葉通りのことが起こります。
とにかく不快な展開が続く本作。不快感というのも、ホラーでよく使われるスパイスですね。
ずっと嫌な気分にされたあと、ラストシーンで、ある少年が発する一言で映画が締まり、ちょっとクスッとするはずです。
怖過ぎるのは無理だけどイーライ・ロス監督の作品に興味があるという方はまず『ノック・ノック』を見てみるといいでしょう。
別の記事で「フェイク予告編」について詳しく解説しています。『サンクスギビング』をもっと良く知りたい方は、X(旧Twitter)や以前の記事もご覧ください。